Core Ultra搭載の「Let's note FV5」を徹底検証 プレミアムモバイルの実力は?

2024年4月19日(金)12時0分 ITmedia PC USER

Let's note FV5は、ハイブリッドワークを強く意識したLet's note FVシリーズの最新モデルだ。厚さが約18.2mm、重量も約1.134kgと薄型軽量な14型ボディーにCore Ultra 7 165Hを搭載する

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 パナソニックコネクトから、Core Ultraを搭載した14型モバイルノートPC「Let's note FV5」(CF-FV5USCCP)が登場した。
 持ち運びやすいボディーとパワフルなパフォーマンスを両立しつつ、大きめの画面とゆとりのあるキーボード、さらにWeb会議を快適にするインテリジェントな機能が盛り込まれている。実機を入手したので、レビューしていこう。
●スリムで軽量なブラックボディー
 ボディーは前モデルにあたる「Let's note FV4」から継承している。スリムでフラットなフォルム、そしてトップカバーには凹凸をつけることで強度を確保するボンネット構造を引き続き採用する。
 開発時には100kgfの加圧振動、76cmからの底面落下(動作時)、30cmからの26方向落下(非動作時)など厳しいテストも実施されており、ブランドに恥じない頑丈さを持っているといえるだろう。
●バッテリーは着脱可能のカートリッジタイプ
 バッテリー容量は56Whで、公称のバッテリー駆動時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver.3.0)では、動画再生時が約9時間、アイドル時は約18.1時間となっている。
 バッテリー本体はユーザーが簡単に着脱できるカートリッジタイプを採用している。故障や劣化の際にもユーザー自身で交換できるので、ダウンタイム少なく使い続けられるメリットがある。
 別売のオプションとして、100gほど軽量なバッテリーパック(S)(30Wh)も用意されている。付属のバッテリーパック(L)とあわせて、2種類のバッテリーを状況に応じて使い分けられる。
 標準で付属するACアダプターは独自仕様で出力は85Wだ。USB PD(Power Delivery)にも対応しているため、対応した周辺機器を活用した使い方も可能だ。
●AIコアが話題のCore Ultraを搭載
 CPUにはIntelのCore Ultra 7 165Hを搭載する。開発コード名「Meteor Lake」で知られる最新の高性能ノートPC向けモデルだ。
 Core Ultraは、従来のIntel Core プロセッサ・ファミリーと異なり、Compute、Graphics、SoC、IOと4種類のダイをタイルとして組み合わせて1つのCPUパッケージとするタイルアーキテクチャを採用している。
 メモリコントローラーや電力管理を担当するSoCタイルに、省電力を優先したLPEコアを統合しており、ComputeタイルのPコア、Eコアと合わせて、合計3種類のコアを最適に使い分ける仕組みとなった。
 さらに、SoCタイルにはAI処理用のNPUコア(Intel AI Boost)も統合し、GraphicsタイルのGPUコアも刷新され、大幅に処理能力が向上している。
 メモリは標準で32GB(LPDDR5X)を搭載する。ストレージはカスタマイズに対応しており、デュアルSSD構成が可能だ。インタフェースはメインSSDがPCIe 4.0 x4、セカンドSSDがPCIe 3.0 x4で、容量はいずれも最大2TBずつ、最大4TBの構成が可能だ。
●アスペクト比3:2の液晶ディスプレイは表示品質も良好
 画面は14型で、表示解像度が2160×1440ピクセルの液晶ディスプレイを搭載する。アスペクト比は3:2で、同じ14型のアスペクト比16:9のモデル比べると縦の表示領域が2cmほど長い。縦長の文書やWebページを表示させると同じ大きさならばより多くの情報を、同じ情報量ならばより大きく表示できる。
 ビジネス文書はA4縦サイズ基準で作成されていることが多いため、ビジネス作業と相性が良い。キャリブレーションセンサーによる測定結果も良好で、精細かつ見やすい画面でクリエイティブな作業にも適している。
●Let's noteシリーズでもっとも打ちやすいキーボード
 Let's noteシリーズの中では大柄な製品のため、キーボードはゆったりとしたサイズが確保されている。
 縦横とも約19mmのキーピッチを確保しているのはもちろん、4つのファンクションキーごとにスペースを設けたり、カーソルキーを少し下げて上カーソルキーの左右を空きスペースにするなど、細かい部分まで配慮されている。中央部が微妙にへこんでいるキーキャップも指を置きやすく、スイッチの感触も良好で、完成度の高いキーボードだ。
 キーボード手前には、Let's noteの伝統であるホイールパッドを搭載する。内側のパッドの大きさも十分ある(直径約64mm)ため、複数の指を使ったジェスチャー操作も比較的しやすい。
●新旧主要端子を網羅する高い接続性
 インタフェースとして、最大40Gbpsのデータ転送、ディスプレイ出力など多用途に使えるThunderbolt 4を2基装備する他、HDMI出力、アナログRGB出力(D-Sub 15ピン)、有線LAN(1000BASE-T対応)、フルサイズのSDメモリーカードスロット(SDXC、UHS-II対応)など、最近のPCでは省かれがちな端子まで網羅し、別途変換アダプターやドックなどを使わずとも新旧の環境に適応できる。
 この端子構成は先代のFV4と共通だが、HDMI端子については、従来の4K/60Hzから4K/144Hz出力ができるように強化されている。
 無線通信機能は、Wi-Fi 6E対応の無線LAN、Bluetooth 5.3を標準装備している。直販モデルでは、カスタマイズで4G LTE対応のWWAN機能も追加できるが、5G対応モデルはまだ用意されていない。
●AIによるカメラ効果が利用可能
 液晶ディスプレイの上部に、フルHD解像度で撮影できる約207万画素のWebカメラ、顔認証対応IRカメラ、アレイマイクを搭載する。
 Intel AI Boostを活用することで、効率的なオンデバイス処理による背景ぼかしや顔位置自動補正など、Web会議時に便利な各種エフェクトを省電力で利用できる。Web会議の「話す」「聞く」を快適にする独自の「COMFORTALK」(コンフォトーク)機能も健在だ。ボディーの底部に搭載した大型のボックス型スピーカーは、複数人で会議に参加する場合にも十分な音圧がある。
●ベンチマークテストでパワフルなパフォーマンスを実証
 ベンチマークテストの結果を見よう。PC設定ユーティリティーで設定できる「熱とファンの制御」については、特に言及がない限り「標準」(もっとも性能が良い設定)で行っている。
 比較対象としては、1年前にレビューした先代のLet's note FV4の他、Core Ultra 7 155Hを搭載した日本エイサーの「Swift Go」、そして、一部のテストではApple M3搭載の「13インチMacBook Air」とも比較してみた。
 CINEBENCH R23(最低実行時間10分)のスコアは11278ptsと、先代(9498pts)から大幅にアップしていることが分かる。3DMarkではグラフィックス性能の大幅な進化が見て取れる。
 一方、Core Ultra 7 155Hを搭載したSwift Goに対しては、どのテストでも少し見劣っている。とはいえ、Swift Goは約1.32kgと本製品より重いし、電力管理や放熱に対するポリシーの差が出たものであって、決してマイナスに捉える必要はない。
 ただ、この結果からすると本製品のフォームファクターに対してCore Ultra 7 165Hはオーバースペックであるとも考えられる。仮にCore Ultra 7 155HやCore Ultra 5 135Hを搭載した下位モデルが登場するとしたら、そちらを選んだ方がコストパフォーマンスは良さそうである(現在のところCore Ultra 7 165H搭載モデルしかないので机上の空論だが)。
●静音性、発熱の処理も優秀
 MacBook Airとの比較では、CINEBENCHのCPUスコアではR23でも2024でも勝っており、CPU単体のマルチスレッド性能では優位に立っている。ただ、GPUの差が出ているのか、動画のエンコード性能やRAW現像出力ではMacBook Airの方が高速だ。
 ただ、AI音声の作成やモーショングラフィックスのレンダリングなど勝っているテストもある。本製品もビジネスレベルや趣味レベルのクリエイティブ作業なら十分にこなせるパフォーマンスを持っている。
 静音性も優秀だ。高負荷時でもマイルドな範囲に収まっており、ボディーの放熱もしっかりできている。「静音性優先」設定も用意されており、一般のオフィス作業であれば常時静音かつクールな状態で作業できる。
●積極的に買い替えを検討したくなる仕上がり
 直販価格は、37万4000円(税込み)からとなっている。高価ではあるが、Let's noteシリーズの最新プレミアムモデルとしてはいつも通りの価格であり、ある意味妥当な価格といえる。
 この最新世代ではCPUの進化に伴い、前世代から静音性や発熱を犠牲にせずに大幅なパワーアップを果たした上に、AIを活用したカメラ効果も使えるようになっている。
 Let's noteの実績、ブランド力に魅力を感じて導入しているユーザー、特に第11世代Core以前のCPUを搭載した製品のユーザーであれば、生産性向上へのインパクトは大きく、買い替えを積極的に検討してよい仕上がりといえるだろう。
 残念ながら原稿執筆時点では在庫切れとなっているが、販売の再開を待ちたいところだ。

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