卑弥呼が可愛がった……? かもしれない犬、復元して模型化 桜井市が公開
2025年4月22日(火)19時58分 ITmedia NEWS
今回復元に使った犬骨は、2015年1月に行った纒向遺跡の居館を区画するとみられる溝(幅約3.2m×長さ27m以上×深さ約1.0m)の調査時に見つけたもので、出土点数は140点余り。3Dプリンターで犬骨のレプリカを作り、組み上げに使った。復元した模型の体格は、体高(足先から肩の高さ)が約48cm、体長(胸からお尻までの長さ)が約58cmとなった
「(復元した模型は)現在の四国犬や紀州犬の雌と同じような大きさのイメージ。弥生時代から古墳時代にかけて、このような大きさのイヌが中国大陸や韓半島から持ち込まれ、縄文時代以来の小型のイヌの中に大型化した個体が登場してくるとされている。纒向遺跡出土のイヌもその事例の一つと考えられている」(桜井市)
なお性別は雌の可能性が高く、年齢は1歳半以上と推定。毛の色は推定できていないが、この時代前後には茶系と灰系の2種類がいたと分かっているため、両タイプの模型を作った。「犬骨には解体の痕跡などが見つかっていない点や、居館域という特殊な空間を区画する溝からまとまった状態で見つかった点から考えて、何らかの儀礼に供された可能性も想定される」(桜井市)
骨格から動物学的検討を重ねてイヌの形質を復元した模型は、弥生時代中期末の亀井遺跡に次いで国内では2例目。古墳時代のイヌとしては初めての事例という。桜井市は「復元の精度が非常に高いため、日本におけるイヌの歴史や形質の研究上、高い学術的価値があるといえる」とアピールしている。
また今回復元に使った犬骨は、3世紀前半の居館域から出土しているため、卑弥呼と時間と空間を共有していた可能性が極めて高い資料としても注目を集めているという。桜井市では、この纒向犬の愛称も募集している。