「iPad Pro」は高すぎ…… という人のために「iPad Air」は選択肢になりうるか 新モデルを先行レビュー

2024年5月14日(火)9時21分 ITmedia NEWS

新型「iPad Air」

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 いろいろな意味で、iPad Proの注目度が高くなっている。実際に使ってみたら非常に良いデバイスだったが、フル装備で50万円を超える価格と、無神経なプロモーションムービーで悪目立ちしてしまった。
 一方で、いざ自分が買うことを考えるとiPad Airが気になる……という人も増えているだろう。5月15日の発売に先駆けてiPad Air(M2)を借りることができたので、Proとの違いなども含め、先行レビューをお届けしたい。
●iPad Airのディスプレイも十分美しい(単独で見れば)
 iPad Air(M2)は、いわばiPad Airの第6世代だが、今回から11インチモデルに加えて、13インチモデルも加わった。名称も搭載チップセットの名称を末尾に付ける表記となったようだ。
 11インチモデルは、外観やディスプレイなど基本的な構成要素はiPad Air(第5世代)と同じ。そこにM2チップを搭載し、Apple Pencil ProとApple Pencil(USB-C)に対応したものと考えていい。
 新設された13インチモデルは、iPad Proの前モデルである12.9インチとサイズは同等だが、ディスプレイのクオリティは、iPad Air(第5世代)と同じである点に注意したい。前モデルのProはミニLEDを敷き詰めた「Liquid Retina XDR」を採用していた。
 ラインアップ全体としては、iPad ProにもAirにも11インチと13インチのディスプレイが設けられた格好だが、どちらもProのディスプレイの方がわずかに大きい。実際には、iPad Air 10.9インチ、12.9インチというところだが、四捨五入してProの方と名前を揃えたようだ。
 正直、縁も本体もわずかにiPad Pro(M4)より厚いのは、スペック上の差というよりも、デザイン的にわずかにiPad Air(M2)の方を野暮ったくするために付けられた差違だとしか思えない。
 Proモデルは最大輝度1600ニトのタンデムOLEDという、非常に美しいディスプレイが載っている。一方、Airのディスプレイは、それぞれ輝度が600ニト(13インチ)と500ニト(11インチ)の一般的なディスプレイ。ProMotionもない。
 確かに、横に並べて見ればiPad Proのディスプレイの美しさは際立つし、写真や動画のプロ用途としてのクオリティーを持っている。とはいえ、単体で見ている限りではiPad Airのディスプレイだって十分に美しい。
●M2チップセットのパフォーマンスも十分
 チップセットは先日まで、iPad Proに搭載されていたM2。
 これまた、M4と数値上で比べれば見劣りがするが、プロ用アプリを除き、実際の用途で差がつく場面は少ないだろう。
 なにしろ、ほんの半年ほど前まで、MacBook AirやMacBook Proにも使われていたM2だ。現行モデルでもMac miniに搭載されている。何の不足があるのだろうか。
 もし、パフォーマンスに不足が生じるとしたら、たくさんの8K動画(たぶん8本以上)を同時に扱うとか、メモリ上に非常に多くのデータを置いて作業するとか(例えば、膨大なレイヤー数でイラストを描くとか)、レスポンスが非常に重要なゲームをするとか、そういう特殊な場合しか思いつかない。
 そういう可能性がある人は、観念してiPad Pro(M4)を買うしかない。1TB、2TBモデルならメモリも16GBある。そうでなければほとんどの作業は、iPad Airで事足りると思うのだ。
●お絵描きクラスタにはAirの13インチがオススメ
 もちろん、日常的に多くの人が行う作業、つまり、文字を書くとか、プレゼン資料を作るとか、Webサイトを更新するとか、写真を加工するとか、(猛烈に高画素というわけではない)動画を編集するとかいう用途であれば、iPad Airは十分役に立つ。
 今回、新たに13インチモデルも用意されたので、「大画面は欲しいけれど、Proでなくてもいい」という人がiPad Airを選べるようになった。
 確かにディスプレイのクオリティに差はあるが、そもそもiPad Pro(M4)に搭載されているタンデムOLEDは、超高コントラスト、高彩度、デリケートな階調性の表現……などに長けており、これはどちらかというと写真や動画の編集作業で役に立つスペックだ。受け手が同じディスプレイで見るわけではないことを考えても、イラスト用途なども、iPad Air(M2)のLiquid Retinaディスプレイでカバーできるだろう。
 となると、多くの絵師さんはiPad Air 13インチモデルを選択できるようになると思うのだが、いかがだろうか? もちろん、予算に余裕があるなら、薄くて美しいiPad Pro(M4)13インチを選択するに越したことはない。
●絵を描く人にとってApple Pencil Proはマストバイ
 むしろ、絵を描く人にとって、今回の発表の白眉はApple Pencil Proだと思う。これは、絵を描く人なら一度使うとやめられないほど便利だ。
 Apple Pencil Proは、今回リリースされたiPad Pro(M4)とiPad Air(M2)でのみ利用可能。価格的にもApple Pencil(第2世代)と同じなのでリプレースされるようだが、相互に互換性はない。
 このApple Pencil Proは外見上、ロゴ以外はApple Pencil(第2世代)と完全に同じ。しかし、スクイーズと、バレルロール、触覚フィードバックの3つの機能を持つ。このApple Pencil ProもiPad Air(M2)で使えるのだ。
 強く握るとペン先に小さなメニューが現れ、そこからペン先や、色、太さを選択できる。筆者が試した状態ではまだ純正のアプリしか対応していなかったが、近々他のイラスト用アプリも対応するだろう。
 バレルロールは、カリグラフィや平筆のような表現に便利な機能で、Apple Pencil Proが軸の回転方向の情報を持つというもの。触覚フィードバックは、これらの機能の動作をiPhoneなどにも搭載しているTapticエンジン(コツコツという振動を作り出す)で伝えるというもの。
 いずれも便利なので、絵を描く人はぜひApple Pencil Proを検討していただきたい(旧型のiPadでは使えないので、今回発表されたiPad ProかiPad Airが必要になる点だけ注意)。
●Magic Keyboardの微妙なアンマッチ
 他の周辺機器にも触れておこう。
 Smart Folioは、前世代のiPad Air(第4〜5世代)と共通。3段階に傾きを変えることができる。
 Magic Keyboardは、アルミ製で若干軽くなった新モデルは使えず、前モデルのiPad Pro(11インチの場合、第4世代以前)のものと共用となっている。だが、カメラ部分の切り欠きがiPad Pro仕様なので、穴が大きくて少し不細工なのは変わらず。4万9800円もするのにこのアンマッチは少し納得できない。
 ちなみに、13インチの方も事情は同じでこちらは5万9800円。
●iPad Airがカバーする領域は広がっている
 iPad Pro(M4)の高性能は素晴らしいが、あちらは円安の影響もあってハイエンドの「プロ用機材」になってしまった感がある。一般的なプロ用途には、iPad Airは十分役に立つと思うので、検討されている方は参考にしていただきたい。多くの用途はM2で十分まかなえる。
 価格は11インチモデルが9万8800円から、13インチモデルが12万8800円から。過去のAirの価格を知ると割高に感じてしまうが、性能アップとApple Pencil Proへのサポート、13インチモデルの追加を考えると「Airでできること」は増えたように思う。

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