ワコムの有機ELペンタブで快適手書きメモライフ! 絵描きではないビジネスパーソンが「Wacom Movink 13」を試したら

2024年5月14日(火)12時5分 ITmedia PC USER

高さ(角度)をつけたかったため、ペンの置き場付きスタンドを3Dプリンタで製作しました。取りあえず突貫で製作したので、バージョンアップはこれからですね

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 私は大のガジェット好きですが、アナログが嫌いなわけではなく、デジタルでも手書きしたい派です。これまでiPadシリーズ、Galaxy Tabシリーズ、Galaxy Noteシリーズ、Surfaceシリーズ、電子ペーパーのBOOXシリーズなど、ペン活用ガジェットをいくつも試しており、実際に使い続けています。
 しかし、これらには大きな欠点がありました。それは「メインPCの入力装置として使えない」ということです。メインPCに接続する周辺機器として使えないと、デバイス間のデータ共有が手間であったり、(メインPCで起動している)オンライン会議で表示させたメモ画面に直接書き込めなかったりと使いづらかったのです。
 また、私のメインPCはMacです。Macはタッチパネル対応ディスプレイと相性があまりいいわけではなく、機能の制約や書き心地の悪さが気になります。
 そこでいわゆるイラストレーターのみなさんが使うような「ペンタブレット」を購入したこともありました。おおよそ狙った使い方はできるのですが、どうも「画面のギラつきが強く、目が痛い」「ディスプレイサイズに比べると本体が大きいため、かさばる」といった欠点があり、気軽に使うには少し難がありました。
 そうした中、ペンタブレットの雄であるワコムから、同社初の有機ELを採用したペンタブレット「Wacom Movink 13」(以下、Movink 13)が5月15日に発売されます。
 早速試用する機会を得たので、狙った使い方ができるかを中心に試してみました。なお、私はイラストを描いたりするわけではないので、プロクリエイターさんが求めるような視点でのレビューではない点、ご了承ください。
 結論を先に書きますと、「これは使える!」と感じたので既に予約を完了しました。100点満点ではありませんが、私のニーズに対して必要十分であり、思い描いている使い方ができると判断できました。
●とにかくスマート!
 液晶ではなく有機ELを採用している恩恵かもしれませんが、本体が軽くて、薄くて、コンパクトです。重さは約420gで、ペンタブレットとしては非常に軽い。実際に持ってみて、びっくりしました。また、約4mm(最薄部)という薄さも本体のスマートさに貢献しています。
 デバイスとの接続性にも優れています。USB Type-Cケーブル1本で給電からPCとの接続までを担えます。メインPCで作業しながら、手元でメモをとりたい時にケーブルをつなぐだけ。引き出しからメモ帳を取り出すような感覚ですね。これは機動性が高いです。本体の左右両方にUSB Type-C端子を搭載している点も素晴らしいです。配線の取り回しの自由度が高まります。
 気になっていたmacOSでの利用も問題ありません。Windowsで使う場合と同様に専用ソフトウェアのインストールは必要ですが、使い勝手は良好です。
●ディスプレイの品質が高く、とにかく快適!
 従来の液晶ペンタブレットで気になっていたのが画面のギラつきです。Movink 13は気になるギラつきはなく、目の負担が少ないと感じました。ディスプレイの表面にはアンチグレアとアンチフィンガープリント(防指紋)処理が施されており、光の反射も気になりません。
 表面のガラスと表示面の隙間もほぼ感じられず、視差が小さくなっています。ホバリング機能によってペン先をガラスに近づけるだけでカーソルが表示されるので、直感的な位置合わせができます。これもまた、書き心地の向上に一役買っています。
 こうした使いやすさは、アイデアをメモする時には大切なことです。小さな違和感があると集中力が途切れてしまい、疲労の原因にもなります。電子ペーパー端末を除いて、Movink 13は今まで私が体験した中で一番使い心地の良いメモ書きデバイスだと感じました。
 肝心の書き心地も自分好みです。私はGalaxyシリーズで採用されている先が柔らかめのペンタッチが好みですが、まさにその感覚です。付属の「Wacom Pro Pen 3」だけでなく、対応している他のペンが使えるのもいいです。パイロットコーポレーションとコラボして作られた「Dr. Grip Digital for Wacom」のようなペンは非常に面白いですね。スタイラスペンは電池不要のタイプなので、バッテリー管理が不要な点もグッドです。
 ディスプレイの発熱も少ないと感じます。使用中はほんのりと暖かくなる程度で、手元に置いていても特に気になりませんでした。
●タッチ機能のオン/オフが秀逸
 私が「これは使える!」と判断した最大のポイントは、タッチ機能の設定が柔軟であるところです。
 ディスプレイはペンでも手でも操作ができます。しかし、いくらペン入力時の誤認識を防止するパームリジェクション機能があっても、意図しない動きになってしまうこともあります。そのため、なるべくディスプレイに手が触れないように気を配りながら使うことも少なくありません。
 しかし、Movink 13には手のタッチ操作のみをオン/オフする機能が搭載されています。「手の操作は絶対に反応しない」という安心感があるだけで、こんなにもペン入力が快適になるのかと驚きました。本体の左右に配置された物理ボタンやタッチセンサーにオン/オフ機能を割り当てられるので、手軽にモードを切り替えられます。
 Windowsの場合、実は同じようにOS側で「手のみ反応をオフにする」という設定は可能です。しかし、デバイスマネージャーを開く必要があるので手間がかかってしまいます。Movink 13は物理ボタン1つで切り替えられるのが非常に便利でした。
●多少の惜しい点も
 細かな点で惜しいと感じた点もあります。まず、L字型のUSB Type-Cケーブルが付属しているのですが、下向きに接続すると物理ボタンが押せません。置いて使う場合は上向きに接続するので問題ありませんが、少し立てかけて使う場合、下向きに接続したくなることがあります。そもそも、物理ボタンの位置はもっと下側でもよかったのではと感じます。
 また、本体の軽さが災いとなり、片手で物理ボタンを押すと本体が動いてしまいます。本体横に配置するのではなく、画面の縁にあった方が押しやすかったと思います。
 代わりに画面の横にはタッチキーがありますが、やや反応が悪いように感じました。この点は慣れかもしれません。タッチキーの位置は薄い枠線があるだけなので、目の悪い私にはどこにあるのかがパッと判別できないというデメリットもありました。
 スマートさは欠けますが、物理ボタンを画面横に複数設置した方が、利便性は高かったように感じます。
 ペンの置き場所に困ることも多少残念な点です。Movink 13を使っているとタブレット端末のような感覚になってくるので、つい本体にマグネットで接続したくなります。
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●オンライン会議利用は狙い通り、ただし
 私はMovink 13をメインPCに接続して使う用途の1つとして、オンライン会議中のメモ書きを想定していました。ペンタブレットは外部ディスプレイとして認識されるので、いろいろと使い勝手がいいのです。
 こうしたもくろみは完全に達成できました。オンライン会議で画面を共有し、その場で会話しながらアイデアを書いていく──非常に心地よく活用できます。
 しかし、本当に惜しすぎる点なのですが、Movink 13はディスプレイの解像度が1920×1080ピクセルです。PC用途は縦幅があると情報量が多くなるため、1920×1200ピクセルが理想です。手持ちのディスプレイもわざわざ1920×1200ピクセルのモデルを探しているぐらいなので、そのような製品が発売されたら買い換えることになるでしょう。ここが、最後まで購入するか迷った点です。
 Movink 13は外部ディスプレイとして認識されるので、軽量なモバイルディスプレイとしても活用できます。そうした意味でも、やはり表示領域が1920×1200ピクセルあれば、より威力を発揮できたと思います。
●さっと使いたい時はAndroidデバイスに接続
 Movink 13のペンの書き心地は大変気に入りました。どこでも使いたくなってしまいます。しかし、当然ながら有機ELペンタブレットなので、OSは搭載しておらず、何かしらのデバイスに接続する必要があります。
 ここは試行錯誤中ですが、さっと使うにはAndroidスマホにつなぐのが一番手軽かなと感じています。しかし、スマホ接続の場合はペンタブレットに別途給電する必要がある点と、スマホによっては画面比率がうまく合わず、画面スペースがもったいない問題が出てきます。このあたり、うまく解決できる方法がないかを模索中です。
 なお、iPhone接続時はタッチ操作が行えません。外部ディスプレイとしてiPhoneの画面を表示することはできますが、Movink 13側からタッチ入力はできません。
●最初から最高の1台を選ぶ
 「メインPCで快適な手書きを実現したい」──そうしたケースでは間違いなくオススメできるペンタブレットです。もちろん持ち運びも苦ではないので、モバイル用途としても活用できるかと思います。
 価格はワコムの直販価格で11万8800円(税込み)と、決して安くはありません。しかし、中途半端な製品を購入して使わなくなるくらいなら、最初から高品質なMovink 13を選ぶというのはいい判断だと思います。

ITmedia PC USER

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