ChatGPTで文章の校正や推敲を行ってみよう

2024年5月25日(土)6時5分 ITmedia Mobile

 ChatGPTを具体的なシーンに合わせて活用する方法を練っていこう。今回は「文章の校正や推敲(すいこう)」に活用する想定で、具体的な使い方を考えてみたい。
 文章の題材として、ChatGPT自身に考えてもらった以下のようなエッセイ風の文章をベースにする。ChatGPTを使って、この文章をより良いものにしていく。
(文章ver.1)ChatGPTの出力──「昨日雪が降ったので庭で遊んだ。白い雪が積もり、まるで魔法のような雰囲気が漂っていた。初めて触れる雪は、手のひらで感じる冷たさが新鮮でワクワクした。雪だるまを作りながら、冷たい雪が手に触れる感触が心地よかった。庭中には静寂が広がり、雪が降る音だけが耳に響いた。白い銀世界で遊ぶことは、日常の喧騒から離れ、心に静寂をもたらしてくれる素晴らしい経験だった。」
 このままの文章としてやや違和感があるので、まず筆者が軽く手を加えて以下の様に整えた。ここからどのように推敲していけるか試していく。
(文章ver.2)筆者が手を加えたもの──「雪が降ったので、厚着をして庭に出た。一面に白い雪が積もり、まるで北国にきた様なような気持ちになった。今年初めて触れる雪は、記憶よりも冷たく、少しだけ痛かった。両手で収まるほどの小さな雪だるまを作りながら、冷えた手を息で温める。雪が降る音だけが耳に響く。ほんの束の間だが、日々の喧騒を忘れられた。」
 なお、本稿の検証は無料版でも使える「ChatGPT 3.5」の状態で実施したので、ChatGPT Plusを購読して「GPT-4」を選択した場合では、出力結果のクオリティーは少し変わるかもしれない。
●文章の評価をしてもらう
 まずは、ChatGPTにこの文章全体の評価をしてもらい、改善点があるか聞いてみる。具体的には、ChatGPTに対して、「次の文章Aはエッセイとして書いている文章の一節です。文章を評価したうえで、改善すべきポイントがあったら具体的に提案してください」と指示してみた。
ただし、改善版として出力されたテキストは、より豊かな表現になっている印象はあるものの、「だ・である調」と「です・ます調」が混ざっていた。
(文章ver.3)ChatGPTがリライトした文章──「雪が静かに降り始め、厚着をし、庭に足を踏み入れた。一面に広がる白い雪は、まるで北国の風景の一部のように感じられた。今年初めて触れる雪は、記憶の中で感じたよりも冷たく、少し痛みを伴っていた。私は両手で収まるほどの小さな雪だるまを作りながら、冷たさを感じる指先を息で温めました。雪が降る音だけが、静かな庭に響いていました。ほんの一瞬の間、日常の喧騒から解放されたように感じました。この小さな瞬間が、私にとって特別なものになりました。」
●校正用途で使う
 「だ・である調」と「です・ます調」が混在してしまったので、この点を修正していく。手動でやっても良いが、せっかくなのでChatGPTに校正してもらおう。
(文章ver.4)ChatGPTがさらに修正した文章──「雪が静かに降り始め、厚着をし、庭に足を踏み入れた。一面に広がる白い雪は、まるで北国の風景の一部のように感じられた。今年初めて触れる雪は、記憶の中で感じたよりも冷たく、少し痛みを伴っていた。私は両手で収まるほどの小さな雪だるまを作りながら、冷たさを感じる指先を息で温めた。雪が降る音だけが、静かな庭に響いていた。ほんの一瞬の間、日常の喧騒から解放されたように感じた。この小さな瞬間が、私にとって特別なものであった。」
●類語表現やニュアンスの変更に使う
 このの文章では、「雪が静かに降り始め」→「一面に広がる白い雪」という時系列に違和感があるし、自宅の庭に対して「庭に足を踏み入れる」という表現も変だ。「静か」や「一瞬」「瞬間」といった表現に重複を感じるので、筆者としては手を加えないとまずいと感じる。
 そこで、ChatGPTを駆使しながら、単語や慣用表現の単位で、類語表現を探しながら推敲のヒントを探ってみたい。例えば「厚着をし」の表現の書き換えを探ってみる。
 筆者のおすすめは、自力で買い替え表現を考えた上で、その書き換え表現について、“「〜」を別の書き方にしてください”と指示してよりより表現がないか探るアプローチだ。
 こうしたステップを各所で繰り返し、ところどころでChatGPTを使って書き換えのヒントを探りながら、細部を推敲していく。以下のように整った。
(文章ver.5)ChatGPTで表現を探りながら、筆者が推敲を重ねたもの──「庭が白くなっている。慌てて暖かいコートを着て、庭に足跡を付けにいく。一面に広がる白い雪は、まるで北国の風景を思わせた。今年初めて触れる雪は、記憶の中のそれよりも冷たく、少し痛みを伴っていた。両手で収まるほどの小さな雪だるまを作りながら、赤くなった指先を息で温める。辺りには、雪が降る音だけが響いている。ほんの一瞬ではあるが、日常の喧騒から解放されていた。空に溶けていった白い息は、私にとって特別なものであった。」
 最初の出力に比べると、かなり良い感じになってきた。
●一気にニュアンスを変える
 必須の手順ではないが、最後に一気に文のニュアンスを変えることも試してみたい。ChatGPTに対して、「文意は変えないで」「もっとカジュアルな表現で」という指示でリライトを依頼してみよう。
(文章ver.6)ChatGPTを使って、文意を変えずにカジュアルな表現でリライトしてもらったもの──「庭が雪で真っ白に覆われていたから、急いで温かいコートを着て、庭に行った。広がる雪は、まるで北国の風景みたいだった。今年初めて触れる雪は、思い出の雪よりも冷たく、ちょっと痛かった。小さな雪だるまを作りながら、寒い指先を息で温めたりしてたんだ。雪が降る音だけが、庭で聞こえてきて、ほんの少しの間だけ、普段の騒がしさから解放された感じがしたんだ。そして、私にとって、空へ消えていった白い息は、何か特別なものに感じられたんだよ。」
 修正する余地はまだあるが、一気に小説の登場人物が語っているような雰囲気へと変わった。こうした使い方ができることも覚えておこう。
 もちろん、推敲については8割以上が人力ではあるが、ChatGPTを力を使うことで、自力では思い付けない角度へと拡張することができたと感じる。当然、ビジネス文や文芸的な文章で、細かいアプローチはやや異なってくるだろうが、文章を整えていくための基本的な流れはおおむね共通していると思う。
 何か凝った文章を書く機会があれば、本稿の例を参考にしながら、どのような手順がより最善か検証を重ねてみて欲しい。

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