“むにゅ”っとやわらかいタッチディスプレイ 指で押すとぷにぷにへこむ 英国チームが開発

2024年6月13日(木)8時5分 ITmedia NEWS

指で押すとへこむ柔らかにソフトスクリーン

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 英バース大学に所属する研究者らが発表した論文「DeformIO: Dynamic Stiffness Control on a Deformable Force-Sensing Display」は、ユーザーの指の動きと指圧に応じて表面が柔軟に変形するソフトなタッチスクリーンを提案した研究報告である。「DeformIO」と呼ばれ、ユーザーがその表面を押したり触ったりすると、その場所の剛性を動的に柔らかく変化できる。
 DeformIOは、空気圧制御システムと特殊なシリコンゴム構造を組み合わせることで、表面の形状を変えずに剛性を変化させることに成功している。シリコンゴム構造の内部には、ケブラー糸が張り巡らされており、これが表面が膨らみ上がるのを防ぐ役割を果たしている。
 一方で、ユーザーが表面を押し込むと、ケブラー糸が縮むことで変形を妨げない。この非対称弾性設計により、内部の空気圧を高くしても表面が膨らまず、押し込むと柔らかく変形するという特性を実現している。
 さらに、DeformIOの表面全体には、細かな力センサーのグリッドを配置。これにより、ユーザーが複数の指で同時に力を加えた場合でも、それぞれの位置と強さを正確に検出できる。
 研究チームは、ロボットアームを使って3000回以上にも及ぶ評価実験を行い、DeformIOがさまざまな条件下で力の入力と剛性の出力を適切に行えることを確認した。また、10人のユーザーによるユーザースタディーでは、参加者全員が2点同時の力入力を正確に行えること、視覚フィードバックなしでも3段階の剛性の違いを区別できることを示した。
 Source and Image Credits: James David Nash, Cameron Steer, Teodora Dinca, Adwait Sharma, Alvaro Favaratto Santos, Benjamin Timothy Wildgoose, Alexander Ager, Christopher Clarke, and Jason Alexander. 2024. DeformIO: Dynamic Stiffness Control on a Deformable Force-sensing Display. In Extended Abstracts of the 2024 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems(CHI EA ’24). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 98, 1-8. https://doi.org/10.1145/3613905.3650772
 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2

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