「二枚舌で腹黒」北朝鮮で再び高まる反中感情
北朝鮮の緊張緩和を受けて、冷戦状態だった中朝関係は落ち着きを取り戻した。多くの中国人観光客が北朝鮮を訪れ、中国からの援助で北朝鮮の食糧、電力事情は改善した。そんな中で「親中感情が高まっている」と伝えたのは、今年6月のことだ。
ところが、ここに来て再び北朝鮮の人々の中国に対する感情が悪化していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
中国の丹東にやってきた平壌市民によると、市内では9月9日の建国記念日の行事に中国の習近平国家主席が参加するとの噂で持ちきりだが、そのせいかしばらく収まっていた反中感情が再び頭をもたげつつあるという。
「中国は『血で固められた友誼』などと言って北朝鮮との関係を強調していたくせに、国連(安全保障理事会)の制裁決議に同調した。それでわが国(北朝鮮)がどれほど苦しんだかわかっているはずだ。わが国が南北関係を正常化させ、米朝関係を急進展させたら、中国が急に態度を一変させ馴れ馴れしくなった。腹の底が丸見えだ」(平壌市民)
また、「北朝鮮はまた中国に手のひらで転がされている」「中国という国は朝鮮をどこまでも属国扱いしている」などいった批判も聞かれるという。
中国の大連に駐在する北朝鮮の貿易関係者も平壌で反中感情が高まっていることを認め、次のように語った。
「平壌の知識人たちは、中国が北朝鮮に大々的な投資をしようとするのは、北朝鮮の地下資源を根こそぎ奪おうと目論んでいるからで、米朝関係に冷水を浴びせかけようとするものだと見ている。習近平政権を擁護し、無条件で従おうとする中央(金正恩党委員長)のやり方を『事大主義』的だと批判している」(貿易関係者)
また、中国との貿易に長年携わった経験から「中国は決して北朝鮮の味方ではなく、だからといって北朝鮮を捨て去ろうともしない二枚舌を持っている。中国がどのような国か身にしみてわかっている」とも述べた。
反中感情の高まりに焦った当局は今年4月「中国を貶めたり侮辱したりする発言はやめよ」と人民班(町内会)を通じて通達を出したが、効果はあまりなかったと情報筋は説明した。まさに「自業自得」という状況だ。当局は今年の初めまでさんざん反中感情を煽っていたからだ。
多くの市民を集めて行われた政治講演会では「中国は千年の宿敵」などというレトリックが登場するほどだった。
反中感情が高まる一方で、反米感情が急速に薄らいでいる。
「休みのときに平壌に帰ると、平壌市民の反中感情はなかなか収まりそうにないが、仇(かたき)扱いだった米国への好感度が徐々に高まりつつあることを肌で感じる。平壌市民のみならず地方のトンジュ(金主、新興富裕層)も、酒の席で『米国の(トランプ)大統領は元々大儲けしたビジネスマンだから、米朝関係をいい方向で解決しようとしている』などと話している」
ちなにみ、揺れ動く中朝関係のスケープゴートとされ続けてきたのが、北朝鮮に在住する5000人あまりの華僑たちだ。
Copyright(C)DailyNKJapan 2014
「北朝鮮」をもっと詳しく
「北朝鮮」のニュース
-
日中韓3か国首脳会談 FTA交渉加速など盛り込んだ共同宣言採択 北朝鮮めぐっては温度差も5月27日13時58分
-
北朝鮮が日本海にミサイルを撃つ理由とは? 累計96万部突破の大好評シリーズ最新作発売!5月27日12時46分
-
北朝鮮が衛星打ち上げを事前通報 期間は5月27日午前0時から6月4日午前0時までの間 林官房長官「打ち上げ中止求める」5月27日11時51分
-
【速報】岸田総理「強く中止を求める」北朝鮮の「衛星」打ち上げ通告受け5月27日10時34分
-
北朝鮮が「衛星ロケット」打ち上げを海上保安庁に予告 27日午前0時〜来月4日午前0時までの間5月27日10時2分
-
北朝鮮、「衛星」打ち上げ通告=きょう期間入り、政府警戒5月27日7時13分
-
北朝鮮、衛星打ち上げを日本の海保に通告 6月4日午前0時まで5月27日6時29分
-
「腹が減って農作業ができない」北朝鮮が陥った食糧不足の悪循環5月27日4時2分
-
【速報】北朝鮮が衛星ロケット打ち上げを予告 27日午前0時〜来月4日午前0時 岸田総理“情報収集・分析に万全を期し、適切な情報提供実施”など指示5月27日3時26分
-
北朝鮮が人工衛星打ち上げ予告 海域に警報、日米韓が中止要求5月27日3時25分