「カネになることしかやらない」ハマス支援説の北朝鮮
共同通信によれば、韓国軍合同参謀本部の関係者が17日、「北朝鮮がイスラエルに大規模攻撃を加えたイスラム組織ハマスと武器取引や戦術訓練などで直接、間接的に連携しているとの見方を示した」という。
この関係者はまた、ハマスによる未明の大規模なロケット弾攻撃や無人機による通信・監視設備の破壊などの戦術面での特徴に言及し、「北朝鮮が訓練を支援した可能性もある」としたと共同は報じている。ただし、この関係者は具体的な証拠は明示せず、軍の分析結果として伝えたという。
こうした分析には、どれだけの価値があるのだろうか。ハマスの使用しているロケット推進龍弾発射器や砲弾の一部が、北朝鮮製であるのは間違いないだろう。しかし、「訓練を支援した可能性」というのは、ちょっとどうかと思わざるを得ない。
確かに北朝鮮は、第4次中東戦争に空軍を派兵するなど、アラブ・パレスチナを支援しイスラエルと敵対してきた歴史はある。だからといって、ハマス戦闘員の訓練を支援しているとするような情報を過去に見た記憶はない。
北朝鮮が、イランに武器を輸出してきたのは周知の事実であり、シリアやエジプトとも武器取引を行ってきた歴史がある。もしかしたら、こうした国々と特殊部隊の訓練でも連携してきたのかもしれない。
ハマスに渡った北朝鮮製の武器は十中八九、イランやシリアから流れ込んだものだろう。だがそれをもって、北朝鮮がハマスと「間接的に連携」しているかもしれないと見るのは飛躍に思える。
北朝鮮の武器取引にも詳しいソウル在住の脱北者もデイリーNKジャパンの取材に対し、「ハマスに渡った武器はイラン経由だと見て間違いない。北朝鮮は、カネにならない取引は絶対にしないからだ」と断言した。
北朝鮮の軍事動向について、世界で最も詳しいと思える韓国軍は、本気で北とハマスの連携を疑っているのだろうか。あるいは単に、中東の過激派との結びつきを強調することで、国際社会の北朝鮮批判を強めたいのだろうか。
後者が目的だとしたらまったく無駄な取り組みだ。そんなことをしなくても、金正恩体制は十分に嫌われている。むしろ、「韓国軍が突飛なことを言っている」と思われたら、その方が損だろう。
Copyright(C)DailyNKJapan 2014
「ハマス」をもっと詳しく
「ハマス」のニュース
-
人質2人死亡、イスラエル軍のラファ空爆で=ハマス軍事部門6月15日2時0分
-
ハマスが全人質の解放前にイスラエル軍の完全撤収を要求…ガザ新停戦案、交渉は難航必至か6月14日20時13分
-
ガザ停戦「最大の障害はハマス」 バイデン氏、G7で外交努力継続6月14日19時12分
-
ラファ戦闘激化 バイデン氏、ハマスが「停戦最大の障害」6月14日19時6分
-
国連「恥ずべきリスト」にイスラエルとハマスの双方…子供の人権侵害5000件超6月14日18時31分
-
パレスチナで「武装闘争」支持が54%に増加、ハマス40%=調査6月14日10時26分
-
ハマス、ガザ停戦実現へ行動すべき=バイデン氏6月14日3時54分
-
ガザ停戦案への要求、重要な修正含まず ハマス幹部表明6月13日16時51分
-
衆院がガザ停戦求める決議6月13日16時11分
-
1週間以内のガザ撤収を要求 ハマス修正案、中国ロシア保証も6月13日8時57分