「女優たちと地下トンネル」金正日の権力型性犯罪

デイリーNKジャパン2021年11月20日(土)18時10分

中国共産党の幹部だった張高麗元副首相から性的関係を強要されたと告白し、行方が分からなくなった女子テニスの彭帥選手(中国)を巡り、米ホワイトハウスが行動に出た。


サキ報道官は19日、中国政府に対し、同選手の所在確認と安全確保について「独立した検証可能な証拠」を提示するよう要請。「彭帥選手が、中国共産党幹部による性的暴行を告発した後、行方不明になっているとの報道に深い懸念を抱いている」と強調した。


米国内ではまた、共和党のジム・バンクス下院議員がバイデン大統領に書簡を送り、「(彭帥選手の)人権を侵害していることについて中国当局が適切に対処しなければ、中国で開催される2022年の冬季オリンピックに悪影響を及ぼし、ボイコット運動を助長させることになると、中国当局に警告すべき」と要請したという。


彭帥選手の告白が事実なら、そうした権力型性犯罪は国家が進んで正すべき重大な人権侵害と言える。中国のような一党独裁国家では、司法や言論の力には限界があり、外圧は自浄作用を促す重要なファクターとなる。


そして中国のほかにも、このような権力型性犯罪の横行が非難されるべき国がある。北朝鮮が、そのひとつだ。脱北者出身で東亜日報記者のチュ・ソンハ氏に至っては、「権力型性犯罪は、恐らく北朝鮮が世界1位(最悪)だ」とまで言っている。


チュ氏は自らのブログで「中央党(朝鮮労働党中央委員会)庁舎の近くに芸能人専用のマンションを建てさせ、執務室から地下トンネルを通り、気の向くままに訪れていたのが金正日だ」と指摘。


さらに「この女優、あの女優と皆に手を出し、新人が出てくるとそれまで弄んでいた女性芸能人を腹心の幹部に下賜するように譲り渡し、その高位幹部も適当に遊んで自分の腹心に譲り渡し、このような仕組が北朝鮮には存在する。これについては、証言している人々が大勢いる」と説明している。



続けて、「金正日がこうなので、張成沢(チャン・ソンテク)や崔龍海(チェ・リョンヘ)のような腹心たちも真似る。(中略)金正日は自分もやっていることなので、幹部たちに対しても寛大で、これ(性犯罪)で処罰も受けない。(被害者が)口を開けば死ぬことになるので告発もなく、言論(の自由)もないので記事になることもない」と嘆く。


そして時代は変わり、政権は金正日から息子の金正恩総書記に移った。金正恩氏については、金正日氏のように具体的な「女性遍歴」の情報がない。まだ知られていないだけなのか、父親とは根本的に違うのか。後者であることを、願わずにはいられない。

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