【角田裕毅F1第2戦分析】ライバルの戦略に阻まれた決勝。ペースにも疑問が残る「入賞できる速さがあったかわからない」
F1第2戦サウジアラビアGPの決勝レースで、角田裕毅(RB)は前戦バーレーンGPと同じ14位でチェッカーフラッグを受けた。
じつはスタート直後の1周目のポジションも開幕戦と同様、10番手だった。しかし、角田は今回もポイントに手が届かなかった。
ただし、その理由はバーレーンGPとは異なっている。バーレーンGPでの敗因は、やや保守的なピットストップ戦略にあった。バーレーンではポイント圏内を走行していたため、ライバルチームのややアグレッシブなピットストップ戦略に対応が遅れ、アンダーカットを許してしまった。
今回のサウジアラビアGPでは、7周目にランス・ストロール(アストンマーティン)がクラッシュしセーフティカー(SC)が導入された翌周に、RBは角田をピットに呼んだ。この周にピットインしたのは角田を含めて18人中13人いたことを考えれば、RBが採った戦略は間違いではなかった。
では、なぜ角田は入賞を逃してしまったのか? その最大の要因となったのが、ハースの戦略にあったことは言うまでもない。
ストロールのクラッシュによりSCが導入された際、ステイアウトした4台のなかにハースのニコ・ヒュルケンベルグがいた。トップ5チームのうち、ストロールがリタイアしたことで、残りの5チームのなかから1台にポイント獲得のチャンスが出てきたタイミングで、ハースは13番手を走行していたヒュルケンベルグをステイアウトさせるギャンブルに出た。
13人がピットインすると、ヒュルケンベルグのポジションは8番手に浮上。ただし、ヒュルケンベルグが入賞するためには、トップ5チーム以外でピットインを済ませたドライバーのなかで先頭を走っていた角田との間にピットストップロスとなる約20秒のギャップを築かなければならない。
レースが再開された10周目の段階でヒュルケンベルグと角田の差は2秒。だが、ここで大きな役割を果たしたのがヒュルケンベルグのチームメイトであるケビン・マグヌッセンのサポートだった。17周目にコース外を走行した後に強引に角田の前に出たマグヌッセンは、その後もポジションを戻すことなく、角田を執拗にブロック。その後10秒のタイムペナルティを科せられたものの、ヒュルケンベルグとのギャップを広げることに成功した。
角田とRBにとって誤算だったのは、予選で9番手を獲得したほどのペースがレースではなかったことだ。SC明けのレース再開時の10周目に角田の前を走行していたのはステイアウトしていたもう1台の周冠宇(キック・ザウバー)だった。角田がマグヌッセンに抜かれたのが17周目だったから、8周チャンスがあった。新品のハードタイヤを履く角田のマシンに、10周以上周回したミディアムタイヤを履く周を抜く速さがあれば、マグヌッセンからの攻撃を受けることはなかったかもしれない。
レース後、角田はこう語った。
「そもそも入賞できる速さが完全にあったのかどうかわかりません。というのも、今日はペースに本当に苦しみましたから。バーレーンではレースペースは決して悪くなかったんですが、今回、なぜ決勝レースでペースがよくなかったのか? そこをしっかりと検証していきたい」
そして、こう続けた。
「まあ、それ以外にも今日はいろいろとあったので、それらを見つめ直さなければならないと思います」
というのも、この日、角田はレース前のレコノサンスラップに向けてガレージを出る際に、ピットレーンを走行中のランド・ノリス(マクラーレン)とあわや接触しそうになるというインシデントを起こしていた。
レース後、スチュワード(審議委員)は角田に対して、5秒のタイムペナルティを科した。
「22号車のドライバーは、ガレージから出て行くことに意識が向いていたために、チームのナンバー1メカニックが出て行かないよう合図しているのを見ていなかったことを認めた。彼はその見落としについて謝罪した」
これにより、14番目にフィニッシュした角田は、15位に降格となっている。
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