開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:Modulo Nakajima Racing
新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入、年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第10回目は、GT500クラスのModulo Nakajima Racingだ。
■Modulo Nakajima Racing
マシン:Modulo NSX-GT
ドライバー:伊沢拓也/大津弘樹
カーナンバー:64
監督:本間勝久
総監督:中嶋悟
タイヤ:ダンロップ
日本人初のフルタイムF1ドライバー、中嶋悟がF1に向けた自らのマネージメントのために1983年に立ち上げたのが中嶋企画。JGTC全日本GT選手権/スーパーGTにおいて長い歴史を誇るModulo Nakajima Racingのチームの母体だ。現在もスーパーGTのほか全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦しているとおり、中嶋企画として1984年から全日本F2に参戦した。
フォーミュラでは、その後もNAKAJIMA RACINGとしてトム・コロネルや高木虎之介、ラルフ・ファーマン、ロイック・デュバルなど多くのチャンピオンを輩出。またJTCC全日本ツーリングカー選手権やN1耐久、全日本F3などにも参戦している。
そんなModulo Nakajima Racingが、初めてNSXでレースに挑んだのが1995年のル・マン24時間。PIAAのロゴをまとったホワイトに塗られたTCP製のNSXで挑み、シェイクダウンでは中嶋悟代表も乗り込んだが、悔しい予備予選落ちに。ただその後も十勝24時間や鈴鹿1000kmに挑みトップ争いを展開している(このときカーナンバーは85や99をつけた)。
JGTC全日本GT選手権には、ホンダが本格的に参入した次の年にあたる1998年から参戦を開始した。1998〜2003年まではMobil 1のカラーリングをまとい、山西康司やコロネル、ラルフ・ファーマン、そしていまやニッサンのイメージが強い松田次生がエースとして活躍をみせた。
2004年からは、新たにエプソンのカラーリングをまとい心機一転。03年からコンビを組んだ次生とアンドレ・ロッテラーのコンビで、その頃苦戦していたNSX勢のなかで1勝をマーク。2005年はダンロップにスイッチしたが、その年の富士では、次生とZENT CERUMO SUPRAを駆る立川祐路が歴史に残る名勝負を披露した。
2006年からはロイック・デュバルがチームに加わり4年間ドライブ。ちなみに2007年最終戦のJGTC/スーパーGTの記念すべき100戦めのレースで優勝を飾ったのがデュバル/ファビオ・カルボーン組だ。マシンがホンダHSV-010となった2010年からは道上龍が4年間、2013年からは中嶋大祐が4年、2014年からはベルトラン・バゲットが5年間と、比較的ひとりのドライバーが長く在籍することが多いチームだが、それもチームの雰囲気の良さが現れているからだろう。
さて、そんなModulo Nakajima Racingは現在『64』というカーナンバーをつけている。この由来は、中嶋悟総監督の現役時代の活躍にちなむ。1989年、ロータス・ジャッドをドライブしていた中嶋は、最終戦のオーストラリアGPで予選23番手から強い雨のなかで怒涛の走りを披露。64周目に自身唯一のファステストラップを記録し、“雨のナカジマ”のイメージを決定づけた。
このファステストラップを記録した周回数『64』がカーナンバーの由来。実はチームスタッフによれば他にも由来は諸説あるようなのだが、「中嶋もこの由来だと言っているので」というわけで、ファステストラップの周回数が由来ということになっている。
なお、エプソンのカラーリングとなった2004年から2015年までは『32』を使っていた。これは、レース時にサーキットで販売される公式プログラム等で、『64』だと掲載順が後ろになってしまうため、ひと桁が1か2の数字を探した結果、たまたま空いていたのが32だったのだとか。
2020年はその開発能力を買われ伊沢拓也が加入し、かつてチームに在籍した道上龍の薫陶を受けた若き大津弘樹が加入する。チームだけでなくファンも2019年のスーパーGT×DTM特別交流戦でみせた中嶋総監督の笑顔をふたたび観たいはずだ。
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