ハイパーカーより速いLMP2に「少し驚いた」とトヨタのブエミ。クラッシュのアストンはマシン交換へ/WECプロローグ初日Topics
ベルギーのスパ・フランコルシャンで4月26日から行なわれているWEC世界耐久選手権の開幕前公式テスト“プロローグ”初日は、2セッションともにLMP2クラスのユナイテッド・オートスポーツUSA22号車オレカ07・ギブソンがトップタイムをマーク。LMP1に代わってル・マン・ハイパーカー(LMH)規則が導入された最高峰ハイパーカークラスにエントリーするトヨタGAZOO Racingは、格下クラスの思わぬ下克上を受ける形となった。
■トヨタ7号車はトラブルで数周のみの走行
トヨタの7号車GR010ハイブリッドは午前中のセッション1では計測を行なわず、午後のセッションの終盤になって数周の計測を行なったのみだった。6周を周回したマイク・コンウェイのベストタイムは2分10秒101で、このセッション総合17番手。小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスは周回しなかった。
2019-20チャンピオンである7号車のクルーが数時間のトラックタイムを失った理由として、トヨタは電気と油圧の問題を挙げている。
また、午後のセッションでトップからコンマ5秒落ちの6番手となったトヨタ8号車GR010ハイブリッドをドライブするセバスチャン・ブエミは、LMP2カーが総合トップに立った月曜の2セッションについて「少し驚いた」と語っている。
「もう少しうまく1周をまとめることができたと思うが、僕らはあまり多くのタイヤを履かなかったんだ」とブエミ。
「僕たちはダブルスティントをしようとしていたが、この“ハイ・デグラデーション・トラック”では簡単なことではない」
■ハイパーカー失速の謎と「運転が難しい」LMP2勢
トラック上でのLMP2クラスとの差について尋ねられると、ブエミは次のように述べた。
「僕はこれまで、LMP2カーにパスされたことはなかった。おそらく、彼らのうちひとりが、1ラップ、いい仕事をしたということだろう。僕らはもう少し速く走れると思うが、それでも足りてないのは明らかだ」
LMHマシン(トヨタGR010ハイブリッド)およびLMP1マシン(アルピーヌA480)で構成されるハイパーカークラスと、LMP2クラスのマシンとの全体的なペース差は、プロローグおよび今週末に開幕する2021シーズンへのアプローチについて、いくつかの疑問を提起している。開幕前のプライベートテストでトラックを共有した際には、ハイパーカー(クラス)はLMP2よりも速いと見られていたからだ。
最高速という面では、ハイパーカークラスはLMP2を上回っている。LMP2の最高速がユナイテッド・オートスポーツUSA22号車の301km/hであったのに対し、アルピーヌ・エルフ・マットミュートの36号車アルピーヌA480と、トヨタGAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッドの2台は、ともに308.7km/hをマークしている。
今季のLMP2車両は、最高出力が400kW(536hp)に抑制され、最低重量も昨年より重い950kgに設定されている。これはトップカテゴリーのLMHマシンがLMP1ハイブリッド時代よりも遅くなることを受け、2クラス間のギャップを維持するための措置だ。昨シーズンのLMP2は、同じギブソンV8エンジンで約600hpを発揮していた。
テスト初日のLMP2の最速ラップは2分4秒822だったが、昨年のスパにおけるドライでのプラスティス・セッションでは、このカテゴリーの最速タイムは2分03秒台だった。また、2020年の予選からの最速ラップは、今回のプロローグ初日のベストタイムよりも3秒速いものだった。
また、スピード抑制のための新たなルールの一部として現在LMP2マシンに義務付けられているローダウンフォース仕様のエアロパッケージについて、パドックの何人かのドライバーとチームメンバーは運転が難しいと説明している。
チームWRTの31号車オレカ07をドライブしたロビン・フラインスは、ローダウンフォース仕様での初めてのラップで「すべてのコーナーのエイペックスを逃した」と認めている。フラインスは数週間前、バルセロナでの2日間のプライベートテストにおいて、ハイダウンフォース仕様でマシンをドライブしていた。
フラインスはその後、すぐにリズムを取り戻し午後のセッションでは3番手となるタイムをマークしている。セッション終盤に31号車はコース上でストップし赤旗の原因となったが、これはガス欠が原因であった。
なお、LMP2のJOTAは28号車オレカを駆るショーン・ゲラエルがラディオンの頂上で大クラッシュをした後、新たなシャシーを持ち込んでいる。共同オーナーであるサム・ハインネットは、ゲラエルが無傷であると報告している。
■TFスポーツはイギリスから代替マシンを輸送中。2日目は参加予定
また、午前のセッションでクラッシュしたLMGTEアマクラスのTFスポーツ33号車アストンマーティン・バンテージAMRは、同チームがELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズで使用するアストンマーティン・バンテージGTEを、スパ・フランコルシャンへと輸送中だ。
33号車はベン・キーティングがラディオンの丘を登りながらコントロールを失い、左側のバリアに衝突、シャシーに損傷を受けた。
チーム代表のトム・フェリエはSportscar365に対し、チームが本拠を置くイギリスから、交換用の車両をベルギーへと持ち込む過程にあると認めた。チームは火曜日の午前5時頃にシャシーを受け取って2日目のセッションへと参加する準備ができている。
フェリエによれば、4月18日にバルセロナで開催されたELMS開幕戦に出場したバンテージAMRは、走行する準備ができている状態にあるという。
また、プロローグ初日には同じくTFスポーツがオペレートするDステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMRも単独クラッシュを喫した。
左リヤタイヤのパンクチャーによる星野敏のアクシデントは、キーティングのクラッシュからのセッション再開後、わずか10分というタイミングで発生した。ラディオンの左側のタイヤバリアに衝突した777号車は、修復される見込みだ。
フェリエによれば、バリアへ斜めに衝突した33号車とは異なり、777号車はフロントからクラッシュしたことでシャシーへの深刻なダメージを防ぐことができたという。
キーティング、星野ともに歩いてマシンから降り、メディカルセンターでのチェックの後、いずれもチームへと戻っている。
TFスポーツがスパでの主要なレースに先立って、シャシー交換をする必要に迫られたのはこれが初めてではない。2019年スパ24時間レースでは、クラッシュによって急遽ブリティッシュGTを戦うシャシーを持ち込んだが、その結果プロ・アマクラスの優勝を達成している。
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