事前計量も危なげなくパス! “悪行”三昧だったネリが井上尚弥を燃えている「イノウエとの試合には価値がある」
井上との大一番に向け、ネリはかつてないほどにコンディションを高めている。(C)Getty Images
メガマッチに向け、29歳のメキシカンはかつてないほどの意欲に満ちている。
5月6日に東京ドームで行われるボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)とのタイトルマッチを前に、元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)は、プロモーターを務めるショーン・ギボンズ氏のSNSで事前計量をパスしたと報告。リミット55.3キロまであと1.3キロに迫る124.7ポンド(約56.56キロ)と順調な調整具合を伺わせた。
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WBCの定める事前計量は、30日前がリミットの10%(60.83キロ)、15日前が5%(58.065キロ)、7日前が3%(56.959キロ)とそれぞれ上限が決まっている。そうしたなかで、無事にネリはパスした格好となった。
ネリが過去に体重超過によって汚点を残したのは周知の通りだ。2018年3月の山中慎介(帝拳)戦の前日計量で2.3キロのオーバー。再計量でも1.3キロも超過となり、試合前に王座剥奪の処分が下された。
前年にも山中戦を前に禁止薬物の陽性反応が出ていたこともあり、日本ボクシングコミッションからは、日本国内での無期限活動停止処分を受けていたネリ。この井上戦を前にし、同処分は解除されたものの、大橋ジムの大橋秀行会長は「(体重オーバーなら試合は)絶対にやらない」と断言。悪しき前例をふまえ、WBCによるドーピングテストを含めた厳格な事前計量義務を設けていた。
そうしたなかで、ゴングまで1週間となった段階で、きっちりと事前計量義務をこなしたネリ。ここまで調整に躍起になるのは、井上側が設けた厳格な計量義務をこなさなければいけないというのもあるが、彼なりの理由がある。
過去に山中戦について問われ、「もちろんトレーニングは続けていたけど、始めると二日酔いに悩まされていた。今はそんな無茶はしていないけど、あの試合は楽だった」(母国のポッドキャスト番組『Un Round Mas』でのコメント)と振り返っていたネリは、メキシコのスポーツ専門局『TV Azteca』で、井上戦に向けて過酷な減量をこなすワケを語っている。
「イノウエとのこの試合には価値があると分かっているから、俺は5か月も特訓してきた。そして、厳しい減量もこなしている。あれだけのビッグファイトなのに、日本に来て、負けるなんてありえない」
無論、体重のリミットを遵守するのは、プロボクサーに科せられる当然の義務。だが、これまで悪行の限りを尽くしてきたネリが、別人かのように減量に取り組む姿にはいささか驚きもある。それだけで試合に向けた興味を抱かずにはいられない。
「全く違う俺が見られると思ってくれ」
そう豪語するネリは、果たして、井上にどう挑むのか。ゴングの瞬間が待ち遠しい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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