WEC:LMP2最大勢力のオレカに挑むリジェ「1秒差なら戦略や信頼性などで勝負を仕掛けられる」
フランスのオンローク・オートモーティブ代表のフィリップ・デュマは同社が展開するLMP2用シャシー『リジェJS P217』に投入したル・マン用の改良型エアロキットにより、LMP2クラスで最大勢力を誇るライバルであるオレカ07シャシーとの差を縮められたとの考えを示している。
2017年からLMP2には新規定が導入され、エンジンはギブソン製GK428のワンメイク、シャシーはオレカとダラーラ、オンローク(リジェ)、ライリーの4メーカーから選択するレギュレーションになった。
しかし、その新規則導入初年度となった2017年シーズンではオレカ製シャシーがスピードでライバルを圧倒。WEC世界耐久選手権ではLMP2クラスに参戦する全チームがオレカを選択したため、実質的なワンメイクレースになっていた。
この状況を受け、FIAとACOは2018年に向けてオレカを除く3メーカーに1度だけシャシーのアップデートを許可する“ジョーカー”を提供。オンロークは第86回ル・マン24時間に向けて、そのジョーカーを使用した。
このアップデートが功を奏したか、6月3日に行われたル・マンテストデーではリジェユーザーのユナイテッド・オートスポーツの22号車JS P217・ギブソンがオレカ勢とのギャップを短縮。昨年は約4秒あった差を約2秒まで縮めている。
また、13日に行われたフリープラクティスでは、クラストップにつけたGドライブの26号車オレカに対し、22号車リジェが1.755秒差、公式予選1回目はアイデックスポーツの48号車オレカに対し、22号車リジェが1.816秒差のクラス6番手につけた。
「去年よりは悪くない。ただ正直、ジョーカーを使用すると決めてからの短い間にできたのはQCF(クイック・チェンジ・フロント)に手を加えることぐらいだった」とデュマ。
「ただ確実にギャップは縮めることができた。去年は3.5秒以上あった差が1秒ちょっとまで縮まっている。これは勝利宣言をしてもいい状況だよ」
「24時間レースであるル・マンでトップから1秒差なら、戦略や信頼性、(チームやドライバーの)参戦ラインアップで勝負を仕掛けられる」
「いつも同じことを言っているが、トラブルに巻き込まれず、信頼性を発揮すればいい。今年は全部で8チームがリジェを使っている。素晴らしいチームとドライバーが顔を揃えていて、去年より状況は確実にいいよ」
ここまでのセッションすべてでリジェ勢トップにつけるユナイテッド・オートスポーツの共同代表、リチャード・ディーンもデュマの見解に同調しながらも「予選のペースではオレカと2秒以内につけられればいい。ただ、そこまで予選のペースは重要ではない」と述べている。
「レースペースのほうが興味がある。どうなるかは分からないけどね。ただいいタイムを刻める予感はあるし、レースでは優勝を争うチャンスがあるはずなんだ」
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