メルセデスF1、スペイン後に新たな問題が浮上。バクーでは「行き過ぎたセットアップでドライバーを苦しめてしまった」
メルセデスF1チームは、アゼルバイジャンGPでパフォーマンスをできる限り引き出そうとするなかでW13に実験的なセットアップを試し、それによってドライバーに大きな不快感を与えることになったと認めた。
2022年の新世代F1マシンの特徴的な問題であるポーパシング現象(空力に由来する激しい縦揺れ)に、他チームより悩まされてきたメルセデスは、スペインGPでその理解を進めることができ、これをコントロール下におくための取り組みに進歩があったと述べていた。
しかしモナコとアゼルバイジャンで、メルセデスは再び苦しむことになった。硬く乗り心地が悪いマシンでバウンシングに見舞われながら走ったルイス・ハミルトンは、レース中から激しい背中の痛みを訴え、レース終了後、身体的ダメージのためにマシンからなかなか降りることができないほどだった。
メルセデスのチーフストラテジストであるジェームズ・ボウルズは、アゼルバイジャンGPを振り返る動画のなかで、ハミルトンの近況を伝えた。アゼルバイジャン直後、ハミルトンは連続開催であるカナダGPに出場できない可能性があると、チーム代表トト・ウォルフは述べていた。
「ルイスが今朝、ここ(ブラックリーのファクトリー)に来ていることをお知らせできてうれしい」とボウルズは言う。
「彼と数時間一緒に過ごしたが、彼は大丈夫だ。モントリオールでまたマシンに乗るだろう」
「彼は一流のアスリートであり、自分自身とマシンの耐久性を限界まで押し広げる。それがF1ドライバーの仕事であり、だからこそ彼らは特別な存在なのだ」
マシンのパフォーマンスを最大限引き出したいメルセデスは、バクーでセットアップの実験を行った。それによって、ハミルトンとジョージ・ラッセルを非常に辛い環境に置くことになったと、ボウルズは認めた。
「今回、我々はパッケージとドライバーたちをプッシュしたが、それが度を越したレベルだった。それによってドライバーたちを極めて不快な状況に陥れた。二度とこういうことはできない」
ハミルトンは、レース中、シートが冷たいと発言していたが、身体のしびれからそう感じていたことが明らかになった。
「ルイスに何があったのかを聞いた」とボウルズ。
「マシンには何の変化もなかった。バウンシングにより背中を何度も何度も打ち付けられた結果、しびれた起きた。それによって、冷たいという感覚が起きたようだ」
「マシンに冷たくなったものは何もなかった。レースの間ずっと痛みに耐えてきた結果なのだ」
「苦しんでいたのは我々のドライバーたちだけではない。報道を見ると、多数のドライバーが同じように不快感や痛みを感じているという発言がたくさん伝えられている」
「我々には、この状態が続かないようにする責任がある」
ボウルズは、ポーパシングとバウンシングは異なる現象であるとして、メルセデスはスペインでポーパシングの影響を大きく改善することができたが、モナコとアゼルバイジャンではバウンシングに苦しんだと述べている。
「バルセロナではマシンは安定し、力強かった。そのため車高を下げることができた。それが鍵となった」とボウルズは言う。
「空力的により多くのことができるパッケージを作ることができた。セットアップに取り組み、パフォーマンスを生み出すために車高を下げることができた」
「だが、モナコとバクーに来て、残念ながらふたつめの問題が発生した。最初の問題によって覆い隠されていた問題だ」
「ポーパシングについては一歩前進したが、バウンシングの問題が深刻だ。外から見ると、ほぼ同じに見えるだろうが、このふたつには微妙な差がある」
「今起きていることは、最初の問題を解決したことでマシンの車高を落としたものの、デッキが激しく打ち付けられて、バウンシングを生み出している」
「車高を低くすることで、パフォーマンスをいくらか向上させようとしている。だが問題は全く異なる。路面がバンピーであればそれだけインプットが大きくなり、そればバクーで見られたような影響に表れる」
「トップ争いをするために必要なことをすべて学ぶには、まだまだ長い道のりを進まなければならないことは明らかだ」
「だがより重要なのは、パフォーマンスがトラックごとに変化するだろうことだ。カナダとシルバーストンでは、マシンの挙動は全く違うものになるはずだ」
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