【セネガル戦プレビュー】最低でも勝ち点1、総合的な「対応力」がGS突破を手繰り寄せる
サッカーキング2018年6月24日(日)15時40分
初戦で先制点を挙げた香川(右)。セネガル戦も先発が予想される [写真]=Getty Images
日本がコロンビアに勝利したことは、世界中で驚きを持って伝えられた。実力的に、日本が勝ち点1を取れれば御の字の試合だったのだから当然だろう。そんな劇的勝利に、選手の気が緩んでしまうのではないかと心配したが、チームに慢心はないようだ。
コロンビア戦後のミックスゾーンに現れた選手たちは浮かれることなく、すでに次戦へと気持ちを切り替えていた。「勝てたことにホッとしているけど、次に目を向けたい」(香川真司)、「今日勝ったからと言ってグループステージ突破が決まるわけではない。もう一度、気を引き締めたい」(長友佑都)。勝利で得た自信と緊張感が良いバランスで保たれていると感じた。
日本が第2戦で戦う相手は、選手たちが「グループステージで一番強い相手」と口をそろえるセネガルだ。昌子源はこう印象を語る。
「みんなデカくて速い。抜いたと思っても、普段は出てこないようなところに足が出てくる。『足が伸びる』という表現をよくするけど、本当にそう。(セネガル戦のポーランドの選手は)抜いたと思っても、抜けていないことが多かった」
アフリカ勢特有のフィジカルを警戒すべきなのは間違いない。怖いのは、頭で理解するのと、実際にプレーするのとではまるで違うということだ。ピッチに立った時、そのギャップをいかに短時間で埋め、順応できるかが一つのポイントになる。
日本には戦術的な対応力も求められる。「戦術が多彩で、どういうやり方をしてくるか、正直読めない」と長谷部誠が話すように、セネガルは対戦相手や戦況に応じて複数のシステムを柔軟に使い分けてくる。ポーランド戦では4-4-2でスタートしたが、相手のやり方に合わせて途中から4-3-3に布陣を変更した。初戦に勝った勢いで序盤から前がかりに仕掛けてくるのか、それともポーランド戦と同様に慎重に入ってくるのかは、蓋を開けてみなければ分からない。日本としてはあらゆるシチュエーションを想定しておく必要がある。
今回のワールドカップは“想定外”の出来事が続いている。前回王者ドイツが初戦で敗れたり、アルゼンチンが未勝利で苦境に立たされたり……。日本にしても初戦の開始3分で相手が10人になるなんて、誰も想像していなかったはずだ。「だからこそ、対応力が大事になる」と原口元気は語気を強める。「いろいろなことをイメージしながら準備をするけど、正直どうなるかは分からない。時と場合によって、自分たちでうまく進めないといけない。今大会はそれができたチームが、うまくいっている印象がある」
「順応性」や「対応力」が必要なのは、日本がセネガル戦をどう捉えるかという根本的な部分でも同じだ。西野朗監督は「多少のリスクがあっても勝負をかける」とあくまで勝ちにこだわる姿勢を打ち出したが、今の日本は是が非でもセネガル戦に勝たなければいけないという切羽詰まった状況ではない。「前がかりになりすぎて、勝ち点1を逃すような試合をしてはいけない」という酒井宏樹の言葉はもっともで、すでに勝ち点3を手にしているというアドバンテージを生かさない手はない。酒井はこう続ける。
「選手である以上、勝ちたい気持ちは当然ある。ただ、グループステージを突破することをリアルに考えた時に、どう戦っていくかは試合中に変えていく必要がある」
最初から引き分けを狙いにいく必要はない。だが、不要なリスクを冒す必要もない。守備がうまくいっているのであれば、無理に攻撃を仕掛けずにそれを維持するのも一つだろう。変わりゆく戦況をいかに冷静に見極め、したたかにゲームを選ぶことができるか。セネガル戦は総合的な「順応性」と「対応力」が求められる。
取材・文=高尾太恵子
コロンビア戦後のミックスゾーンに現れた選手たちは浮かれることなく、すでに次戦へと気持ちを切り替えていた。「勝てたことにホッとしているけど、次に目を向けたい」(香川真司)、「今日勝ったからと言ってグループステージ突破が決まるわけではない。もう一度、気を引き締めたい」(長友佑都)。勝利で得た自信と緊張感が良いバランスで保たれていると感じた。
日本が第2戦で戦う相手は、選手たちが「グループステージで一番強い相手」と口をそろえるセネガルだ。昌子源はこう印象を語る。
「みんなデカくて速い。抜いたと思っても、普段は出てこないようなところに足が出てくる。『足が伸びる』という表現をよくするけど、本当にそう。(セネガル戦のポーランドの選手は)抜いたと思っても、抜けていないことが多かった」
アフリカ勢特有のフィジカルを警戒すべきなのは間違いない。怖いのは、頭で理解するのと、実際にプレーするのとではまるで違うということだ。ピッチに立った時、そのギャップをいかに短時間で埋め、順応できるかが一つのポイントになる。
日本には戦術的な対応力も求められる。「戦術が多彩で、どういうやり方をしてくるか、正直読めない」と長谷部誠が話すように、セネガルは対戦相手や戦況に応じて複数のシステムを柔軟に使い分けてくる。ポーランド戦では4-4-2でスタートしたが、相手のやり方に合わせて途中から4-3-3に布陣を変更した。初戦に勝った勢いで序盤から前がかりに仕掛けてくるのか、それともポーランド戦と同様に慎重に入ってくるのかは、蓋を開けてみなければ分からない。日本としてはあらゆるシチュエーションを想定しておく必要がある。
今回のワールドカップは“想定外”の出来事が続いている。前回王者ドイツが初戦で敗れたり、アルゼンチンが未勝利で苦境に立たされたり……。日本にしても初戦の開始3分で相手が10人になるなんて、誰も想像していなかったはずだ。「だからこそ、対応力が大事になる」と原口元気は語気を強める。「いろいろなことをイメージしながら準備をするけど、正直どうなるかは分からない。時と場合によって、自分たちでうまく進めないといけない。今大会はそれができたチームが、うまくいっている印象がある」
「順応性」や「対応力」が必要なのは、日本がセネガル戦をどう捉えるかという根本的な部分でも同じだ。西野朗監督は「多少のリスクがあっても勝負をかける」とあくまで勝ちにこだわる姿勢を打ち出したが、今の日本は是が非でもセネガル戦に勝たなければいけないという切羽詰まった状況ではない。「前がかりになりすぎて、勝ち点1を逃すような試合をしてはいけない」という酒井宏樹の言葉はもっともで、すでに勝ち点3を手にしているというアドバンテージを生かさない手はない。酒井はこう続ける。
「選手である以上、勝ちたい気持ちは当然ある。ただ、グループステージを突破することをリアルに考えた時に、どう戦っていくかは試合中に変えていく必要がある」
最初から引き分けを狙いにいく必要はない。だが、不要なリスクを冒す必要もない。守備がうまくいっているのであれば、無理に攻撃を仕掛けずにそれを維持するのも一つだろう。変わりゆく戦況をいかに冷静に見極め、したたかにゲームを選ぶことができるか。セネガル戦は総合的な「順応性」と「対応力」が求められる。
取材・文=高尾太恵子
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