【F1イギリスGP予選の要点】大幅アップデートの効果を実感したマクラーレン。MCL60向きのコースで2、3番手を獲得
2023年F1第11戦イギリスGPの予選は、小雨も止み、ハーフウエットから徐々に乾いていく路面コンディション。しかしいつ雨が降ってもおかしくない。そんな難しい状況でも、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は盤石の安定感で今季7度目のポールポジションを獲得した。
と、ここまでは今シーズン見慣れた光景だったが、その背後はかなり清新な顔ぶれとなった。マクラーレンのランド・ノリス、オスカー・ピアストリが、2、3番グリッドを獲得したのだ。
ふたりは予選3回のセッションで、終始フェラーリやメルセデス、アストンマーティンを凌ぐ速さを見せ続けた。Q1ではノリスが最速。Q2はピアストリが首位フェルスタッペンのコンマ143秒差に迫る2番手、ノリスも3番手につけた。
そしてほぼドライ路面となり、DRSも使用可能となったQ3最後のアタックで、ノリスがフロントロウを獲得。「まるでロケットみたいに速かった」とマシンの速さを絶賛したピアストリも、自己最高の3番グリッドを確定した。
では今回のマクラーレンの速さは、どう評価すべきだろう。前戦オーストリアで投入した大幅アップグレードが、戦闘力アップに貢献したのか。それともシルバーストンのコース特性が、単にマクラーレン向きだったのか。
「おそらく、その両方だと思う」と、ノリスは言う。
「高速区間が僕らの強みのひとつだし、一方で改良の効果も確かに出ている。ただ弱点が完全に克服されたかといえば、全然そんなことはない」
ノリスは具体的に言及しなかったが、MCL60の大きな弱点はふたつ。まず比較的グリップの低い路面での、特に低速コーナーでのブレーキング時の不安定な挙動だ。今季前半の市街地レースでの苦戦は、主にこれが原因だった。そしてノリスはこれらの弱点について、まだ完全に克服されていない印象を持っているようだ。
そしてもうひとつが、レースペースの遅さだ。スペインGPを3番、9番グリッドからスタートしたノリス、ピアストリが、レースは18位、13位に終わったのは、まさにこの弱点が露呈したからだった。
ただし前戦オーストリアで一足早くアップグレードを入れたノリスは、レースペースの失速もなく、今季最高位の4位入賞を果たしている。今週末の初日FP2のロングランを見ても、ペースは悪くない。今回の予選一発の速さは、コース特性に助けられた面が大きかったのかもしれない。だとしてもオーストリアに続いて、ここでもレースペースの改善が確認できれば、マクラーレンにとっては直近のライバル、アルピーヌ追撃に向けての大きな武器になることは間違いない。
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