惜しくも敗れた2位のWedsSport坂東正敬監督、涙を見せる宮田莉朋に「また次、いいレースをしよう」
スーパーGT第4戦ツインリンクもてぎ。予選でポールを争ってSTANLEY NSX-GTに100分の5秒差で2番手となったWedsSport ADVAN GRスープラは決勝で一時、STANLEYをオーバーテイクしてトップに立ったものの、最終的には2位で終えることになった。昨年チャンピオンとのがっぷり四つの手に汗握る優勝争い。レース後のWedsSport坂東正敬監督に聞いた。
序盤の7周目にWedsSportの国本雄資はトップのSTANLEY牧野任祐がGT300に引っかかった瞬間を見逃さず、見事なオーバーテイク。WedsSportのペースはSTANLEYを上回っている様子だったが、ピットタイミングで逆転され、レース後半も宮田莉朋が追い上げたが首位奪還には至らず2位に終わった。
「予選で100分の5秒負けたのと同じ感じですね。僕らは全力を尽くしました。ただ、レースで63周走って、ヨハマタイヤとタイヤ開発を続けてきたなかで、今回は新しいゴムを投入して、この夏場のもてぎで結果を出せたということは僕ら、開発を請け負っているチームとしてヨコハマタイヤに成果を残すことができた。第2戦の富士でのポールポジション獲得もそうですし、今回の予選2番手、決勝2位もそうですけど、非常にポジティブなこととして捉えています」と坂東監督。
レースを振り返ると、レース後半スティントでWedsSportがトップに追いついてオーバーテイクを仕掛けるタイミングで、FCY(フルコースイエロー)が入り、タイミングを逃してまった。タラレバで振り返ると、2度のFCYがなければ勝てていたかもしれない。
「そうですね、もしかしたら(トップで)行けていたかもしれないですが……正直、なんとも言えない部分があります。今回は思っていたより行けたというよりも、全力でいけましたし、予選でも100分の5秒差で負けましたけど、ミスしたわけではないですので」
チェッカー後、表彰台の裏では後半スティントを担当した宮田莉朋が悔し涙を見せた。STANLEYの山本尚貴と一騎打ちで優勝を争って敗れたはしたが、監督から宮田にどのような言葉を掛けたのか。
「レース中は目の前に相手が見えているわけですから、特に僕の方から無線とかで声を掛けることはなかったです。クルマを降りてからは『また次、いいレースをしよう』と。あとは『(マックス)フェルスタッペンだって、絶対王者の(ルイス)ハミルトン相手に、こういった同じ思いになっているわけで、チャンピオンの山本(尚貴)選手が相手で、お前は今、途中過程だ』と」
「僕はチャンピオンになったことがないからわからないですけど、プライドやメンタルの持ち方、ここまで来る過程を考えると、やっぱり山本選手、そして牧野任祐選手は強いモノを持っていたいたのではないかなと思います。勝者はリスペクトしたいと思います」
チームにとっても、今回のもてぎの1戦は大きなターニングポイントになった。
「去年は1回も表彰台に上がれなくて、今まで表彰台に上がったときも、昔はタイ戦では予選も良かったですが、最近ではたとえば予選10番手から決勝3位とか、予選8番手から決勝3位とかの表彰台だった。そして今、僕らはとても悔しいじゃないですか。それはチームが向上している証でもあるのかなと。優勝を争っての悔しさですからね」
内容的には互角以上の戦いだったが、ピットストップのタイヤ交換ではロスも出てしまった。
「ピットでミスがありましたし、給油時間もホンダ陣営に比べてGRスープラは長かった。でも、それも後半スティントで莉朋が取り返してくれて、コンマ5秒差まで山本選手を詰めてくれた。あとはもう、本当にあと一歩。昨日の予選と同じですよね。やはり相手はチャンピオンじゃないですか。そこはやはり、強いモノをもっていると思います」
敗れはしたが、今回のWedsSport ADVAN GRスープラは予選から決勝まで強かった。これまでと異なった印象を植え付けるに十分なパフォーマンスで、次戦以降、ライバル陣営のチェックやマークも厳しくなりそうだ。
「今回はもう、莉朋に『行け! 行け!』しかなかったですけど、次、同じような状況になった時にはチャレンジャーとして、また違った攻め方を考えていければ、違うところが見えてくるのかなと思います。今回は本当にふたりのドライバーがよくやってくれた。今年3戦を終えて、GRスープラ勢のなかではウチが平均予選順位でトップ。これまで19号車が予選で上位に来たら『たまたまでしょう』とか、『決勝ではすぐ(タイヤが)タレるでしょう』とか思われていたと思うのですけど、今回の結果からも違うぞと。これからもちょっとずつ実績を残して行ければと思います」
灼熱のもてぎ戦で実質、優勝に等しいパフォーマンスを見せたWedsSport ADVAN GRスープラ。ヨコハマタイヤの進化も著しく、夏場の戦い、そして同じサーキットが舞台となる第7戦のもてぎは確実に優勝候補の1台になってきそうだ。
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