マンU加入のホイルンドを深掘り!ハーランド2世と呼ばれる理由
日本時間8月5日、マンチェスター・ユナイテッドは、アタランタに所属していたデンマーク代表FWラスムス・ホイルンドの加入を発表した。2028年6月まで、1年の延長オプション付きの契約である。同日ランスとの親善試合前にピッチに登場したホイルンドは、ユナイテッドサポーターから大きな歓声を受けた。
20歳のホイルンドは、マンチェスター・シティに所属するノルウェー代表FWアーリング・ハーランドに準えて「ハーランド2世」とも呼ばれている。近年プレミアリーグで得点記録を更新し続けるハーランドの活躍から、彼と比較されるのは本当に特別である必要がある。
ここでは、ホイルンドの経歴とプレースタイルを紹介しよう。なぜ「ハーランド2世」と呼ばれ、20歳の若手ストライカーにして7200万ポンド(約130億円)という巨額の移籍金でユナイテッドに加入することが決まったのだろうか。
ここまでのホイルンドの経歴
2003年2月4日にデンマークで生まれたホイルンドは、ブレンビー(デンマーク1部)などのユースチームを経て、コペンハーゲン(デンマーク1部)のユースチームに加入。22試合で15ゴールを決めて結果を残すと、2020年10月に17歳という若さで同クラブのトップチームデビューを果たした。
プロキャリア開始2シーズン(2020/21、2021/22)は、リーグ戦19試合ノーゴールとなかなか結果を残すことができず、2021/22シーズンのUEFAヨーロッパカンファレンスリーグで11試合に出場して5ゴールを記録。通算32試合で5ゴールという寂しい結果とともに、2022年1月にシュトゥルム・グラーツ(オーストリア1部)へ移籍した。
すると、移籍後の1試合目で2ゴール、以降3試合連続でゴールを決めたホイルンド。同2021/22シーズン後半の半年で13試合6ゴールを決め、翌2022/23シーズンも開幕から5試合で3ゴールを挙げる。
そこからホイルンドに興味を示す強豪クラブが増え、2022年8月にアタランタに加入。当初は競争の激しいセリエAの環境に適応するのに時間がかかったが、2023年1月に同チームで4試合連続のゴールで勢いをつけ、3月にはユーロ2024予選の2試合でフィンランド戦のハットトリックを含む5ゴールを決めて同大会得点ランキングで首位に立った。
この活躍で世界中から賞賛を受けたホイルンドには、レアル・マドリード、バイエルン・ミュンヘン、パリ・サンジェルマンなどの超強豪クラブが興味を示し、最終的にユナイテッドへの加入が決定したのである。
なぜハーランドと比較されるのか?
まず初めにお伝えしたいことは、ハーランドと比較されて多くの注目を集めているが、ホイルンドはまだ発展途上のストライカーであることだ。2022/23シーズンのホイルンド(34試合中10ゴール)とハーランド(53試合52ゴール)の得点数だけを比較するのはナンセンスであることは誰もがわかることだろう。そのことは前提として見ていきたい。
ユナイテッドのエリック・テン・ハフ監督は、ホイルンドについて次のように語った。
「彼(ホイルンド)はまさに前線の選手で、ダイレクトにゴールに向かう。プレッサーとしても優れ、フィジカルも強い。チームのバランスを考えると、彼のような選手が必要だ」
「(マーカス・)ラッシュフォードと並んで、ダイレクトでゴールを決められるもう1人の選手」
「私たちにはハングリーな選手が必要であり、彼はゴールを決めて試合に勝ち、トロフィーを獲得するという強い意志を持つ選手だ」
190cm超えで金髪の左利きストライカー。この類似点だけでも「ハーランド2世」のような呼び方をされるのは、サッカー界ではよくあることだ。しかし、ホイルンドとハーランドにはテン・ハフ監督のコメントでも触れられているように、プレースタイルにも意志の面にも類似点が見られる。
ではもっと細かくプレーについて見ていこう。
現代版ストライカーと正反対?
最近のストライカーは「偽9番」という言葉が流行ったように、スペースのある広いエリアに流れ、ピッチの中央に留まること以外でもとても器用にプレーする選手が多い。しかしホイルンドは、正反対である。
アタランタでは主に2トップのうちの1人として、前所属のシュトゥルム・グラーツやデンマーク代表では[3-4-3][4-3-3]などの様々なシステムの中でありながら、常に中央エリアでプレーしてきた。中央で走り出すタイミングが上手であるのと同時に、相手の左サイドバックとセンターバックの間のスペースでプレーすることが多く、得意の左足でシュートを打てるように考えている。
さらにホイルンドは、ゴール期待値(XG)の低いシュートをあまり打たない。その代わりに常により良いポジションを取り続けようとするため、多くのゴールが簡単に軽く流し込むだけのように見えることがよくある。これはハーランドにも言えることだ。
一見すると古典的なストライカーのように思えるが、アタランタのジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の指導の下では、弱い右足もより自信を持って使えるようになり、プレッシング能力も向上した。
シュートに関するハーランドとの比較データ
ハーランドはレッドブル・ザルツブルク(2019-2020)、ボルシア・ドルトムント(2020-2022)、シティ(2022-)での時間を通じて90分あたり平均3.8のシュートを打ち、さらにその数は年々増加している。
ホイルンドは、シュツルム・グラーツ(2022)とアタランタ(2022-2023)通算で90分あたり、まだ平均2.4本のシュートに留まる。
シュートの内訳に関しては、ヘディングでのシュートがホイルンドが24%でハーランドは22%と、ホイルンドはやや頭でのシュートを多く行う傾向があることがわかる。
また、ハーランドは右足でのシュートが15%であることに比べ、ホイルンドは約25%と大きく上回っていることもわかっている。細かい例であるが微妙ながらも重要な違いだ。
ホイルンドの弱み
ガスペリーニ監督はホイルンドについて「一番の武器はスピード。100m走は11秒を切る」と話していた。しかしその反面、まだそのスピードでボールを扱う技術は改善が必要で、ファーストタッチの雑さなどは指揮官に改善を求められていると言われている。味方と攻撃を組み立てる場面においても、強さとバランスを最大限に利用して相手ディフェンダーを背負うことができるが、まだ雑な面がある。
また、191cmの長身であり、上述のようにヘディングのシュート率が高くありながら、セリエAでヘディングでの実際の得点はないことも課題だろう。ドイツ『トランスファー・マルクト』のデータによると、キャリアの中でヘディングで決めることができたゴールはわずか3点。ここまでキャリア通算44ゴール挙げていることを考えると少ないように感じる。
また、アタランタでのプレシーズン中に負った背中の怪我も懸念材料の1つ。約6週間の戦線離脱を強いられる可能性が報じられている。いつになるか定かでないユナイテッドでのデビュー戦を待ちつつ、ホイルンドのハーランドに続くプレミアリーグでの活躍を期待したい。
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