【GT500コースサイドチェック】SPアウトはカルソニック IMPUL GT-R速し。朝と予選で様子は一変
スーパーGT第5戦SUGOの予選日。観客との隔離のため、今回はSPコーナー観客席へのメディアへの立ち入りは禁止されていた。しかしメディア用駐車場はSPアウト観客席の上にあるので、そこからSPインとSPアウトをみることができた。SPアウトへのアプローチを正面受けでみることができるので、コーナーリング姿勢が確認することができる。
中速で鈍角に連続して左〜左と曲がるSPコーナーの脱出速度は、ストレートスピードを決める最終コーナーの進入速度を左右する。SPコーナーは最終コーナー〜ホームストレートの速度を決める重要なコーナーなのだ。
なかでも一番重要なのはSPアウトの脱出速度である。この速度を高めるためには、SPアウトのアプローチでできるだけ早く向きを変えて、かつ早くスロットルを開けて全開にしたい。
公式練習の序盤。その点に着目して目立ったのはENEOS X PRIME GR Supraの山下健太と、KeePer TOM’S GR Supraの平川亮だった。転舵からすぐにアウト側両輪に荷重が乗り、修正もなく直線的なラインでスロットルも早く開いているようにみえた。
意外だったのは公式練習最速だったARTA NSX-GTだ。セッション前半に乗り、タイヤ選択を進めていた野尻智紀は、上記2台に比べると転舵から姿勢が定まるまでに待つ時間があるようにみえた。
ダンパーの減衰値が高いときのような動きのイメージ。実際どうなのか確認したわけではないが、それによって他のコーナーではプラスがあるのかもしれない。
技術規定の小変更を受けてより、開発領域が狭くなり2020年に導入されたGT500車両。空力については2020年頭に公認を受けて以降、各陣営独自の変更は許されていない。それは今季も継続している。以前のように富士仕様特別エアロの導入も認められていないので、どこに重点を置いて空力設定するのか、そこも開発陣の腕の見せどころだった。
フロア下面のストレイキ等の細かな空力付加物が禁止されたことで失うフロントダウンフォースを補うことを重視して開発したのがニッサンGT-RニスモGT500であり、ホンダNSX-GTも、効率を高めながらもフロントまわりのダウンフォースを重視しているようにみえる。対するトヨタGRスープラGT500は効率優先で、車両サイドのラテラルダクト出口の造形は極めてシンプル。上面形状が優れていることの賜物なのだろうが、他2車とは考え方が異なるようにもみえる。
昨シーズンは新型コロナ対策に追われて、開幕が遅れて、開催ラウンドも変則的に富士スピードウェイとツインリンクもてぎ、鈴鹿サーキットだけに限定された。なかでも富士がシリーズ中3戦となり、上記のような空力開発の違いがどのようにシリーズに影響するのか、わからない面もあった。今季、海外戦は見送られたものの、通常通り国内6サーキットが舞台に設定されたことで、改めてその「答え合わせ」をすることになる。
空力設定の違いをそのままあてはめるとテクニカルコースではNSX-GTとGT-Rが有利となりそうなものだが、ここまで4ラウンドの結果はそうとも言い切れない。開幕岡山ではGRスープラが上位を独占。第2戦富士はNSX-GTが優勝。第3戦鈴鹿が延期となり、シーズン3戦目の大会となった第4戦もてぎの優勝はNSX-GTだったが実力はGRスープラと拮抗していた。
サクセスウエイトのバランスもありGT-Rが表彰台独占となった鈴鹿を経て、SUGOではどうなるか? 冒頭にふれた車両の動きの違いもイメージとは逆。フロントのダウンフォース重視のNSX-GTの方が動きはクイックなのではないかと想像していたが、GRスープラの方が鋭い動きをみせていた。
公式練習後半、どちらもロング想定の走行をしていると思われるARTA NSX-GTの福住仁嶺と、カルソニック IMPUL GT-Rの平峰一貴を比べてみると、やはりターンインの鋭さは平峰の方が上に見えた。タイヤの履歴やガソリン搭載量も不明なので、ラップタイムは参考にならないものの、この時点では平峰の方が速かった。同じNSX-GTでの比較でもセッション前半時間をガレージで費やしたSTANLEY NSX-GT牧野任祐のほうが動きクイックにみえた。
ラバーグリップが載り、路面ができた予選Q2ではARTA NSX-GT福住のSPコーナーでの動きはそれまでとは違って鋭く見え、ラップタイム順位と見た目の速さが一致した。予選最後の路面を想定してセットアップを組み立てていたのかもしれない。
一方、カルソニック IMPUL GT-RのSPコーナーでの鋭さはQ2になっても衰えていなかった。それを証明するようにSPアウト出口から最終コーナーからストレートまで続くセクター4において松下信治がベストタイムを刻んでいた。フロントロウをNSX-GTが独占。タイトル争いにむけてGRスープラ勢は最高位7番手と厳しい状況に置かれたようにみえる。
このSUGOにおいて劣勢であれば、続く第6戦オートポリスもコース特性はSUGOと似ているので厳しい戦いが強いられる可能性がある。第3戦鈴鹿同様に決勝においては、GRスープラ勢が順位を挽回してくるのか、それともNSX-GT勢がそのまま第5戦を制圧するのか、タイトルを占う上でも重要な一戦となる。
ちなみに、開幕戦岡山では公式練習から予選Q1へのGRスープラ勢のタイムアップが急激で予選ブーストを使っていた可能性がある。ライバルの予選戦略を撹乱するに充分な効果を発揮した。
年間2基と定められているエンジンの2基目を多くのチームが投入したこのレースでホンダ陣営が逆襲。高ブースト設定で予選Q2に臨んだのだろうか? そこまで織り込んでハイダウンフォースセッティングで臨み、サスペンションもそれに合わせた設定だとしたら公式練習から、予選での見た目の変化も説明がつく。
「GT-R」をもっと詳しく
「GT-R」のニュース
-
GT-R、フェアレディZ、電動四駆! 日産ご自慢のクルマたちを氷の世界で試した2月25日8時0分
-
「男性が乗っていたら似合う」と思う日産の車ランキング! 2位「NISSAN GT-R」、1位は?2月21日8時35分
-
クルマのクイズ 第60回 こんな「GT-R」見たことない? このクルマの正体は!2月10日8時0分
-
「GT-Rがタイトル奪還できるようにしたい」KONDO Racing加入の平手晃平が新たな使命に闘志2月8日20時3分
-
3月1日は富士スピードウェイに集まろう! 平手晃平がGT-Rオーナーのオフ会『Ring’s』を開催2月6日20時29分
-
レアなGT-Rがオークションに! 落札予想2,000万超? なぜ「32型」は人気なのか2月5日8時0分
-
ニッサン/NMC、GT-Rで参戦するGT300クラス4チームの体制を発表。平手がKONDOに復帰2月4日16時23分
-
R32型スカイラインGT-Rを電気自動車化。ニッサンが東京オートサロンに『R32EV』を参考展示1月10日13時42分
-
技術者の想いからスタートしたR32型スカイライン GT-R EVコンバージョン 「R32EV」を東京オートサロン2025で参考展示1月10日10時46分
-
ブリヂストンがTAS2025出展概要を発表。カルソニックIMPUL GT-Rや初代『ポテンザRE47』が登場へ1月8日17時0分
スポーツニュースランキング
-
1“球界の顔”の異端さはどこに? MVPを争ったリンドーアが大谷翔平に脱帽「全てエリート。冗談じゃなく本当にそう」 ココカラネクスト
-
2G大阪vs京都で山本雄大主審の行為が物議。試合後にブーイング発生 FOOTBALL TRIBE
-
3巨人・田中将大が今季3度目の登録抹消 2戦連続で日米通算199勝目足踏み、2軍で無期限調整へ スポーツニッポン
-
4不動裕理が逃げ切りV、「日本女子シニアオープン」の初代女王に 4差2位に鬼澤信子 ALBA Net
-
5どうした…!? 大谷翔平、片手打ちで“まさかの珍光景”「金属バットかな」「伸びすぎ」 相手野手が慌てる“飛び方”… フェンス直撃の特大飛球 ABEMA TIMES