【角田裕毅F1第14戦密着】イタリアGPはブレーキトラブルで走れずに終わるも「来てよかった」と父・信彰さん
今回のF1第14戦イタリアGPは、イタリア・ファエンツァに本拠地があるチームにとっては母国グランプリとして特別なグランプリだった。チームだけではない。ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)にとっては昨年のイタリアGPでF1初優勝を飾った思い出の地。スプリント予選でのスタート直後のクラッシュにより、日曜日のレースはピットレーンスタートとなったが、パワーユニットを一式すべて交換し、後方から追い上げるレースとなるはずだった。
しかし、ピットガレージからスターティンググリッドに着くためのレコノサンスラップでシステムに不具合が発生。再びガレージにマシンを戻して改善を試みて、レースに参加したが、3周目にピットイン。そのままリタイアとなった。
角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)にとっても、今回のイタリアGPは特別な週末だった。夏休みに完全にイギリスからイタリアへの引っ越しを完了した角田にとって、イタリアは第二の故郷。しかも、8月下旬に母国グランプリとなるはずだった日本GPが中止となった。鈴鹿への思いも抱えながら、モンツァでのレースに臨んでいた。
そんな角田を応援しようと、日本から両親が駆けつけていた。父親の信彰さんと母親の美奈子さんだ。シーズンが開幕して以降、日本へ帰っていない角田が、コロナ禍で海外に出ることがなかなかできなかった両親と対面するのは、これが初めてだった。
趣味とはいえ、ジムカーナで関東チャンピオンを獲り、全日本でも活躍した父・信彰さんはレーシングドライバーの気持ちがわかるがゆえに、プロが集まるF1のパドックではあえて息子との距離をおいて静観していた。
それでも、角田がトレーナーとともにモーターホームを出てガレージに向かうとき、モーターホームの側から「裕毅、頑張れ!!」と声を掛けると、角田は振り向き、少しだけ笑みを見せた。
レースは残念ながら、ブレーキトラブルでスタートできずに終わったが、信彰さんは「来てよかった」と言ってサーキットを後にした。角田のイタリアGPは、コース上での結果という点では0点だったかもしれないが、F1ドライバーとして、そしてひとりの人間として成長している姿を両親はしっかりと確認することができたのだろう。
イタリアGPを終えた角田。14戦分の成長とともに、ヨーロッパラウンドからフライアウェイ戦への旅を始める。
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