アルファタウリF1放出の決断が公平かどうかは「重要ではない」とデ・フリース。当時はパフォーマンスがなかったと振り返る

2024年1月11日(木)11時55分 AUTOSPORT web

 ニック・デ・フリースはF1を放出されたドライバーだが、2023年の夏に彼をアルファタウリのラインアップから外したレッドブルの決定が公平であるかどうかは、彼にとって“まったく重要ではない”ことだと述べている。


 デ・フリースは2022年のイタリアGPにウイリアムズから代役として参戦し、目覚ましい走行を見せたことで、レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコから2023年に向けてアルファタウリのフルタイムのシートをオファーされた。FIA F2とフォーミュラEでチャンピオンになった経験のあるデ・フリースが、フルタイムのF1シート獲得にふさわしい資格を持っていることは明らかだった。また、彼はメルセデスF1の開発ドライバーとしてフリー走行を担当するなど、貴重な経験と走行距離を積んでいた。

2022年F1第12戦フランスGPフリー走行1回目 ニック・デ・フリース(メルセデス)


 しかし2023年シーズンの前半戦において、デ・フリースは苦戦が続き、チームメイトの角田裕毅と同等のパフォーマンスを発揮できなかったことから、最終的にレッドブル上層部はデ・フリースをダニエル・リカルドと交代させることを決めた。それ以降、デ・フリースはふたたびフォーミュラEに参戦し、2024年はTOYOTA GAZOO Racingの一員としてWEC世界耐久選手権を戦うことも決まっている。


 オランダのメディア『De Telegraaf』のインタビューで昨年の夏の出来事を振り返ったデ・フリースは、解任を受け入れるのは困難ではなかったと明かした。


「僕はすぐにそのことを把握できたと思う」とデ・フリースは語った。


「僕には大きなサポートがあった。合わせると4000件ほどのメッセージを受け取ったと思う。それは僕の助けになった。隅に座り込んで泣くこともできるけれど、それでは誰の役にも立たない」


「もちろんつらかった。当然だと思う。でも誰もがいいときと、もっと困難なときを経験するものだ。そして痛みも人生の一部なんだ」


 レッドブルの計り知れないプレッシャーの重さと、デ・フリースの終わらない苦戦を考えると、彼についてチームが放出を決定したことは大きな驚きではなかった。また、レッドブルの決定が正しいものだったか否かについては、デ・フリースにとって重要なことではなかった。


「あまり多くのことは得られなかったので、できるだけ距離を置こうとしていた」


「でも同時に、あの決定がまったくの驚きだったとは言えない。僕は世間知らずではない。それが公平かそうでないかということは、僕にとってまったく重要ではない」


「ヘルムート・マルコやダニエル・リカルド、彼の一時的な代役のリアム・ローソンに対しても、僕は何のわだかまりも持っていない。それもこのビジネスの一部だ。僕は与えられたチャンスにとても感謝している」

2023年F1第9戦カナダGP ニック・デ・フリース(アルファタウリ)


 突然の放出に直面したデ・フリースがその状況を受け入れて立ち直ったことは、彼の強い性格を証明している。それゆえ、レッドブルからかけられた期待に応えられなかったことについてデ・フリースが言い訳をしないのは、驚くに当たらないことだ。そして同様に、彼はくよくよと後悔することはしない。


「僕は完璧主義者だから、後になって考えると『もっとうまくやれたのに』と思う状況や瞬間が常にある。結局のところ、僕はあの時それほどのパフォーマンスがなかったと思う。ただうまくいっていなかったんだ。F1は僕が長いこと夢見てきたものだったけど、すぐに終わってしまう。それには本当に落胆した」


「でもこれも人生の一部であり、このスポーツの一部でもある。冷静すぎるように聞こえるかもしれないけれど、僕は本当にそう感じている。今ではまた自分に訪れたチャンスを受け入れている」


 実際、デ・フリースは失望を表明し、チャンスを逃したことを認めながらも、前向きな見通しを持ち続け、F1以外の新たな挑戦を受け入れることの重要性を力説している。


「若いドライバーとして成長すれば、F1は唯一の目標になる。僕たちのスポーツの最高峰だ。でも僕はそれ以上のものがあることを知り、実感した」


「個人的にはフォーミュラEとWECをとても満喫したので、今もすごく楽しみにしている。モータースポーツはF1以上のものだ。一般の人たちは違った見方をするかもしれないことは理解しているけれどね」

バレンシアで行われたフォーミュラEの2023/2024年シーズン公式プレシーズンテストに参加したニック・デ・フリース(マヒンドラ・レーシング)


 苦闘にあえいでいるさなかのデ・フリースを批判した批評家たちについては、彼は自分のコントロールの及ばない事柄に時間やエネルギーを費やすことを拒否している。


「それが最善だとも思う。それについてはまったくコントロールできないからね。ソファに座ったまま、あるいは電話を片手に誰かを批判するのはとても簡単なことだ」


「それに、今から自分のパフォーマンスを評価する必要はないと思う。僕自身は、もう誰かに何かを証明する必要はない。こういうことになったわけだけど、仕方のないことだ。僕は他のクラスでキャリアを続けていくよ」


「結局自分のためにやっていることだろう? これが僕のキャリアだし、モータースポーツは世のなかで最も素晴らしく楽しいものだと思う。これが僕の人生だ。人生を自分のものにして、自分の道を進んでいくよ」

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