多発したスタート失敗の背景、燃費走行組の苦労……スーパーフォーミュラSUGOのレース事情まとめ
見事に優勝を果たした関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)の陰で、さまざまなトラブルやアクシデントに見舞われてしまったドライバーたち。特に今回のSUGOではスタートを失敗したドライバーが多く、そして燃費走行で苦労する姿が目立った。その背景をレース後、当人、そして関係者に聞いた。
●ニック・キャシディ(KONDO RACING) 予選PP/決勝19位
スーパーフォーミュラで自身初のポールポジションを獲得し、KONDO RACING初優勝の可能性が見えたがスタートを失敗し、夢は幻に。
「今日はフリー走行の時点から電気系のトラブルがあって、フリー走行でのスタート練習でも3回もストップしていたんだ。決勝でも、クラッチを離してもクルマはすぐに動いてくれなかった」と、キャシディ。しかもその後、グリッド上での作業違反があったためドライブスルーペナルティを受けるという、まさに泣きっ面に蜂の状態でSUGOを終えてしまった。
●石浦宏明(P.MU/CERUMO · INGING) 予選8番手/決勝6位
8番グリッドからスタートで失敗して12番手まで後退。そこから着々を順位を上げて66周目にはファステストタイムをマークする速さをみせて6位フィニッシュも、スタート失敗が悔やまれる。
「クラッチパドルを離したのにクルマがまったく動かず、1秒くらいしたらそれまで何もしていないのに動き出しました。『なんだこれ!?』みたいな状態でタイムラグがあって、出遅れてしまいました。たまに出る症状なのですが原因は分かっていません。クルマ的には勝てるパフォーマンスがあったので、スタートと戦略がかみ合えば表彰台に行けたと思いますが、うまくかみ合いませんでした。タイトル争いはもともと2レース制の鈴鹿が勝負になると思っていたので、2レースともいい結果を出さないとタイトルは獲れないと思っています。(ピエール)ガスリー選手も鈴鹿は速いですし、このSUGOを見ても実力はやっぱりすごいと思います。でも、今年来たばかりのドライバーに簡単にタイトルを獲られると日本のレベルが疑われるので、負けるわけにはいきません」
●山本尚貴(TEAM MUGEN)予選16番手/決勝18位
16番手グリッドから無給油ノーピット作戦を決行するも、残り2周でガス欠リタイア。
「ラスト3〜4周くらいでちょっとエンジンパワーが落ちて、ただ、僕はこのクルマでガス欠の経験がないのでどんな症状になるのか分かっていなくて、もっとストンとパワーが落ちるものだと思っていたら、意外とスピードが遅いながらも走れていて、ガス欠なのかがはっきりとはわかっていませんでした。後半、燃料が厳しいのはわかっていましたが最後にピットに入ってもポジション的にしょうがないので、最後にセーフティカーが出る可能性もあるのでその可能性に懸けました。最後は最終コーナー手前でエンジンが止まりました。この週末は厳しい展開になりましたが、レースではセットアップを変えて、燃費走行のわりにペースもよかったので、いい手応えが得ることができました」
●小林可夢偉(KCMG)予選5番手/決勝7位
予選5番手もスタートで失敗して、10番手に後退。その後、無給油ノーピット戦略でチェッカーを目指すも、4番手を走行しながら残り2周で燃料が残りながらも、燃料ポンプのトラブルでペースダウン、その後、また走り出せたものの7位でフィニッシュとなった。
「もう、だいぶ燃費走行していましたよ。最後も燃料は残っていたのですが、クルマが『ちょっと疲れた』と(笑)。7位は悔しいですけど最大限のことはやりました。あのままだと4位は堅かったと思うけど、最後のちょっとしたものが足りなかった。スタートはよくわかりません。全然ダメでした。そこで順位をリカバリーしにプッシュしたのですが、そこから無給油に変えたので、鬼のように燃費走行しました。最初から無給油作戦だったらもっとチャンスがあったと思います。次の鈴鹿は今季最後なので、思う存分、暴れたいと思います」
●アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)予選4番手/決勝10位
4番グリッドから好スタートで3番手に上がるも、8周目の1コーナーで膨らんで4番手に後退。10周目にピットインして給油を行い、ピット終了組ではトップを走行するも、ピットレーンの速度違反でドライブスルーペナルティ。チームによると、ピットロード出口でのリミッター解除が半車身ほど、速かったという。タラレバで言えば「それまでのラップタイムが良かったので、十分勝てていたレースでしたね」と、東條力エンジニア。このミスでノーポイントに終わっただけでなく、チャンピオンシップも実質、権利を失ってしまった。
●本山哲(スーパーフォーミュラ・アンバサダー)
このSUGO後の水曜日に行われるスーパーフォーミュラのメーカーテストで、SF14をテストドライブすることが決定。しかも、ホンダエンジン搭載のテストカーをドライブするという。
「以前から『機会があったら』という話をもらっていて、それが実現することになりました。ホンダエンジンのクルマに乗るのは、F3最後の1995年以来(ANABUKI・童夢・無限)。今のクルマでどれくらい走れるのか、個人的にも興味はあるけど、すぐに目が回って首が痛くなるだろうなと(笑)。実際に今のスーパーフォーミュラのマシンを乗ることで幅広く情報を得られるので、それを今後の活動に役立てたいと思います」
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