インディカー最終戦タイトルの行方。32ポイント差でも「ディクソンが有利」と言えない理由
今季のインディカーシリーズは、シーズン終盤に入ったあたりで流れはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)へと傾いてきていた。だが、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が築いてきたポイント差は大きく、ニューガーデンもその流れにうまく乗り切ることができていない。
10月第1週末のインディアナポリス(IMS)ロードコースでのダブルヘッダー戦前、ニューガーデンは「最後の3レースすべてを完璧に戦わなければならない」と言っていたのだが、実行できなかった。だからといって、タイトル争いはディクソンがかなり有利だとも言い切れない。
インディ500の翌週、ゲートウェイでのレース1でディクソンは今季4勝目をマーク。ドライバーランキング2位のニューガーデンは12位で、ふたりのポイント差は117に広がった。レース2ではニューガーデンが勝ってみせたが、ディクソンは手堅く5位フィニッシュ。差は96ポイントと大きいままだった。
残るはミドオハイオ、IMSロードのダブルヘッダー2イベントと、最終戦セントピーターズバーグ。まだ5レースもあり、逆転は充分に可能と見えていた。ただ、ディクソンは“キング・オブ・ミドオハイオ”の異名を持つ。一気に差を広げる可能性も考えられていた。
後がないニューガーデンはレース1で2位。優勝はチームメイトのウィル・パワー。厄介な先輩に恵まれて……とも見えるが、アメリカにはチームオーダーという文化はないので、これはアリ。
一方、「連勝するかも」と思われていたディクソンは、レース1、2とも10位と散々な週末に。チームとして今季開幕当初に持っていたシャシーセッティングのアドバンテージも、もはや消滅していると判明。ミドオハイオ終了時点でのディクソンとニューガーデンのポイント差は72に縮まっていた。
それでも、IMSロード2連戦が迎えられたところで、ディクソンに「マジック1」が点灯。レース1でディクソンが勝ち、ニューガーデンが14位以下なら、ディクソンの6度目のタイトル獲得が決まる。彼は7月初旬(第2戦)にここで勝っており、アドバンテージがあると見られていた。
だが、レース1の予選はグループ6番手。レッドタイヤでのアタックを始めようというところで、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がコースアウトし、これでセッション終了となってしまった。対するニューガーデンは同じグループでトップタイム。展開はニューガーデンに向いてきていた。そして、レース1でニューガーデンが今季3勝目。ディクソンは9位で、差は40ポイントに縮まった。
レース2予選、ディクソンはグループ8番手。レース1の予選が赤旗で終了したのは、実はラッキーだったかも……とさえ考えられる状況だった。セッションが続いていれば、もっと下に沈んでいた可能性が高い。いずれにしても、彼らは苦戦していることは明らかだった。ディクソンが優勝、ニューガーデンが3位以下なら、タイトル決着という条件下、ディクソン8位、ニューガーデン4位という結果となった。
こうしてチャンピオン争いは最終戦までもつれ込むことになった。ディクソンはセントピーターズバーグでニューガーデンに大差をつけられない限り、タイトルを獲得できる状況で、依然有利ではある。ポールポジションや最多ラップリードのポイントを除いた場合、ニューガーデンが優勝しても、ディクソンはラップリードなしでも11位フィニッシュなら、シリーズチャンピオン。
同じ条件の場合、予選でディクソンがポールポジションを獲得(1ポイント)すれば、ディクソンは決勝12位フィニッシュでもチャンピオンだ。今季の彼は最近のレースで自身のミスによるポジションダウンが目立っているようにも見えるが、これまでの13戦で12回のトップ10フィニッシュを記録していることを忘れてはならない。
ニューガーデンは、大量ポイント獲得のためには最終戦優勝が最低条件だろう。その目はあるのかと聞かれれば、「ある」と答えなければならない。昨年の開幕戦、つまり直近のセントピーターズバーグでのレースで勝っているのがニューガーデンなのだ。
逆にディクソンは、意外にもセントピーターズバーグで勝ったことがない。最終戦は今年初めてのストリートレース。「32」というポイント差ほど「ディクソンが有利」とも言えないのが実際のところで、セントピーターズバーグでは予選からふたりの熾烈な“マウント取り”を見ることができるかもしれない。
「インディカー」をもっと詳しく
「インディカー」のニュース
-
マクラフランが最速。ペンスキー勢がフロントロウ確保【順位結果】2024インディカー第3戦バーバー 予選総合4月28日8時58分
-
インディカー開幕戦で違反が発覚。勝者ニューガーデン含むペンスキー勢が失格、オワードが繰り上がりウイナーに4月25日0時19分
-
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表4月24日21時26分
-
佐藤琢磨が日本人初のインディカーウイナーとして殿堂入り。初優勝の地ロングビーチに記念板が埋め込まれる4月24日3時2分
-
先行ピットインを決めたディクソンが逆転勝利。初参戦プルシェールは11位完走/インディカー第2戦4月22日16時58分
-
【順位結果】2024年NTTインディカー・シリーズ第2戦ロングビーチ 決勝4月22日16時42分
-
ローゼンクヴィストが移籍後初ポール【順位結果】2024年NTTインディカー・シリーズ第2戦ロングビーチ 予選総合4月21日11時48分
-
SFドライバーのテオ・プルシェールがインディカー参戦決定。第2戦ロングビーチでマクラーレンから代役出走へ4月19日0時30分
-
FIA F2参戦のプレマ・レーシングが2025年インディカー参戦を表明。シボレー陣営に加わる4月10日11時33分
-
アレックス・パロウが初開催のミリオンダラー・チャレンジを勝利。優勝賞金50万ドルを手にする/インディカー3月25日11時55分
スポーツニュースランキング
-
1「相撲部屋の親方みたい」大谷翔平 イベントで披露した“ダボダボスーツ”に違和感噴出「体に合ってない」 女性自身
-
2アン・シネ、ギリギリの予選通過に涙「試合で泣いたのは初めて」 ミニスカートで膝から崩れ落ちた スポーツ報知
-
3大谷翔平夫妻、シックなブラックコーデに左手薬指がキラリ…球団チャリティーイベントに出席 読売新聞
-
4放送事故レベル! 石橋貴明の取材がヤバすぎると話題に 超厳戒体制の中、超大物メジャーリーガーとからむ瞬間 「すげえなw」「普通ありえないだろ」 ABEMA TIMES
-
5ドジャースが敵地9連戦で大きく勝ち越し!大谷翔平の存在感、下位打線の奮起も要因に「もっとも危険なチームだと改めて証明」 ココカラネクスト