F1元王者ハミルトンが屈辱 参戦16年目で初めて優勝なし 来季の復権なるか
今季は1勝もできなかったルイス・ハミルトン(メルセデス提供)
F1最終戦アブダビGPは11月20日にアラブ首長国連邦のアブダビにあるヤスマリーナサーキットで決勝が行われ、メルセデスのルイス・ハミルトン(英国)が終盤のマシントラブルでチェッカーフラッグをくぐることができず、F1参戦16年目で初めてシーズン勝利なしに終わった。
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今季は2位を5回も記録したが、ドライバーズランキングも自己ワーストの6位に沈み、過去7度のF1タイトルを獲得してきた実力者が屈辱を味わった。ポールポジション0回も初めてのこと。自身のサーキットレースキャリアで優勝できなかったシーズンは、レーシングカートと掛け持ちしながら英フォーミュラ・ルノー2000ウインターシリーズでレースデビューを飾った2001年以来、21年ぶりだ。
「今季の1年全体を表すような最終戦だった。シーズンが終わってうれしい。これからは来年のことを楽しみにすることができる」
ハミルトンは最終戦後に悔しさをにじませた。決勝では1周目にフェラーリのカルロス・サインツのマシンと接触し、フロアにダメージを受けたことで思うような走りができず、最後は油圧システムのトラブルでスローダウン。規定周回数を満たしていたために18位の順位がついたが、実質的にはリタイアだった。
今季の不調はマシンが失敗作だったことが挙げられる。今季から車両規則が改正され、グラウンドエフェクトカーが40年ぶりに復活したが、シーズン開幕前のテストから直線で車体が上下に波打つポーポイズ現象に悩まされ、ライバルチームに大きく後れを取った。「望んでいるものとは異なるマシンでシーズンを振り出し、望んでいるものとは異なるマシンでシーズンを終えた」とも続けた。
ルイス・ハミルトンが駆るメルセデスの今季型車「W13」(メルセデス提供)
これまでは孤高の存在で、他の選手と群れることは嫌った。しかし、今年は積極的にコミュニケーションを取るシーンが目立つ。アブダビGPの直前にはハミルトンの音頭で出場選手20人全員が参加しての夕食会が開かれた。アストンマーティンの元王者、セバスチャン・ベッテルがこのレースでF1を引退することから慰労を兼ねて催された。全ドライバーが参加する夕食会は2016年以来で、全員の食事代はハミルトンがポケットマネーで支払ったといわれている。
来年1月7日に38歳の誕生日を迎えるが、来季の現役続行を早々と宣言しており、この体たらくのままユニホームを脱ぎたくないという姿勢がありありだ。史上最多のF1通算103勝を誇っており、復権を懸けて来季に臨む。
[文/中日スポーツ・鶴田真也]
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