メルセデスの新型車「CLE」に試乗! 2ドアクーペの本質は堪能できる?
マイナビニュース2024年4月17日(水)11時30分
メルセデス・ベンツの新型車「CLE」がついに発売となった。今や珍しい存在になりつつある2ドアクーペの世界に登場したメルセデスの新顔は、いったいどんなクルマなのか。日本の公道で乗るとどんな気分なのか。じっくり試乗できたので、その印象をお伝えしたい。
クーペで気になる車内の快適性は?
試乗した「CLE200 クーペスポーツ」は「スペクトラルブルー」の外装に「マキアートベージュ」の本革内装という組み合わせ。落ち着きの中に品があって、なかなか素敵だ。
新設計のクーペ専用デザインを採用したフロントシートは、大柄な人が座ってもゆとりがあるサイズを採用している一方、身長170cmの筆者が乗ってもユルユルではなく、きっちりとホールド感がキープされていてすばらしい。ドアを閉めるとスルスルと伸びてくる「ベルトフィーダー」のおかげで、シートベルトを装着するために無理やり体を捻る必要がないのもいい。
2座のリアシートは、筆者程度の大人なら、乗り込んでしまえば長い時間座っていても不満の出ないサイズとなっている。よって、Eクラスクーペからの乗り換えでも問題なしだ。車体剛性確保のために太いBピラーがあって、開放感を削いでいる点だけが僅かなマイナスポイントといえる。それと、これは2ドアクーペの常だが、乗降性は抜群とは言えない。
試乗車は「レザーエクスクルーシブパッケージ」(オプションで90万円)装着車で、フロントシートには背中をエアーでポコポコ押してくれるリラクゼーション機能が付いていた。これがまた、気持ちいいのだ。
ジャストトークはとっても便利!
今回は試乗時間が長かったので、ドライバーが1人だけで乗っている際に使える機能「ジャストトーク」を多用してみた。
「MBUX」は「ハイ、メルセデス」と話しかけると起動する仕組みだが、この呼びかけ、筆者だけかもしれないけれど、ちょっと気恥ずかしかった。その点、ジャストトークは要件を話しかけるだけで済むので気が楽だ。
「ちょっと暑い」といえば「エアコンを23度に設定します」と答えてくれるし、「パフュームアトマイザーをONにして」といえば車内にほのかな香りが満ちてくる。「東京タワーに行きたい」といえばナビ設定が完了、「窓をちょっとだけ開けて」といえば、上から3センチほどだけスッと開けてくれるという具体だ。窓については、マクドナルドのドライブスルーで料金を払い終わった後に、「窓を閉めて!」と叫んだら対応していた店員さんが戸惑ってびっくりしていたという笑い話を広報さんから聞いたのだが、まあ、とにかく便利である。
ドライバーの乗車パターンを考慮して気を回してくれる「ルーティン」機能は、このクルマを所有した際の嬉しさのひとつになるにちがいない。例えば、仕事からの帰宅時間に乗ればいつものルートをナビで表示してくれるし、車内温度の変化に合わせてシートヒーターを入れたり、アンビエントライトの色を変えたりもしてくれる。
ボタンやスイッチなどのアナログな操作系が少なくなり、液晶画面から各操作を行うことが多くなってきたイマドキのクルマにあって、音声認識機能の重要性はますます高まっている。同機能の出来のよさは、「安全に運転すること」に全力を尽くすメルセデスならではだ。今後もブラッシュアップを続けて、より使いやすい機能に進化させてくれることだろう。
やっぱりクーペはカッコが命?
鼻先が長く、2本のパワーバルジ(?)が伸びるボンネット内に収まるのは、最高出力150kW(204PS)、最大トルク320Nmを発生する2.0L直列4気筒直噴ターボのISG付きマイルドハイブリッドエンジンだ。トランスミッションは9Gトロニックで、1,800kgの車重を持つクーペボディをあらゆる場面で過不足なく走らせる。
試乗車は「ドライバーズパッケージ」(40万円)を装備していたので、20インチアルミホイールに取り付けられた薄く幅広のグッドイヤー製タイヤの乗り心地はいかにと思ったのだが、そこはさすがに「DYNAMIC BODY CONTROLサスペンション」によってうまくいなされ、都内のちょっと荒れた路面を通過してもボディをフラットに保ってくれているのがわかる。センターメーター左下の「ダイナミックセレクト」で「スポーツモード」を選択しても、フラットな乗り味自体は継続する。
後輪が独立して切れる「リアアクセルステアリング」により最小回転半径は5.0mを実現。60km/h以上になると後輪が同相に切れるシステムなのだが、「Cクラス」で初めて導入された時に感じたようなカーブでの違和感は消え去り、首都高の急なコーナーを気持ちよくクリアしてくれた。また、駐車場入り口の手前に駐車車両があって、進入するために大きくステアリングを切るような場面でも、切り返しなしで鼻先が向きを変えてくれる。この機能が付いていてよかったなと思わせてくれる瞬間だ。
そしてやっぱり、2ドアクーペはカッコが命。満開の桜が強い雨によって散りつつある六本木の坂道を走る姿や、新緑が色づき始めた外苑前に停車したその姿を眺めるにつけ、ちょっと惚れ惚れする。
CLEの価格は850万円。試乗車は「ドライバーズパッケージ」「レザーエクスクルーシブパッケージ」「パノラミックスライディングルーフ」「スペクトラムブルー塗装」のオプション込みで計1,043万円となっていが、価格がネックにならなければ買いのクルマである。
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら
クーペで気になる車内の快適性は?
試乗した「CLE200 クーペスポーツ」は「スペクトラルブルー」の外装に「マキアートベージュ」の本革内装という組み合わせ。落ち着きの中に品があって、なかなか素敵だ。
新設計のクーペ専用デザインを採用したフロントシートは、大柄な人が座ってもゆとりがあるサイズを採用している一方、身長170cmの筆者が乗ってもユルユルではなく、きっちりとホールド感がキープされていてすばらしい。ドアを閉めるとスルスルと伸びてくる「ベルトフィーダー」のおかげで、シートベルトを装着するために無理やり体を捻る必要がないのもいい。
2座のリアシートは、筆者程度の大人なら、乗り込んでしまえば長い時間座っていても不満の出ないサイズとなっている。よって、Eクラスクーペからの乗り換えでも問題なしだ。車体剛性確保のために太いBピラーがあって、開放感を削いでいる点だけが僅かなマイナスポイントといえる。それと、これは2ドアクーペの常だが、乗降性は抜群とは言えない。
試乗車は「レザーエクスクルーシブパッケージ」(オプションで90万円)装着車で、フロントシートには背中をエアーでポコポコ押してくれるリラクゼーション機能が付いていた。これがまた、気持ちいいのだ。
ジャストトークはとっても便利!
今回は試乗時間が長かったので、ドライバーが1人だけで乗っている際に使える機能「ジャストトーク」を多用してみた。
「MBUX」は「ハイ、メルセデス」と話しかけると起動する仕組みだが、この呼びかけ、筆者だけかもしれないけれど、ちょっと気恥ずかしかった。その点、ジャストトークは要件を話しかけるだけで済むので気が楽だ。
「ちょっと暑い」といえば「エアコンを23度に設定します」と答えてくれるし、「パフュームアトマイザーをONにして」といえば車内にほのかな香りが満ちてくる。「東京タワーに行きたい」といえばナビ設定が完了、「窓をちょっとだけ開けて」といえば、上から3センチほどだけスッと開けてくれるという具体だ。窓については、マクドナルドのドライブスルーで料金を払い終わった後に、「窓を閉めて!」と叫んだら対応していた店員さんが戸惑ってびっくりしていたという笑い話を広報さんから聞いたのだが、まあ、とにかく便利である。
ドライバーの乗車パターンを考慮して気を回してくれる「ルーティン」機能は、このクルマを所有した際の嬉しさのひとつになるにちがいない。例えば、仕事からの帰宅時間に乗ればいつものルートをナビで表示してくれるし、車内温度の変化に合わせてシートヒーターを入れたり、アンビエントライトの色を変えたりもしてくれる。
ボタンやスイッチなどのアナログな操作系が少なくなり、液晶画面から各操作を行うことが多くなってきたイマドキのクルマにあって、音声認識機能の重要性はますます高まっている。同機能の出来のよさは、「安全に運転すること」に全力を尽くすメルセデスならではだ。今後もブラッシュアップを続けて、より使いやすい機能に進化させてくれることだろう。
やっぱりクーペはカッコが命?
鼻先が長く、2本のパワーバルジ(?)が伸びるボンネット内に収まるのは、最高出力150kW(204PS)、最大トルク320Nmを発生する2.0L直列4気筒直噴ターボのISG付きマイルドハイブリッドエンジンだ。トランスミッションは9Gトロニックで、1,800kgの車重を持つクーペボディをあらゆる場面で過不足なく走らせる。
試乗車は「ドライバーズパッケージ」(40万円)を装備していたので、20インチアルミホイールに取り付けられた薄く幅広のグッドイヤー製タイヤの乗り心地はいかにと思ったのだが、そこはさすがに「DYNAMIC BODY CONTROLサスペンション」によってうまくいなされ、都内のちょっと荒れた路面を通過してもボディをフラットに保ってくれているのがわかる。センターメーター左下の「ダイナミックセレクト」で「スポーツモード」を選択しても、フラットな乗り味自体は継続する。
後輪が独立して切れる「リアアクセルステアリング」により最小回転半径は5.0mを実現。60km/h以上になると後輪が同相に切れるシステムなのだが、「Cクラス」で初めて導入された時に感じたようなカーブでの違和感は消え去り、首都高の急なコーナーを気持ちよくクリアしてくれた。また、駐車場入り口の手前に駐車車両があって、進入するために大きくステアリングを切るような場面でも、切り返しなしで鼻先が向きを変えてくれる。この機能が付いていてよかったなと思わせてくれる瞬間だ。
そしてやっぱり、2ドアクーペはカッコが命。満開の桜が強い雨によって散りつつある六本木の坂道を走る姿や、新緑が色づき始めた外苑前に停車したその姿を眺めるにつけ、ちょっと惚れ惚れする。
CLEの価格は850万円。試乗車は「ドライバーズパッケージ」「レザーエクスクルーシブパッケージ」「パノラミックスライディングルーフ」「スペクトラムブルー塗装」のオプション込みで計1,043万円となっていが、価格がネックにならなければ買いのクルマである。
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら
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