キャンパスに散らばる「隠れミッキョー」を探せ!? 高野山大学、仏教の聖地なのにノリがすごい
高野山といえば、空海が修行の場として開いた、仏教の聖地のひとつとも言える場所だ。イメージからしてすでに荘厳で神秘的な感があるが、実際に現地に行き空海が入定した奥之院などを目にすると、圧倒される。
山全体に寺院が点在し、いわば宗教都市とでもいうべき様相を呈している高野山だが、その中で唯一存在する大学が、高野山大学だ。文学部のみを有する文系大学ではあるが、「密教学科」が存在するなど、そのイメージは山に劣らず「固い」。
そんな高野山大学が2018年7月28〜29日に開催するオープンキャンパス。さぞかし固い雰囲気なのかと思いきや、もうノリノリなのだ。なんだ、何があったんだ。
隠れミッキョー探しに曼荼羅具羅夢!!
オープンキャンパスといえば、体験入学や模擬講義を通して受験生に大学を知ってもらうための、大学にとって重要なPRイベントだ。今回、高野山大学が開催するのは「SECRET CAMPUS 秘密だらけのオープンキャンパス」と銘打たれたオープンキャンパス。
名前からすでに謎感が漂っているが、その企画内容に目を通すとさらに驚く。
例えば、「隠れミッキョー」は当日の来場者に、キャンパス内に隠された「空海のシルエット」を探し出してもらう企画とされている。どこかのテーマパークで、人気のキャラクターのシルエットを探すアレの感じがしなくもない。
さらに、大学内にある曼荼羅の前で来場者が写真を撮影し、インスタグラムでハッシュタグ「#曼荼羅具楽夢(編注:まんだらぐらむ)」をつけて投稿すると、写真が特設サイトに表示される曼荼羅具楽夢キャンペーンなど、思っていた高野山感や仏教感(観)などが覆されていく。
一体、何が高野山大学をこのノリに走らせたのだろうか。Jタウンネット編集部は7月10日、同大に取材を行ったところ、担当者は次のように答えてくれた。
「高野山は修行の場としては理想的な立地ですが、大学の立地としてはなかなか厳しい場所です。高校生の認知度も低く、思うように学生が集まらないという実態がありました。大学の規模自体が小さいため、1学年50人程度。現在は回復していますが、過去には半分以下に落ち込んだこともあります」
そんな状況をなんとか打破したい、と考え取り組んだのが、高野山大学の特長である「密教」を前面に押し出した、ユニークなオープンキャンパスというわけだ。
「日本各地の大学の中でも、密教は本学だけの強みとも言える部分です。これを活用して、PR活動に取り組みたいと考えています。まずは7月のオープンキャンパスでの動員を目指しますが、今後も積極的に認知向上につながる取り組みを行いたいですね」
認知度と言う意味では、冒頭にも述べた通り、高野山イメージとでもいうべきブランドが確立されているようにも思える。
記者も休暇を利用して高野山の宿坊に宿泊し、金剛峰寺で行われている阿字観(密教における瞑想法)体験に参加して、何かに気が付いたり気が付かなかったりしているのだが、これが結構楽しい。
そんな体験や学びが大学でできるというのは、自分が高校生ならかなり興味深いのだが、担当者も「今回のオープンキャンパスにも、なぜか社会人の方々から多数の応募が寄せられています」と苦笑する。
「高野山のブランディングはとても成功していますが、大学がターゲットとすべき高校生に対しては、うまくリーチできていないようにも感じています。仏教や密教のイメージが強いがゆえに、高校生からは『高野山の大学=僧侶になる大学』と思われてしまい、本学が有する地域デザインや心理ケアといった分野を知っていただけていないという課題もあります。今回のオープンキャンパスは、そういった従来のイメージを覆したいという意図もこめられています」
ブランド力が偉大すぎるが故に、新たな悩みが出てくることもあるようだ。ちなみに、素人目にもかなり緩めでノリノリの企画となっている今回のオープンキャンパスだが、大学周辺の関係者や信徒などからは、どのような反応が寄せられているのだろう。
「今のところ非常に好評で、『面白い!』というお声をいただいています。卒業生からも『さすが高野山大学』と、今回の取り組みを推す反応がありました」
どうやら反応は上々のようだ。高野山に行くこと自体、なかなかハードルが高いことではあるのだが、密教に興味がある高校生も、そうでない高校生も、是非この夏は高野山大学で隠れミッキョーを探してみたりしてはいかがだろうか。
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