自分の場所を他人に気持ちよく提供できるか…お金がなくても確実に幸せになれる"仏教の教え7つ"

2024年5月16日(木)15時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

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幸せに生きるためには何をするべきか。精神科医の保坂隆さんは「経済的に厳しい生活を送りながらも幸せな人は、他人に幸せを与えている。仏教の教えのひとつ『無財の七施』にあるように、例えば『年をとればお金や健康に不安を感じるのは当然』と割り切り、表情だけは和やかに保つと、周囲も幸せな気持ちに包まれる。笑顔が心身によい影響を与えるのは医学的にも証明されているから、しだいに不安も減っていくはずだ」という——。

※本稿は、保坂隆『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/PeopleImages
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■お金がなくても他人を幸せにできる


2018年、山口県で行方不明になっていた2歳の子供を発見し、一躍有名になった尾畠春夫さんのことは、今なお多くの人の記憶に残っているのではないでしょうか。


尾畠さんは、尊敬を込めて「スーパー・ボランティア」と呼ばれ、80歳を超えてもなお活動を続けています。


ボランティアができるのは生活に余裕があるから……。こう思いがちですが、失礼ながら尾畠さんの生活はかなり厳しいものです。収入は月5万5000円の年金だけ。ボランティア活動中の食事はインスタントラーメンとパックのご飯でしのいでいるそうです。


もし同じ生活水準でボランティア活動をしてほしいと頼まれたら、暗澹(あんたん)たる気持ちになるのではないでしょうか。


しかし、尾畠さんの姿をテレビで見たことがある人ならご存じのとおり、尾畠さんはとても幸せそうなやさしい笑顔を浮かべています。


経済的に厳しい生活を送りながら、なぜ幸せなのか。それは、他人に幸せを与えているからではないでしょうか。


とはいうものの、現実的には尾畠さんのようにボランティアを通して、他人を幸せにできる人ばかりではないでしょう。まとまった金額を寄付できるかというと、そうはいきません。


他人を幸せにする方法は他にないのでしょうか。じつは、仏教の教えのひとつ『無財の七施』にその答えがあります。その「七施」は以下になります。


■たったひとことのやさしい言葉でも、人を幸せにできる


(1)やさしいまなざしを向ける

見知らぬ誰かに道を聞いたとしましょう。そのとき、相手から厳しいまなざしを向けられたら「聞かなければよかった」と後悔しますね。逆に、やさしいまなざしを向けてくれればホッとします。これと同じ気持ちを人にも感じさせてほしいと思います。


(2)和やかな表情や、にこやかな表情を浮かべる

お金や健康のことを考えると、不安からしかめっ面になりがちです。でも、そんな顔をしていると、周りの人にまで不安をばらまくことになります。「年をとればお金や健康に不安を感じるのは当然」と割り切って、表情だけは和やかに保ちましょう。


そうすれば、周囲も幸せな気持ちに包まれます。笑顔が心身によい影響を与えるのは医学的にも証明されていますから、しだいに不安も減っていくはずです。


(3)やさしい言葉で人に接する

人間は、言葉を使うことができる唯一の生き物ですから、その恩恵を活用して、人に接するときにはやさしい言葉を選びましょう。たったひとことのやさしい言葉でも、人を幸せにできるものです。


写真=iStock.com/kumikomini
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■他人の嫌がる仕事でも喜んで引き受けてあげる


(4)自分の身体を使ってできることをする

たとえば、荷物を運べずに困っている人を見かけたら、かわりに持ってあげましょう。また、他人の嫌がる仕事でも喜んで引き受けてあげましょう。


ほとんどの人は「やりたい気持ちはあるのだが、できない」と言いますが、気持ちだけで他人を幸せにすることはできません。こんなときこそ勇気を振り絞って、実行に移すことが大切です。


(5)他人の心に共感し、寄り添って接する

難しいことのようですが、誰かが喜んでいたら我がことのように喜び、逆に、心に大きな傷を負って悲しんでいる人を見たら、その悲しみを分かち合いましょう。


悲しんでいる人に対しては励まそうとする人が多いのですが、悲しみにくれているときにいくら励まされても悲しみは消えませんし、うれしくもありません。こんなときに必要としているのは、悲しみに共感して理解してくれる人なのです。


■「他者を幸福にすることが、いちばんたしかな幸福である」


(6)自分の場所を他人に気持ちよく提供する

50歳を超えると急激に足腰が弱くなりますから、バスや電車の中で座りたい気持ちはよくわかります。しかし、勢いよく車内に走り込んで席を取るくらいの勇気があるなら、座席を必要としている他の人にもっと譲ってあげてはどうでしょうか。


これとは逆に、席を譲られた際には「ありがとうございます」と素直に申し出を受けるように心がけましょう。最近は「失礼だなあ。私はまだ若いんだ!」と怒るシニアが増えているそうですが、そんなことを口にすれば周囲を不幸にするだけです。



保坂隆『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)
(7)自分の家を提供する

人が集まる際、どこを会場にするかで意外とモメることがあります。人が集まればゴミが出るし、トイレも汚れますから、みんなが敬遠する気持ちもわかります。


しかし、こんなときこそ「うちでよかったらお使いください」と提案しましょう。みんな喜んでくれるでしょうし、あなたの人望も高まるはずです。


19世紀のスイスの哲学者アンリ・フレデリック・アミエルには「他者を幸福にすることが、いちばんたしかな幸福である」という言葉があります。胸に刻みたい名言ですね。


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保坂 隆(ほさか・たかし)
精神科医
1952年山梨県生まれ。保坂サイコオンコロジー・クリニック院長、聖路加国際病院診療教育アドバイザー。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、2017年より現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。著書に『精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術』『精神科医が教える50歳からのお金がなくても平気な老後術』(大和書房)、『精神科医が教えるちょこっとずぼら老後のすすめ』(海竜社)など多数。
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(精神科医 保坂 隆)

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