オジエ、ラリー・モンテカルロ通算10勝の快挙。最終日は勝田含む3台が完走ならず【WRC第1戦レポート】

2025年1月26日(日)21時16分 AUTOSPORT web

 1月26日(日)、モナコおよびフランスを舞台に開催されている2025年WRC世界ラリー選手権の第1戦『ラリー・モンテカルロ』のデイ4ではスペシャルステージ16から18の走行が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合優勝を飾った。TGR-WRTのレギュラーである日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、SS16でスタックしたことでデイリタイアとなった。


 また、日曜のみの総合順位でポイントを競う“スーパーサンデー”では、TGR-WRTのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が最速となっている。


 23日(木)のシェイクダウンで幕が開けた2025年WRCの第1戦は、ついに総合優勝が決まる最終日を迎えた。前人未到のラリー・モンテカルロ10勝を目指すセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー)がラリーをリードするなか、最終日のステージは若干のディレイが生じたものの7時前からスタートした。


 この日のタイヤ選択は、各陣営の中でも選択が分かれており、トヨタではオジエとエルフィン・エバンスはスーパーソフト2本/スタッド4本、カッレ・ロバンペラ、勝田、サミ・パヤリはスーパーソフト4本/スタッド2本。ヒョンデは各クルーが異なる選択で、アドリアン・フルモーがスーパーソフト4本/スタッド2本、オット・タナクがスーパーソフト2本/スタッド2本/スノー2本、ティエリー・ヌービルがスーパーソフト2本/スタッド4本。フォードは、グレゴワール・ミュンスターとジョシュ・マッカーリーンがともにスーパーソフト2本/スノー4本となった。


■早朝の峠に3台が散る


 まだ日が昇り切らないうちに始まったSS16『アヴォンソン/ノートルダム・ドゥ・ローサ 2』(13.97km)は、デイ1でも走ったコースの再走。気温は4度、路面にはアイスバーンも多く張るかなり滑りやすいコンディションとなり、まずはミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)からアタックを開始する。


 しかしその直後、4、5番目出走のパヤリと勝田(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)に悲劇が起きた。まずコース序盤の1.8km地点では、スーパーソフトとスタッドのクロス配置で臨んだ勝田が中速コーナーでアンダーステアになりコースアウト。そのまま畔道にスタックしてしまった。




 さらにその先の10.1km地点でも、パヤリがちょうどさしかかった小さな橋から滑落してしまい、ともにデイリタイアとなってしまう。トヨタの2台が停止した波乱のSS16だが、制したのは僚友オジエとなり、エバンス、ロバンペラ(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)も続くなどスタッドタイヤを多めに選択していた僚友らが上位タイムを軒並みマーク。陣営内で明暗が分かれる結果となってしまった。


 続くSS17『ディニュ・レ・バン/ショードン・ノランテ 2』(19.01km)は、現地時間8時44分よりコースインが始まった。アイスは減ってきたようだが、細い道に巻かれた泥はその難易度を格段に上げていた。


 その結果、最初にコースインしたミュンスターは12km地点でぬかるんだ泥に滑り、グリップを失って岩壁に強くヒットしてしまった。


 このシビアなコンディションに対し、オジエやエバンス、タナクといった総合上位勢らは軒並み完走を優先するペースで走行する。しっかりとステージをクリアしていくなか、ただひとり総合4番手のフルモーがここを好機と捉えてスパート。スーパーソフトを多く持つ選択も奏功し、トップから20秒以上を巻き返しすステージウインで総合3番手に浮上した。

アドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1) 2025年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ


■緊張のチュリニ峠も快走で記録達成


 最後を飾るSS18『ラ・ボレーヌ・ヴェジュビ/ペイラ・カヴァ』(17.92km)は、この大会とともに歴史を紡いできたチュリニ峠が舞台だ。


 WRCの最終SSは、上位5台にボーナスポイントが与えられる『パワーステージ』となっており、出走順はWRC2クラスの上位車両からアタックを開始。6台のWRC2クラスが走った後、マッカーリーンを先頭にラリー1マシンもアタックを開始する。


 この時点で首位オジエのリードは18.2秒だが、一本前のSS17で20秒ほどの差が縮まったところを見るに余裕のあるギャップとは言い切れない。さらに、コース後半には今大会でもっとも広範囲のスノー路面が待ち受けている。


 しかしそんなプレッシャーもはねのけたオジエは、冷静なドライブで全体ベストタイムを刻み、見事自身10度目のラリー・モンテカルロ制覇を達成。前人未到の記録を打ち立てた。


 そして最終的に、総合2位はエバンスが続きトヨタがワン・ツーフィニッシュを達成。3位表彰台はヒョンデ移籍後初戦となったフルモーが獲得している。さらに“スーパーサンデー”は、総合2位のエバンスが最速となってボーナスポイントを手にした。


 また、サポートシリーズのWRC2クラスについては、今大会では優勝経験者のニコライ・グリアジンやガス・グリーンスミス(ともにシュコダ・ファビアRSラリー2)、オリバー・ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー2)らがポイント対象外のエントリーとなったなか、一度もクラス首位を譲ることのなかったヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)が完勝をあげた。クラス2位にはエリック・カミリ(ヒョンデi20 Nラリー2)が入り、クラス3位にはヨアンの弟で今大会が初のWRCイベントとなったレオ・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)が続いた。


 2024年WRCの次戦は、北欧で開催されるシーズン唯一のラウンド『ラリー・スウェ—デン』。2月13日(木)から17日(日)にかけて開催される予定だ。

セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ
エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ
ジョシュ・マッカーリーン(フォード・プーマ・ラリー1) 2025年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ
ヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2) 2025年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ


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