小林可夢偉の走りは「感動的」とオーナーも絶賛。悲痛な事故でレースを失うも「ルイが無事でよかった」/デイトナ24時間
2025年1月27日(月)11時6分 AUTOSPORT web
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースに、2台のキャデラックVシリーズ.Rを送り込んだキャデラック・ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)。今年はアキュラからキャデラックへとブランドを変更、さらにWECでトヨタGAZOO Racingのドライバーを務めるブレンドン・ハートレーと小林可夢偉が助っ人として加わるなど、注目が集まる戦いとなったが、10号車が1周おくれの5位、40号車はアクシデントから前半のうちにリタイアと、望んでいたものとはほど遠い開幕戦となった。
■「とても申し訳なく思っている」とデレトラズ
7番グリッドからスタートした10号車(リッキー テイラー/フィリペ・アルバカーキ/ウィル・スティーブンス/ハートレー)は序盤から上位争いに加わり、とりわけ夜になって気温が下がると、ハートレーが目覚ましいスピードを発揮。2位までポジションを上げることに成功する。
そして10時間が過ぎる頃には、アルバカーキがいよいよトップに浮上。日が昇ってからも、上位につけていた。
しかし、リードラップ復帰を目指していた残り6時間弱、接触のためドライブスルーペナルティを受けて後退。これで勝利のチャンスは潰えることとなった。
一方、アレックス・リンが急遽病欠となったジョーダン・テイラー/ルイ・デレトラズ/可夢偉組の40号車は、8番手からレースをスタート。デレトラズ、テイラーが順当に上位を守ると、日没を迎えるところでステアリングは可夢偉に託された。
可夢偉もまた、低気温下で抜群のスピードを見せ、次々とライバルのマシンをオーバーテイク。最後は多くのトラフィックがひしめく中、オーバルのバンク部分で果敢にポルシェをパスし、総合トップへと浮上してみせた。
FOR THE LEAD!!!
その後、2時間のスティントを終えた可夢偉から、マシンは再びデレトラズに託された。
イエローコーション下のピットストップでフレッシュタイヤへと交換し、迎えたリスタートでは、コールドタイヤが原因となりデレトラズは2コーナーでコースオフ。バリアに接触してコースに跳ね返ったところに後続の車両が差し掛かり、マルチクラッシュが発生してしまった。40号車はここでレースを終えることになった。
デレトラズは「タイヤがとても冷えていて、夜間は実際非常に厳しい状況だった」と振り返っている。
「リスタート時に、JDC(85号車ポルシェ)の黄色いクルマが内側に入り、加速したから、僕はスピンしたのだと思う。(接触などは)何も起きなかったと思う。接触したとは思わないが、その後巻き込まれた。これは僕のミスであり、チームとチームメイトに申し訳なく思っている。24時間レースを終えるには、悲しい形だ」
「僕は大丈夫だ。幸運にも、僕らのクルマは非常に強力だし、キャデラックは非常に安全なクルマを製造した。タイヤが充分に温まらず、スピン後にLMP2のクルマとぶつかっただけだと思う。チームとチームメイトにはとても申し訳なく思っている。レースの早い段階でこのようなことが起きてしまい、残念だ」
■「週末が進むにつれてクルマが強くなっていった」と可夢偉
チームオーナーのウェイン・テイラーは、「我々のGTPプログラムは、浮き沈みの激しい週末だった。10号車と40号車のドライバーは、どちらも素晴らしい仕事をしてくれた」とレースウイークを振り返る。
「可夢偉が40号車でレースをリードしたときは、本当に感動的だった。彼は決して、間違ったところを走らなかった。10号車は、タイヤの問題とバランスに苦しみ始めた」
「レースの早い段階で40号車が事故に遭ったことは、本当に悲痛なことだった。だが、こういったことは起こるものだ。我々のドライバーとクルーは、最善を尽くし、決して諦めなかった。端的に言えば、我々にとって良い週末ではなかった。まったくね。我々は、計画を練り直し、今あるものでペースを上げ、物事をうまく進める方法を考えなければならない」
2019、2020年以来の3度目のデイトナ制覇を狙っていた可夢偉はレース後、WTRのプレスリリースを通じて次のようなコメントを残している。
「残念ながら、リスタート後にルイがクラッシュしました。クラッシュはかなり大きかったのですが、ルイが無事だったので、その点はよかったです」
「僕らのレースはかなり良かったのですが、残念ながら完走することができませんでした」
「急なことにも関わらず、全員が一生懸命に働き、2台のキャデラックでデイトナに入ることができました。もちろん、我々のキャデラックでの経験はまだ不足していますが、皆で協力し合い、週末が進むにつれてクルマは強くなっていきました」
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