差別的な批判も糧に 米学者も脱帽する大谷翔平の影響力「オオタニが球界の顔になった事実は、アジア人にとっても前進」

2024年1月27日(土)11時0分 ココカラネクスト

ドジャース移籍で話題を生み出した大谷。その影響力は計り知れない。(C)Getty Images

「『野球界の顔』とされる選手が通訳を必要とするような人物なんてね。正直、球団の売り上げの助けにはならないと思う。なぜなら、本人の言動を周りが完璧に理解できないからだ」

 これは2021年7月にエンゼルスで“リアル二刀流”を確立させた大谷翔平に対し、米スポーツ専門局『ESPN』の名物アナリストであるスティーブン・A・スミス氏が放った言葉だ。

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 自分の考えをハッキリとさせる歯に衣着せぬ発言がカルト的な人気を博してきたスミス氏。だが、この発言は、彼の奔放な言動を見慣れた視聴者からも「ひどい差別だ」と批判が殺到。当人も「私はもっと言動に敏感であるべきだった」と謝罪する事態に至っていた。

 ただ、当時の大谷に対して、いわゆるアジア人へのステレオタイプな偏見を抱いていたのは、おそらく彼だけではなかった。炎上騒動が起きた際にSNS上にはスミス氏に対する反発の声が相次いだ一方で、「なぜ英語を喋れないんだ?」といった意見も少なからずあった。

 ただ、大谷はこの手の批判を糧に強くなった。いまやメジャーリーグのみならず、プロスポーツ界全体でも話題となるメガスターとなった。今オフにドジャースと締結した10年総額7億ドル(約1015億円)の契約によって生み出された大きな反響は、あまたの逆境を乗り越えてきた彼のスター性を物語るものでもあった。

 日本が生んだ二刀流スターの影響力は、米識者たちも唸らせる。米放送局『NBC NEWS』の特集記事内で「ショウヘイ・オオタニがMLBの顔になったという事実は、アジア人、そしてアジア系アメリカ人のコミュニティにとっても驚くべき前進だ」と語ったのは、ストーンヒル大学の人種・民族・社会正義研究センター長を務めるスタン・タンガラージ氏だ。

 人種の歴史や問題に詳しい同氏は、「オオタニはアメリカの野球界でも、最もよく知られた国際的な人物となった。このような世界的な人気を誇る優れた選手に関心がないわけがない」と指摘。そして、今オフのドジャース移籍によって、大谷の影響力がより広まると分析した。

「私は今回の契約が戦略的な行動であり、オオタニのブランド力をより成長させ、拡大させると考える。彼は戦略的に世間の固定観念というものを利用している。今までは彼個人の素晴らしさだけに焦点があたっていたと思う。なぜなら酷いチームにいたからね。だからこそ、チームとしても、彼の活躍が際立つのは非常に大きな動きだ。これは信じられないほどよく考えられていると思うよ」

 逆境を乗り越え、スポーツの垣根を越えた世界的なスターへ。大谷の存在感は強まり続けている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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