巨人・田中将大とチームの距離を一気に近づけた“となりの勇人” 焼き肉決起集会と合同自主トレ初日で見せた気遣い
2025年1月29日(水)5時0分 スポーツ報知
ウォーミングアップ中、同じ列でダッシュする田中将(手前)と坂本(カメラ・中島 傑)
巨人に新加入した田中将大投手(36)が28日、春季キャンプに先駆けて始まった宮崎市内での合同自主トレに初参加した。日米通算197勝を誇る超大物右腕の「緊張」を和ませたのはチームの大歓迎ムード。選手とスタッフが集結した前日27日の決起集会や、小学生時にチームメートだった坂本勇人内野手(36)の心遣いに感謝し、「ジャイアンツに入ったな」と笑顔で最高のスタートを切った。キャンプ1軍メンバー34選手(外国人は除く)による合同自主トレは30日まで行われる。
2人だけの時間が、高鳴る鼓動を落ち着かせてくれた。寒空の下でマー君が笑った。視線の先には、24年前のように坂本がいた。気温7度の午前9時。「緊張しますよ、もちろん」と語る右腕のもとに盟友が歩み寄ってくれた。一言、二言…言葉を交わすごとに笑顔が増えていった。
「ジャイアンツに入ったなって」
小学生時代、兵庫「昆陽里(こやのさと)タイガース」で同じユニホームを着た2人。6年生の時は同じクラスで、卒業文集に記した夢はともに「プロ野球選手」だった。新天地“初日”。近くに来てくれたのが坂本だからこそ大きな意味があった。「言葉は交わしたけど(内容は)特に覚えてない」と照れ笑いで明かしつつ、感謝があふれた。
熱い歓迎にも救われた。宮崎入りした27日の夜、焼き肉店でスタッフを含め総勢60人規模の大決起集会が開かれた。田中将の周りには「いっぱい(笑)」と甲斐、山瀬、丸、岡本、戸郷らが集結。そして「隣は勇人」。「選手、スタッフの方々全員と食事する機会があって、その会があったから(28日に)スムーズに入ることができた。ありがたかったです」。あっという間に溶け込んだ。
謙虚で控えめな男らしく、決起集会では「ボク端っこ行きまーす」と真ん中の席に座るのは避けた。一方で同じテーブルだった23歳の山瀬は「近くにいられてよかったです。すごく話しやすかったです!」とレジェンドの人柄に感激。すでにキャンプ中に「投手会」も計画され始めていることを伝え聞くと、田中将は「いい関係を築いていくために大切な時間。うれしいことですね」とナインの心配りに頬を緩めた。
一夜明けた練習ではさっそく“マー君塾”を開講。ブルペンで投手陣の球筋を見ていると、横にいた戸郷から質問攻めにあい、メンタル面や調整法などの問いに丁寧に答えた。変化球の精度の秘けつなど、若きエースがすでに次の質問を考えていると聞くと「構えとかなあかんね。彼のほうがいいボール投げてますよ」と優しい笑みをたたえた。
楽天時代の開幕24連勝(13年)やヤンキースでの78勝(46敗)など、実績はチーム随一。「年は離れてますけど、情報共有、交換は、いろいろできればいい。若いとか年を取っているとか、若いほうから来いとかは関係ない。自分からも積極的にコミュニケーションを取っていきたい」と技術や経験を惜しみなく伝え、自身の投球にもつなげる。
巨人のキャップ、ウェアを着用しての合同自主トレ初日を終え、「いよいよだな」と気持ちは高ぶった。「準備にしっかり時間を使い、守るとこは自分のペースを守ってやりたい。急加速することはないと思うので、徐々に徐々にためていきながらステップアップできれば」。昨季0勝からの大復活へ。最高の仲間たちと再スタートを切った。(堀内 啓太)
◆マー君の一日
▽8時48分 木の花ドーム入り。
▽同54分 グラウンドに小走りで登場。
▽同56分 戸郷と約30秒会話。最後に背中をポンと触る。
▽9時 アップ開始。最後列で坂本に声をかけられ、何度も会話。
▽同15分 田中将を後ろから坂本が追う形でダッシュメニュー。
▽同18分 アップ終了。木の花ドームへ。
▽同30分 投手陣がキャッチボールを始める中、離れてコンディショニング。
▽同48分 横の田中瑛に「行こう」と声をかけ、キャッチボール。最長50メートル。
▽10時8分 田中瑛とグラブタッチして笑顔でキャッチボール終了。ブルペンの真後ろで戸郷と会話。
▽同24分 戸郷との16分間の会話を終えて裏へ。
▽同40分 一人でランニング、クールダウン。
▽11時28分 取材対応
▽同44分 ファンの声援を受け、チームロゴ入りのウェア姿で帰りの車へ。