スーパーフォーミュラのスポット参戦を機に本格化した移籍話。ホンダGT500陣営に新加入の大草りき「すごく難しい判断だった」

2024年1月31日(水)11時0分 AUTOSPORT web

 今シーズン、Modulo Nakajima RacingからスーパーGTのGT500デビューを果たす大草りき。昨年のスーパーフォーミュラ最終戦で鮮烈なデビューをきっかけに、熾烈と言われているGT500のシートを獲るチャンスを掴んだ。先日、幕張メッセで開催された東京オートサロンの期間中に大草に話を聞くと、「正直、今でも実感が湧かないというありがちなコメントになりますけど……改めて思うのは、タイミングと人との縁で成り立っているなというのを再確認しました」と、未だに本人もGT500ドライバーになれたことを信じられていないという様子だった。ただ、本人のコメントにもあるように“タイミング”が大きく影響していたようだ。


 2023年はスーパーGTのGT300とスーパー耐久のST-Zクラスを主戦場にしていた大草。10月末に鈴鹿サーキットで行われたスーパーフォーミュラ(SF)の最終大会を前にTGM Grand Prixに所属していた大湯都史樹が突然欠場を発表し、その代役として彼が選ばれた。


 ぶっつけ本番で国内トップフォーミュラに挑んだが、第9戦で抜きつ抜かれつのバトルを披露する走りをみせ、13位完走。ここから、GT500参戦に向けて話が本格化していったという。


「(SF最終戦の)次の週に行われたスーパーGT最終戦のあたりから、このお話が本格的に動き出しました」と大草。もともと、ホンダの育成(SRS-F/現ホンダレーシングスクール鈴鹿)出身だったが、2022年にスーパーGTのGT300クラスにデビューして以降は日産GT-R NISMO GT3をドライブしてきたこともあり、将来的には日産陣営でGT500をドライブするのではないかという考えが関係者やファンの間では少なくなかった。


「正直、僕もそうなるのかなと思っていたこともありました。GT300の時はGT-Rに乗せてもらって、日産の方々にもテストに呼んでいただいたり、成長させてもらっていたなかでの(今回の)お話をいただきました」


「自分の中でも『どうしたらいいんだろう?』という気持ちもありました。正直、どっち(の選択肢)を取ったにしても、ネガティブに捉えられる話だと思うので、すごく難しい判断だったんですけど……僕は24歳で、スーパーフォーミュラに乗りたいという気持ちが強かったので、今回のお話を受けさせていただきました」


「NISMOさんには本当に色々やっていただいたので申し訳ない気持ちもあるんですけど、しっかりと成長した姿をGT500で見せて、逆に良いライバルになれたらいいなと思います」


 そう語った大草。やはり、昨年経験した国内トップフォーミュラの魅力に惹き込まれているようだ。今季のスーパーフォーミュラ参戦は叶わなかったが、シーズン中はチームに帯同して勉強したいとのことで「(チームから)ダメと言われても行くつもりです!」と、かなり意気込んでいた。それだけ、掻き立てられる想いがあるのだろう。


「本当に、あの経験は忘れられないというか、(スーパーフォーミュラに)乗りたいなという欲が出ちゃいますね。ある意味で、新たな目標ができたというか、SFに乗るというのが自分の直近の目標で、それに向けてGT500でしっかり経験を積んで良いドライバーになって、使ってもらえるような状況になればなと思っています」


「タイム見てもらったらわかると思うんですけど速いのと、やっぱりタイヤもクルマも一緒のワンメイクというのは、ドライバーの腕とチーム力が一番出ます。GTは他の要因も色々絡み合いますけど、SFはドライバーの強さが結果に直結するみたいなカテゴリー。やっぱりトップを目指して戦っているんだなというのは、乗っていてすごく感じましたし、そこが僕からしたら“魅力”でしたね」

2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 大草りき(TCS NAKAJIMA RACING)


︎ナカジマレーシングは“温かい雰囲気”


 そんな大草は、今までナカジマレーシングとの接点がなく、中嶋悟総監督をはじめチーム主要メンバーに会うのも、この冬が初めてだったという。


「このお話をいただいてから中嶋さんもそうですし、伊沢(拓也)さんともお話させていただきました。本当に温かいというか、めちゃくちゃ優しくて、早く結果を出せるように頑張らないといけないなという気持ちです」と、それぞれの第一印象を語る大草。


「ナカジマレーシングというか、中嶋さんの印象が最初に思っていたのとは違いました。外から見ているとけっこう寡黙なイメージというか、レースに真剣という感じだったんですけど、いざチームの中に入ってテストとか行くと、明るく接してくれます。けっこう緊張していたのですけど、逆にそれを解いてくれるような感じで、すごく雰囲気が良くて、楽しく過ごしています」


「あとは安田(裕信)さんと伊沢さんがSRS同期とかで、けっこう仲良が良いんです。それで早い段階いろいろ連絡のやり取りをさしてもらうことができたので、今の時点で伊沢さんのことを知ることもできていますし、逆にいろいろ優しく教えてくれたりとかも多くて、すごく助かっています」と、早くもチームの一員として解け込めている様子だ。


GT500ドライバーとして迎える2024年シーズン。これまで以上に注目を集めるということは大草自身も理解しているようで「やっぱりメーカー契約ってことで責任感やプレッシャーじゃ今までに比べると段違いだと思いますが、そこは逆に良い意味で楽しんで頑張りたいなと思います」と気を引き締めるとともに、次の目標を見据えた1年にしていきたいと考えている


「デビューイヤーはすごく大事で、今後の僕のレース人生がかかっているって言っても過言ではないと思います。そこに関しては気を引き締めて変なミスとかをしないように、毎戦成長して、少しでも早く戦力になって、良いドライバーになりたいなと思っています」


 今年は、GT500クラス全体でドライバーの移籍や入れ替わりがあったなか、大草がどんな走りを披露するのか、目が離せない。

2024スーパーGTセパンテスト Modulo Nakajima Racingからテストに参加した大草りき。初日の帰りがけに取材、撮影させていただいた。


2024年のスーパーGT GT500クラスでModulo Nakajima Racingのマシンをドライブする伊沢拓也と大草りき

2024スーパーGTセパンテスト Modulo Nakajima Racingの64号車Modulo CIVIC TYPE R-GT

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