52歳レジェンド葛西、健在 TVh杯連覇で今季初優勝 1回目ヒルサイズ越え142メートル
2025年2月2日(日)4時22分 スポーツニッポン
◇ノルディックスキー・ジャンプ TVh杯(2025年2月1日 札幌市大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
52歳8カ月のレジェンド葛西紀明(土屋ホーム)が1回目142メートルで首位に立ち、2回目も131メートルを飛んで合計258・9点で2年連続の優勝を果たした。小林陵侑(チームROY)らW杯遠征メンバーは不在だったが、今季初優勝。すでに代表入りを決めているW杯札幌大会(15、16日、大倉山)に弾みをつけた。
会場がどよめいた。葛西の1回目。力強い踏み切りから大きな放物線を描くと、懸命にテレマークを入れ込んで着地した。ヒルサイズを5メートル超える最長不倒の142メートルだった。プレッシャーのかかる2回目は131メートルを飛び、連覇を確信してガッツポーズ。飛距離換算で2位に約11メートル差の圧勝となった。
「この年で勝てるとは。凄くうれしい。1本目は“来たぁー”という感じ。良い風でいいジャンプができた。(2本目は)2連覇のプレッシャーを感じながら絶対に負けたくないという気持ちが強かった」
今季はW杯下部のコンチネンタル杯の遠征メンバーとして海外を転戦。「若い頃は疲れなかったけど、今は移動が大変。年を感じる」と言いながら30位以内に与えられるポイントを重ねてきた。遠征中もランニングは欠かさず、1月は国内外で113キロを走った。食欲も旺盛で、先週末に札幌・大倉山で行われたコンチネンタル杯3戦を終えてW杯札幌大会参戦を決めると焼き肉屋でご飯大盛り2杯を平らげた。「(体重を)落とすのが大変」と苦笑いする。その一方で帰国後の国内調整では不安定だった助走時の重心の位置を改善。スキー板の金具も微修正して、さらに状態を上げた。
15日からのW杯札幌大会2連戦で予選通過となれば、自らの持つギネス世界記録のW杯通算578試合を更新する。さらに30位以内に入れば最年長W杯ポイント獲得となる。昨年は30、43位だったが、「去年よりも(W杯)ポイントを獲りたい」と鼻息は荒い。
現在W杯男子総合で日本勢は小林陵ら上位3人を除いて、ポイントの獲得が少なく、今月26日に開幕する世界選手権(ノルウェー)の代表5枠の争いは大混戦。葛西にもチャンスはある。さらに53歳で迎える26年ミラノ・コルティナ五輪で2大会ぶり9度目の代表入りも決して夢ではなくなってきた。