T―岡田氏 4番に向き合うしかない阪神・森下 発展途上だからこそ臆することなくバットを振るべき
2025年2月7日(金)5時15分 スポーツニッポン
【T—岡田 CHECK】初めて阪神の沖縄・宜野座キャンプを取材した前オリックスで本紙評論家のT—岡田氏(36)が6日、今季新たに猛虎の4番として構想される森下翔太外野手(24)に熱視線を注ぎ、金言を贈った。自身も4番として通算300試合に出場し、本塁打王も獲得した経験を踏まえ、「4番はチームの顔」「打てる、打てないにかかわらず堂々と打席を務めるべき」「苦しい時でも向き合うしかない」「開幕の入り方が大事」などと“心得”を指南した。
藤川監督が今シーズンの4番と期待している森下選手の動きに注目してみた。ランチタイムの特打では60スイングで柵越えは2本。今は飛距離よりも、自主トレからの延長で、いろいろ試しているという印象が残った。
特に意識しているのは、バットの出し方、体の動かし方だと感じた。動きを自分のイメージに近づけ、いかにバットのヘッドを走らせるかに主眼を置いた打撃練習だと思う。守備も含めて全体的に動きはしっかりしているし、キャンプ序盤は順調に来ているはずだ。
4番というのは、やはりチームの顔。打てる、打てないにかかわらず、試合の勝敗も背負った上で、どんな時も堂々としなければならない。常に、立ち居振る舞いが見られるポジションだ。
私も岡田彰布監督時代の2010年に、初めてプロの4番を経験した。初出場したオールスターでも4番を打ち、この年は33本塁打で本塁打王のタイトルを獲得した。こう書くと問題なく重責を果たしたと思われるかもしれないが、精神的には苦しかった。打ったことより、自分が打てなくて負けた試合ばかりが、頭に残っていた。でも、4番という立場から逃げることはできない。向き合うしかない。向き合うためにも練習するしかない。その繰り返しだった。
森下選手にとっては4番の経験を持つ大山選手がいることが、心強い。最高のお手本がいる。同じようにする必要はないが、今も多くのことを学べるはずだ。成功と失敗を繰り返しながら、経験を積み、1年を終えて、ひと回りふた回り成長した形になれば、チームにも貢献できる形になると思う。
阪神のキャンプを初めて取材させてもらったが、若い選手が多い印象を受けた。その筆頭格とも言える森下選手がチームを勢いづかせるためにも、開幕の入り方が重要になる。独特の雰囲気がある開幕シリーズは、緊張して当然。そこは自分の若さを武器にして、ぶつかってほしい。森下選手のいいところは、思い切りの良さ。まだまだ発展途上だが、だからこそ臆することなくバットを振るべき。新たな阪神打線の顔に期待したい。 (スポニチ本紙評論家)
○…藤川阪神の4番として構想される森下は、今キャンプ初めてランチ特打に臨んだ。序盤はバスターから一球一球を丁寧に打ち返し、60スイングで柵越え2本。全体メニューのフリー打撃では一転、44スイングで7本の柵越えを放った。とはいえ本人はあくまでバットを体の内側から出すインサイドアウトの意識を最重視している段階で、「角度はいつでも上げられる」と柵越え数には目もくれず、“オレ流”の調整を続けている。