「8割でも良い“打感”で打てるよ」――独立リーグから成り上がる DeNAドラ3新人を変えた“男・村田の教え”【DeNA】

2025年2月21日(金)7時0分 ココカラネクスト

ルーキーとして積極果敢なプレーを続ける加藤。プロの厳しさと向き合いながらアピールを続けている。写真:萩原孝弘

独立出身のドラ3がアピール中!

 昨年はドラ1の度会隆輝を筆頭に、石上泰輝、井上絢登のルーキートリオが沸かせた宜野湾キャンプ。今年も一人の若武者が負けず劣らずのアピールを続けている。ドラフト3位で入団した加藤響だ。

 昨年徳島インディゴソックスでベストナインを獲得し、プロの扉をこじ開けた内野手は、「プロのキャンプの雰囲気を味わえているので、すごくいい経験をさせていただいています」と沖縄の陽に照らされた頬をほころばせた。

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 その笑顔の裏には、実戦での結果が付いてきていることも関連している。加藤は2月11日から始まった中日との練習試合で実戦デビュー。そこで2試合連続の猛打賞と強烈なインパクトを残し、途中出場となった15日は9回2死満塁で2者を還す二塁打と、与えられた一打席で結果を残した。

 さらに二塁手で起用された18日にはダイビングキャッチを連発してピンチを救うと、レフトフライで二塁上から果敢にタッチアップを慣行してサードを陥れる好走塁を披露・「走攻守に於いて高いレベルの選手」とのスカウト評通りの活躍を見せた。

 ハツラツとした“ルーキー”には、三浦大輔監督も期待を寄せる。

「バッティング練習見ていてもすごく良い、思い切りの良いスイングを続けられていますし、なおかつ結果も伴ってきていますからね。これから相手の投手のレベルもどんどん上がってくる中で、まだこれから見ていかないといけないですけれども、今まではすごくいいものを見せてくれていますね」

 打席内での心持ちはオーソドックスだ。「速い真っ直ぐを待って、変化球対応っていう感じでやっています」と話す加藤は、初球のスライダーを引っ張り切る好反応も見せた。これには本人も「結構、みんな苦戦していスライダーたったので、自分が打てたことはすごい嬉しかったですね」と胸を張る。

 無論、対戦した“プロ”のピッチャーは甘くない。加藤は「コントロールが独立よりも全然いいイメージですね。しっかりと内と外に投げ分けられるのと、早いカウントでも結構インコースを多く使ってくるイメージです。それをちゃんと狙って投げれてるっていうのは独立ではあんまりなかった。全然甘い球も来ないですし、基本的に厳しいです」と語る。

 ストレート一つとっても「やっぱり伸びとキレがアマチュアより全然いい」とレベルの違いを肌で痛感している。当然、ここからは一線級のピッチャーと対戦するわけだが、22歳のルーキーは「本当に1発で仕留めないとダメだなっていうのは、すごい実感します」と冷静に先を見据えた。そのためにも「バッティング練習から、初球は絶対打つ、打ってやろうっていう気持ちでやってるんで」と常に実践を意識し、技術と感性のブラッシュアップに取り組んでいる。

名手に「一瞬で見抜かれた」課題

守備でのプレーなど課題は少なくない加藤。それでもこの思い切りのよい新人には何か魅力がある。写真:萩原孝弘

 守備面では課題は山積み。本人もそこは猛省する。

「打球も速いですし、ランナーも足が速いので。そこがやっぱりまだまだもっと慣れなきゃいけないな、もっともっと自分が焦らないでプレーするっていうのも覚えなきゃいけないですし。守備はほんとに1から学んでるぐらいです」

 現役時代に「ハマの牛若丸」と称された名手で、二軍のディフェンスチーフ兼内野守備兼ベースコーチを務める藤田一也氏の眼力に「ダメなところを一瞬で見抜かれました。ヤバいです」と驚かされつつも、「足の運び、スローイングに向けての形。勢いでやっちゃうタイプなので、リズムとバランスをしっかり保ってプレイすることを教わってます」と己を磨いている。

 一方で順風満帆に見える打撃にも、ターニングポイントとも言える出来事があった。

 プロ入りが決まったオフも「しっかり身体を動かすことが大事」と徳島のコーチのアドバイスを忠実に守り、新人合同トレーニングも完走。瞬く間に時は流れ、駒を進めた沖縄キャンプ。「キャンプに入って2日目か3日目ぐらいに、ちょっと自分も疲れていて。全然ティーバッティングできてなかった時があったんですよ」と思うように自分の身体を操れない時期がきた。

 加藤自身も「疲れてくると身体をバッて強く振っちゃうんです」という悪癖は承知していた。だが、「自主練習のときに村田(修一コーチ)さんに呼ばれて、ちょっと踏み込むイメージを持ってバッティングしたらって言われたんですよ。自分は踏み込む意識がなかったので、少しクロス気味にやってみたら、そこから急に良くなりました」と今年からベイスターズに復帰した“男・村田”の教えがピタリとハマった。

 具体的には「前足に壁を作って、それを支点にバットのヘッドを使うみたいな感じですね。そしたら7、8割ぐらいでもそのいい“打感”で打てるよ、みたいな感じで教わりました」と身体とバットの連動性を重視。「そこからは疲れていても、いいバッティングができるようになったんです。それが今はいい感じです。村田さんのおかげですと言っても過言ではないぐらいです」と声を弾ませた。

 小学6年時には鈴木尚典現打撃コーチの下、ベイスターズJrでプレー。「もちろんベイスターズファンです」と言い切る地元っ子は、本家ベイスターズのユニフォームを見つめ「やはり重みが違いますね」と頷き、「開幕1軍、開幕スタメンを目指して、必死に食らいついてやって行きます」と目を輝かせた。

 森敬斗などライバルの多いショートの座。憧れの戦闘服に身を包んだ22歳は、希少な右打者の優位性も武器に、横浜スタジアムに快音を響かせる。

[取材・文/萩原孝弘]

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