監督と保護者の分業制で日本一達成 東海大静岡翔洋中軟式野球部・寺崎裕紀監督の挑戦

2025年2月22日(土)8時11分 スポーツ報知

優勝を目指す東海大静岡翔洋中野球部の選手

 東海大静岡翔洋中の軟式野球部は、異色の手法で中学日本一まで上り詰めた。“戦術オタク”の寺崎裕紀監督(35)が、選手の保護者も交えた指導方針を貫く。2年ぶりのV奪回に向けて22日開幕の県中学選抜大会、3月には全日本少年春季大会(岡山)に臨むチームを取材した。

 監督、保護者による“分業制”。寺崎監督は珍しい指導法の意図をこう明かした。「親の方が子どもの野球を長く見ているし、野球好きということもあって自分より打ち方、投げ方に詳しい」。練習を見ると、監督が打撃面で細かく指導する場面はない。投打の技術向上は選手に任せ、その親たちが手を差し伸べる。自身はサインプレーなどの作戦面に、ほぼ専念している。

 漁師を志していた指揮官は、新潟・糸魚川高から東海大海洋学部に進学し、準硬式でプレーしていた。中学時代に経験した軟式野球の多彩なサインプレーにハマり“戦術オタク”として系列中学で指導したことが現在の道につながった。2013年に監督就任。その後コーチを経て、監督に復帰した20年からは新型コロナで練習時間が減った中、サインプレーの時間を確保するため、今の手法を採用した。

 平日は練習時間の半分近くをサインプレーに充てており「盗塁やエンドランを徹底する分、成功率は全国屈指」と胸を張った。練習試合に訪れた保護者からの助言だけでなく、選手同士でやり取りすることで考える力も育つ。夏の全国中学校軟式大会で22年に準優勝、23年には29年ぶりに優勝を果たした。「親を交えた“三位一体”の形ができていると思います。近年の結果が飛び抜けすぎてますが…」と笑いながら謙そんした。

 右腕エース・内田優(2年)はワインドアップに挑戦中。増田将樹捕手(2年)の父で、甲子園に2度出場した英之さん(54)から提案された。「最初は指導法にびっくりしたが、いろんな意見を聞けるのはありがたい」と歓迎した。主将の松下海真捕手(2年)は兄が2人とも野球部OB。U—12日本代表コーチを務め、現在は学童野球で監督の父・和博さん(47)は「自分で野球を考えることができている。保護者も監督の教え方に理解を示している」と効果を語った。異色の体制で日本一を目指していく。(伊藤 明日香)

 〇…翔洋中は昨春の県選抜大会決勝で島田一・二中の合同チームにサヨナラ負けを喫し、大会5連覇を逃した。王座奪還に向け、松下主将は「チームの魅力は攻撃力。打ち勝って全国大会につなげたい」と気合十分。左腕エースで4番の山川陸翔(2年)は「長打と出塁率にこだわっていきたい。投げたらテンポよく抑えたい」と意気込んだ。

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