トヨタのロバンペラ、GRヤリスを初優勝に導く「彼の速さは本当に印象的」とラトバラ/WRC第2戦

2022年2月28日(月)12時0分 AUTOSPORT web

 2月27日、WRC世界ラリー選手権第2戦スウェーデンの競技最終日、デイ3がラリーの拠点となったウメオの北西エリアに設定された4本のSS(スペシャルステージ)を舞台に行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が2022年シーズン初優勝を達成。また、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合3位に入りダブル表彰台を獲得した。一方、総合2番手でデイ3を迎えたエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)はリタイアとなっている。


 24日(木)のシェイクダウンを皮切りに、翌25日(金)から競技が開始されたシーズン唯一のフルスノーラリーであるラリー・スウェーデン。2日間の競技を終えて迎えたデイ3は、日中のサービスを挟むことなく2本のステージを各2回走行するスケジュールでの開催となった。


 週末をとおして安定していた天候はこの日も良好。早朝の気温はマイナス7℃前後まで低下し、雪と氷に覆われたステージの路面は非常に良いコンディションが保たれた。


 前日、6本中3本のSSでベストタイムを記録し総合首位に立ったロバンペラは、総合2番手につけた僚友エバンスに8.3秒差を築いてデイ2を締めくくった。ラリー最終日も、引き続きチーム内での優勝争いが繰り広げられるかと思われたが、追う立場のエバンスに無情のペナルティが科せられる。


 これは彼がデイ2最後のステージとなったSS15の最終コーナーで、フィニッシュラインを通過した直後にスノーバンク(雪壁)を乗り越え、コース外を走行したことに対するもの。このペナルティによって10秒が加算されたことで、両者のタイム差は18.3秒に拡がってしまう。


 ウェールズ人ドライバーの試練は続く。逆転優勝を狙ってデイ3に臨んだエバンスだったが、ハイブリッドシステムに問題が発生。システムをオフにした状態でこの日のオープニングであるSS16をスタートすることになった。しかしスタートから7.9km地点で彼のマシンはスピンし、フロントからスノーバンクに突っ込んでしまう。


 その後、エバンス/マーティン組はトヨタGRヤリス・ラリー1に応急処置を施し、大きく遅れながらもフィニッシュ地点までたどり着いた。だが、ハイブリッドシステムが安全な状態であることを示すグリーンのライトが点灯せず競技続行が不可能に。最終的にはFIA国際自動車連盟が定める安全規則に従いリタイアすることとなった。


■首位を走るロバンペラにもハイブリッドシステムのトラブルが発生


カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第2戦スウェーデン
エサペッカ・ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第2戦スウェーデン


 目下のライバルが脱落し、状況的に楽になったロバンペラだったが、彼もまた早朝からハイブリッドシステムに問題を抱えていた。しかし、若きフライング・フィンはシステムが正常に作動しないなか迎えたSS16でベストタイムを記録し後続とのギャップをさらに拡げると、ボーナスポイントが懸かった最終パワーステージでも2番手タイムを記録してキャリア3勝目、トヨタGRヤリス・ラリー1での初優勝を成し遂げた。なお、ロバンペラの父であるハリ・ロバンペラは、2001年のWRCスウェーデンウイナーであり今回、親子二代でのラリー・スウェーデン優勝が実現している。


 ロバンペラは今回の勝利でドライバー選手権首位に立ち、今戦2位でポイントランキングでも2番手となったティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 Nラリー1)に14ポイント差を築いている。また、2018年以来のチーム復帰を果たしたラッピが総合3位に入ったことにより、トヨタはワン・スリー・フィニッシュを達成。この結果、マニュファクチャラー選手権でもトップに浮上し、選手権2位のMスポーツ・フォードWRTに24ポイント差をつけている。


 今シーズンはマニュファクチャラーポイントの対象となる新チーム、TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションからシリーズにフル参戦している勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、初日に遅れをとったものの、その後は安定した走行を続け総合4位でフィニッシュ。SS19のパワーステージでは4番手タイムを記録し、ボーナスの2ポイントを獲得した。


「カッレ(・ロバンペラ)は素晴らしい走りでこのラリーを制した。序盤は1番手スタートということもあり、どうなるのだろうかと少し心配だったが、彼はとてもうまく対処し、とくにラリー後半の速さは本当に印象的だった」と語るのは、TOYOTA GAZOO Racing WRTを率いるヤリ-マティ・ラトバラ代表。


「トヨタGRヤリス・ラリー1に初勝利をもたらしたカッレと、それを実現するために頑張ってくれたチームのみんなに感謝したい」


「今朝のエルフィン(・エバンス)のアクシデントは、彼にとって非常に残念なことだった。しかし、エサペッカ(・ラッピ)がチーム復帰後最初のラリーで表彰台に立ったことで、我々は貴重なポイントを獲得することができた」


「また、(勝田)貴元もとてもいい戦いをしたと思う」


 ドライバー/コドライバー/マニュファクチャラーの各選手権ランキングでトップに浮上したトヨタが今季2勝目を目指すWRCの次戦第4戦は、4月21〜24日に開催される『クロアチア・ラリー』だ。2021年シーズンに初めてWRCイベントとして開催された同ラリーは、全ステージがターマック(舗装路)で実施されるが、コーナーイン側の未舗装路部分をショートカットする“インカット走行”により、多くの砂利や泥が掻き出され、非常に滑りやすくトリッキーな路面コンディションとなるのが特徴のひとつとなっている。

総合4位となった勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第2戦スウェーデン
ヤリ-マティ・ラトバラ代表(TOYOTA GAZOO Racing WRT) 2022年WRC第2戦スウェーデン
3位表彰台を獲得したエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第2戦スウェーデン
優勝したカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第2戦スウェーデン

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