JRP新会長内定の近藤真彦「JRPとチーム、メディア、ファンとの距離を縮めたい」WBCダルビッシュ選手のファン対応を例に

2023年3月5日(日)16時15分 AUTOSPORT web

 全日本スーパーフォーミュラ選手権を運営する日本レースプロモーション(JRP)は、三重県の鈴鹿サーキットで行われている『2023 鈴鹿サーキット モータースポーツファン感謝デー』の会場で記者会見を開き、社内の役員人事を発表。長年にわたりJRP会長を務めてきたTCS NAKAJIMA RACINGの中嶋悟総監督に代わり、KONDO RACINGの近藤真彦監督が4月からJRP会長への就任が内定したことを明らかにした。その近藤新会長がレース内容の充実と、JRPとチーム、ドライバー、そしてメディアとファンそれぞれの距離を縮めたい意向を語った。


 中嶋悟はJRPが立ち上がった1995年から同社に携わり、フォーミュラ・ニッポンの設立を始め、国内トップフォーミュラの発展に務めてきた。2005年に代表取締役会長に就任し、スーパーフォーミュラへのシリーズ名称変更や、トヨタとホンダによる2社でのエンジン供給体制、近年では2021年末から始まった『SUPER FORMULA NEXT50(スーパーフォーミュラ・ネクストゴー/SF NEXT50)』プロジェクトの設立にも貢献した。


 そんななか、2023年2月28日に行われた取締役会で新たなJRP会長に近藤真彦が就任することが内定し、4月に行われる株主総会および取締役会で正式決定となる予定だ。


 鈴鹿サーキットで行われた記者会見にはJRPの上野禎久社長に加え、4月で退任となる中嶋現会長、そして近藤新会長がSF NEXT50のユニフォームシャツを着て登場した。


 新しくJRP会長に就任することが内定した近藤新会長は「まずは18年もの長いあいだ、会長を務めていただいた中嶋会長には敬意を表します。僕は基本的に中嶋さんが敷いたレールを変えようとは思っていません。中嶋さんが敷いたレールをそのまま走らせていただき、そのなかで新たなことをやっていきたいと思っています。ひとつは、スーパーフォーミュラをいかに多くの人に理解して楽しんでいただけるかということ。そしてもうひとつはメディアとの距離を縮めていきたいです」と挨拶を行った。

JRP新取締役会長就任への意気込みを語る近藤真彦


 新規ファン層の拡大が急務であるスーパーフォーミュラだが、近藤新会長は「会長に就任したからといってスタートダッシュを決めようとは思っていません。ジワジワと職務を行い『やっぱり近藤が会長でよかったな』と言ってもらえるように努力していきたいと思います」と、土台をひとつずつ作っていきたいと語った。


 また、フォーミュラレースへの強い愛着がある近藤新会長。世界に誇れるほどハイレベルな戦いが繰り広げられているスーパーフォーミュラを、より多くの人に発信していくために、各エントラントとの橋渡し役になりたいという想いも明らかにした。


「やはりレースを好きになってもらうためには、楽しいレース、良いレースをしなくてはいけません。人気を取りにいくためだけではなく、根強いファンを増やすためにも良いレースをしなくてはいけません。その根本的な土台を作ってくれたのは中嶋会長ですので、その部分は絶対に守っていかなければいけないと思っています。ただメディアに露出してファンを増やしていくという方向性だと恐いので、まずはしっかりとレースを楽しんでもらえる……、そこ(の土台)があってのファン獲得と思っています」


「僕はJRPとメディアさんとの関係性を大事にしたいですし、JRPと各チームの距離も縮めたいと思っています。僕が間に入り、1チーム1チームと向き合い、JRPの方に向いてもらうようにしたいです」

笑顔で握手を行う近藤真彦新会長と中嶋悟現会長


■WBCダルビッシュ有選手を例に関係者への意識改革を懇願する近藤真彦新会長


 近藤新会長にとって、スーパーフォーミュラのレースを報じるメディアへの期待も大きい。


「新しいファンの人が振り向いたとき、少しでも面白くなかったらすぐに離れていってしまいます。まずは面白いレースをしっかりと作ってからファンに発信していくことが重要だと思っています。今のスーパーフォーミュラは本当に面白いです。この面白さを伝えきれていない部分があります。その部分は『とにかくメディアのみなさんお願いします!』といった感じです」


「僕はメディアさんとの距離、ファンのみなさんとの距離を詰めていきたいと思っていて、チーム代表ミーティングの場でも、チームにはメディアさんとの距離を詰めて、いろいろな情報を発信してほしいという話をしていきたいと思っています。ドライバーやチームのみなさんには『とにかくお願いします!』と伝えていきたいですね」


 さらに近藤新会長は近年の例として、WBCワールド・ベースボール・クラシック日本代表のダルビッシュ有選手の取材対応に触れた。


「あのダルビッシュ選手もファンへの対応をしっかりと行っていて、その様子が報道されていますよね」と、レーシングドライバーとチーム、そしてメディアのそれぞれに意識改革を懇願した。


 そして、長年に渡りJRP会長を務めてきた中嶋会長は「新たにSF NEXT50のプロジェクトが立ち上がるとき、その構想を練ることが最後の仕事だという思いでやっていました。昨年は苦労しながら進めてきましたが、順調にいっているのかなと感じています。次はどうするかとなったとき、この世界で頑張っていて、なおかつ知名度があるということで近藤氏に(会長職を)依頼をして快諾をいただいたので、バトンタッチすることになりました」と会長交代の経緯を説明した。


 中嶋会長の就任期間中はリーマンショックなど、さまざまな苦境に立たされる場面もあったが「やり切れたと思います」と落ち着いた表情をみせていた。なお、TCS NAKAJIMA RACING総監督としてのチーム運営に関しては、引き続き継続して活動していくという。


 今回の会長交代について、近藤新会長と同学年だというJRPの上野社長も「中嶋会長からも若い世代に託したいというお話がありましたが、我々の世代でできることもたくさんあると思いますので、そういったところでフレッシュに活動したいと思っています。また、近藤新会長の発信力は我々とはまったく違うパワーを持っていますので、そういったところにも力を借りながら、我々も発信をしていきたいです」と、SF NEXT50プロジェクトの発展に意気込みを披露した。

鈴鹿モータースポーツファン感謝デーでの記者会見に登壇したJRP上野禎久社長、次期会長の近藤真彦、現会長の中嶋悟

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