7月に控えるフォーミュラEとの日程重複問題。トヨタは「寛容」、ニッサンのナトはWECを優先へ
2025年3月6日(木)9時38分 AUTOSPORT web

2025年7月、WEC世界耐久選手権とフォーミュラE世界選手権の日程がバッティングすることから、両シリーズに参戦するドライバーたちとその所属チームは、選択を迫られている。
7月11〜13日の週末、WECはブラジル・サンパウロで第5戦が開催され、フォーミュラEはドイツ・ベルリンでのイベントが予定されている。
WECで日程重複の影響を受けるマニュファクチャラーは、BMW、トヨタ、プジョー、キャデラックの4社だ。
このなかで、BMWドライバーのロビン・フラインスは、WECを欠場する予定となっている。BMWのハイパーカー・プログラムをオペレートするWRTの責任者、ヴァンサン・ボッセは、フラインスがサンパウロ戦を欠場し、エンビジョン・レーシングチームとともにベルリン戦に出走することを認めた。
しかしながら、BMWがIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でMハイブリッド V8をドライブするドライバーのひとりを、レネ・ラストとシェルドン・ファン・デル・リンデのチームメイトとしてWRTの20号車に送り込むかどうかは、現時点では不明だ。
「ロビンの優先事項はフォーミュラEなので、ブラジルには出場できない」とボッセはSportscar365に語った。
「残念な状況だが、多くのチームがフル選手権を2名体制で戦うことを検討していたので、問題にはならないだろう」
「ブラジルにIMSAドライバーのひとりを迎えて出場するか、ドライバー2名で出場するかは、まだ決まっていないが、我々は安心できる状況にある」

フラインスのほか、トヨタのドライバーであるセバスチャン・ブエミとニック・デ・フリース、プジョーのジャン・エリック・ベルニュとストフェル・バンドーン、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAのノルマン・ナトも、WECとフォーミュラEの衝突の影響を受ける。
エンビジョンでフラインスのチームメイトであるブエミは、常にトヨタのWECでの任務をフォーミュラEよりも優先してきたが、ル・マン24時間レースの後にこの日程重複が発生するという事実は、昨年のスパラウンド(5月)における日程重複とは異なる状況を生み出している。
トヨタGAZOO Racing・ヨーロッパのテクニカルディレクター、デビッド・フローリーは、WECシーズンの展開次第では、トヨタはブエミと、マヒンドラからフォーミュラEに出走するデ・フリースに対して、寛容であると説明した。
「通常、我々は彼らに対して優先権を持っている」とフローリーは語った。
「だが我々は賢明であり、一方のシリーズと他方のシリーズに何か利害関係があるかどうかを検討するつもりだ」

プジョー・スポールのテクニカルディレクター、オリビエ・ジャンソニーは、ベルニュとバンドーンがサンパウロのレースを欠場することに備えていると述べた。
ふたりは昨年のスパラウンドを欠場し、姉妹ブランドのDSでフォーミュラEに参戦していた。この際、プジョーは各車2名体制でレースに挑むことを選択した。
今年も同様のシナリオを予想しているかと尋ねられたジャンソニーは、「それが我々の計画だ。しかし、何が起きてもおかしくない」と答えている。
「2名のドライバーで行うことも可能だが、欠点はドライバーのひとりに何かが起きると困ってしまうことだ。そのカバーが必要だ」
ジャンソニーは、チームのテスト&開発ドライバーであるテオ・プルシェールが、残りのプジョーのフルタイムドライバーが病気や怪我で欠場した場合のカバーとして、サンパウロラウンドに出席する準備を整えなければならないと述べている。
一方、ナトに関して、JOTAスポーツの共同創設者であるサム・ヒグネットは、フォーミュラEではニッサンから参戦しているこのフランス人ドライバーが、WECサンパウロ戦に参加することを明言した。
「彼にとってWECは最優先事項だ」と、ナトの状況について尋ねられたヒグネットはSportscar365に語った。
「我々は全戦で、同じ6名のドライバーを起用する」
