【番記者の視点】東京V、新潟戦で試合開始から見せた原点回帰のハイプレス
2025年3月10日(月)11時4分 スポーツ報知
◆明治安田J1リーグ▽第5節 新潟2—2東京V(8日・デンカS)
【東京V担当・後藤亮太】覚悟は決まっていた。東京Vは立ち上がりから、自陣でつなぐ新潟に対して最前線のFW木村を筆頭にボールホルダーへ猛烈なプレッシャーをかけた。ボランチコンビのMF森田とMF斎藤は必ず一人が、2センターバックの間でGKからのボールを受けようとする相手のボランチにプレスをかけ、もう一人は片方のボランチをマーク。シャドーのFW新井とFW染野も同様で、ただコースを切るのではなく、本気で奪いにいくプレスを繰り返していた。
試合後、主将・森田の言葉が印象的だった。
「監督もずっと言ってましたけど、間違えてもいいからプレスにいこうと。そのミスはボランチだったり、DFラインがカバーしようという話はしていたので。チームとして前に、前に、という意識でやろうという話をしていました」
もちろん前からいくリスクは高く、はがされてピンチになる場面もあったが、DFラインも必然的に高くなっており、高い位置でのボール奪取も可能に。森田も「けっこう外されたシーンも多かったですけど、そこをみんなでカバー出来たシーンも多くあったかな」と振り返ったように、立ち上がりで主導権を握ったことが、前半10分の木村の先制点につながったことは間違いないだろう。
プレスのスイッチ役だった木村も、前節の負傷で長期離脱を余儀なくされたFW山田の特長でもあったハイプレスを何度も繰り返した。関西学院大の同期でプロでも同じチームに在籍する特別な仲間だからこそ、この試合へかける思いをピッチで表現。「ああいうケガをして仲間として心が痛みますけど、あいつの分も自分がやるしかないと思うので。プレスとか頑張る姿勢を負けないくらいやって、その上で自分の特長を出したいな今日も思いましたし、これからもやっていきたいです」。スプリント回数はチーム最多の24回を記録し、総走行距離は11・08キロ。斎藤は今節のJ1で最長の13・556キロ、森田も12・488キロを記録した。
もちろん、いい時間帯で追加点を奪えなかったことや、ハイプレスによる体力の消耗で新潟にリズムを作られ、一度は逆転されてしまったが、東京Vの原点とも言える前線からのハイプレスや戦う姿勢というのは最初から最後まで途切れることはなかった。城福監督も「前半からガス欠になるまで前がインテンシティの高いサッカーをやって、後半あのような形でバトンを受け渡ししていくようなところが、もう少し勝点3を持った状態でスムーズにやっていけると、もっと良い試合になると思います」と総括。原点回帰とも言える戦いで手にした勝ち点1は、間違いなく次の戦いにもつながる。