佐藤琢磨10度目のインディ開幕戦は不完全燃焼に「マシンがすごくオーバーヒートしていた」

2019年3月11日(月)10時51分 AUTOSPORT web

 F1より1週間早くインディカー・シリーズが開幕した。既報の通り今年から正式にNTTインディカー・シリーズと呼ばれ、この開幕戦セント・ピータースバーグは記念すべきNTTが冠された最初のレースとなる。


 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから挑む佐藤琢磨にとってもインディカー・シリーズは参戦10年目。節目となる今年は開幕からスタートダッシュを決めたいところだろう。


 2013年にはセント・ピーターズバーグでポールポジションを取り、2011年東日本大震災直後のこのレースでは、その時点での自己最高位の5位を記録するという、何かと思い出のある場所でもある。


 開幕前の冬季テストではサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でのテストで戸惑ったものの、その後のセブリングではかなり修正できたと言っていた。それを裏付けるように、琢磨は金曜日のプラクティスから順調にタイムを刻んでいく。


 FP1で6番手、FP2では12番手だったものの、1周60秒余りのセント・ピータースバーグでは、僅差の戦い。ブラックタイヤでのペースが特に良く、機嫌も良さそうだ。


 土曜日のFP3では3番手までポジションを上げており、予選に向けて十分な期待が持てた。


 グループ2で予選に臨んだ琢磨はブラックタイヤからレッドのプライマリーに履き替えると、5番手のタイムを出し、まずはQ1を突破したかに思われた。


 しかしレースコントロールは、琢磨にベストタイム抹消のペナルティを科し、琢磨はQ1を突破出来ずに終えてしまうのだ。理由は最後のアタックラップのターン4でスピンを回避するためにエスケープロードに逃げたのだが、そこでコースに戻ろうとした時にイエローの原因を作り、後続のマシンのアタックを邪魔したとして、ペナルティとなったのである。


 同じような状況でスコット・ディクソンもスピンしているのだが、そちらはアタック中の後続車がなかったとして、ペナルティは受けていない。琢磨は20番手という厳しい順位でスタートを迎えることになった。


「マシンは良い状態だっただけに、このペナルティは厳しいですね。ポートランドで勝った時も、20番手からのスタートでしたから(苦笑)、前に行く方法はあると思うんですけどね。考えたいと思います」と琢磨は言う。


■決勝での巻き返しを狙う琢磨だったが……


 だがレーススタート前に発表されたタイヤの選択では全車がレッドタイヤをチョイスするという前代未聞の事態が発生。つまり全ての車が早い段階でレッドタイヤを履き捨て、ブラックに履き替えるという選択をしたのである。各マシンが似たような戦略を取ったことで、後方のマシンが上位に上がる確率は低くなる。


 琢磨はまずスタートで3つポジションを上げ、レースが始まったが想像通り、フューエルウインドウに入るまでどの車もピットに入るわけもなく、琢磨にとっては厳しい状態が続いた。

マーカス・エリクソンを抑えて走行を重ねる佐藤琢磨


 前方でクラッシュやリタイアがあると自動的にポジションを上げていく。リスタートでも、古巣アンドレッティ・オートスポーツのザック・ビーチをかわして、ポジションを上げた。


 レース中盤を過ぎた頃には、トップ10の圏内に移動し、チームメイトのグラハム・レイホールと7〜8番手を走行した。

ザック・ビーチをオーバーテイクする佐藤琢磨


 レースもあと残すところ40周を切ったところで急遽ピットイン。マシンがギヤセレクト出来ない状態になったという。ピットに入り、チームはいろいろと修復を試みたが、再度エンジンに入ることはなく、琢磨は75周を終えたところでマシンを降りた。


「マシントラブルは仕方ないですね。今日はスタートでポジションも上げられたし、ストレートエンドで前のマシンを抜くことが出来ました。あのまま走っていれば8位だったかな」


「マシンがすごくオーバーヒートしていたみたいで、いろいろやってみたんですが、うまくいきませんでした。残念です。今日の原因を究明して、次のCOTAでは気持ちを切り替えて臨みたいですね」と悔しさを語った。

ピットで修復を試みるレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング


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