“ライデルの洗礼”を浴びたオリックス・麦谷 弱音を吐いたキャンプ中の姿は消えた
2025年3月12日(水)8時0分 スポーツニッポン
オリックス・麦谷は「“この打席があったから”と言えるようにこれから練習していきたい」と前を向いた。8日の京セラドームでの巨人戦の8回に球界屈指の剛腕、ライデル・マルティネスと初対戦。3球続いた152キロの真っすぐを全てフルスイングしたが、かすりもしなかった。
「本当に(テレビで)見ていた選手。真っすぐ3球でちょっとナメられたんですけど、次は打ってやりたいなと思います」。
「打ちたい」ではなく「打ってやりたい」という言葉に、生来の負けん気の強さを感じた。伸びそうな鼻を何度もへし折られながらも、期待のドラフト1位ルーキーは精神的にも着実に成長しているように見える。
富士大では、昨秋の北東北大学リーグで優秀選手、最多本塁打、最多打点、最多盗塁など各賞を総なめ。鳴り物入りで入団したが、春季キャンプはプロのレベルの高さを痛感させられる日々だった。初めて投手と対戦した2月9日のライブBPでは、椋木、斎藤、本田仁を相手にほぼボールを前に飛ばせず。「“本当にやっていけるのかな”と。正直、自信もなくなりました。結構、メンタルきてます」と率直な気持ちを口にしていた。
それでも、打席を重なるうちにプロのレベルにもどんどん適応。マルティネスには完敗だったものの、この試合の第2打席では、グリフィンから本拠地初安打となる左前打を放った。自信喪失したあの日の自分に伝えたいことを問われると、笑みさえ浮かべた。
「やっぱり慣れというのは必要。あの時の自分には“そんなに焦る時じゃないよ”と言ってあげたかった。少しずつプロの世界に慣れていきたいし、どんどん自信をつけていきたい」。
チームの大先輩、イチロー氏を目標に掲げる金の卵。“ライデルの洗礼”も貴重な糧とし、1年目のシーズンに挑む。(記者コラム・山添 晴治)