スーパーTC2000:トヨタ陣営から開幕目前にドライバー離脱。ホンダは新カラーを披露

　アルゼンチンが誇る最高峰ツーリングカー・シリーズ、スーパーTC2000（STC2000）に参戦するTOYOTA GAZOO Racing Argentina（TGRA）は、2020年シーズン開幕を目前にして「ギリギリの状況での見解の相違」により、マリアーノ・アルトゥナのチーム離脱を発表。その代役として新進気鋭の20歳、エルナン・パラッツォを起用する。また4台体制に拡充するHonda Racing Argentinaは、2020仕様ホンダ・シビックSTC2000を披露している。

　2019年はTOYOTA GAZOO Racing YPF INFINIAとしてシリーズを戦ったTGRAは、シーズン中盤にアルトゥナを招集し戦列に加えると、短い参戦期間にもかかわらずシリーズランキング8位に喰い込むなど、粘り強いリザルトを残した。

　その実績が認められ、2020年はルーベンス・バリチェロ、マティアス・ロッシ、ジュリアン・サンテロのチームメイトを務めることがアナウンスされていた38歳のアルトゥナだったが、3月7日付のステートメントにて、チーム代表のダリオ・ラモンダは「開幕直前の見解相違により、マリアーノとの別れを余儀なくされた。マリアーノの努力と2019年のチームへの多大な貢献に感謝する」とのコメントを発表した。

　一方のアルトゥナも「私は素晴らしいチームを去ることになったが、最終的な合意に達することができなかったため、我々の良好な関係を尊重することにした。TGRAを去るのは悲しいが、将来に向け彼らのドアが開いたままであることは知っている」との言葉を残している。

　これを受け、TGRAは4台目の新型トヨタ・カローラSTC2000を託すドライバーに20歳の新鋭を抜擢。同国のシルエット・ツーリングカーである”Turismo Carretera Mouras”の2019年シーズンで総合3位に入り、2017年にはフォーミュラ・ルノー2.0アルゼンティーナでシリーズチャンピオンを獲得しているエルナン・パラッツォをチームに招き入れた。

「この機会に恵まれたことは本当に幸運で、それを最大限に活用したい」と、高速化する2020年仕様STC2000マシンでの勝負に向け、意気込みを語ったパラッツォ。

「この南米地域で最高のモータースポーツ・チームに参加するという大きな責任を託してくれた（トヨタ・アルゼンティーナ代表の）ダニエル・エレーロと（チーム代表の）ダリオ・ラモンダに感謝したい。今の僕の唯一の目標は、新しいトヨタのマシンとチームに迅速に適応することだ」

　また、2020年からTGRAのサテライトチームとして2台の新型カローラを走らせるとアナウンスしていたセルジオ・ラファエリ率いるMidas Carrera Teamも、そのドライバー体制が確定。ホンダ陣営から移籍したリカルド・リサッティに加え、パラッツォと同じく2019年はTurismo Carretera Mourasに参戦し2勝を記録した23歳の新人、バレンティン・アギーレの起用をアナウンスしている。

　そして3月10日にチームラウンチを実施したHonda Racing Argentinaは、2年目のファクトリー参戦体制に臨むホンダ・シビックSTC2000の新リバリーを披露した。

　ドライバーのファン-アンヘル・ロッソ、ファビアン・シャンツォーニ、ファン-マニュエル・シルヴァ、ニコラス・モスカルディーニの4名も列席した会場では、昨季に引き続きシンガポールの石油小売企業Puma Energy（プーマ・エナジー）社のバックアップを受けた新型シビックが公開され、グリーン＆レッドの面積が拡大。新たな空力規定の採用により3〜5秒のラップタイム向上が見込まれるマシンのボンネットには、食品企業PALADINI（パラディーニ）のロゴが掲げられた。

　また、3月20〜22日に予定されていた開幕戦サン・フアンに先立ち、全12戦中10戦の開催地が確定したシリーズカレンダーがアナウンスされたが、3月14日の時点で新型コロナウイルス（COVID-19）の感染対策のためゾンダ・サーキットでの第1戦は無期限の延期が決定。

　7月には2007年以来13年ぶりに隣国ブラジルでのレース開催も実現し、サンタクルス・ド・ソルのトラックでは悲願だったSCBストックカー・ブラジルとの交流戦が予定されているものの、どの時点でシーズンを始められるかについて、STC2000オーガナイザーは「状況を注視しつつ、随時情報発信を行う」としている。

■スーパーTC2000シリーズ2020年カレンダー