決勝ペースはトヨタが優位。後方ではトラブルやペナルティが多発【WECセブリング前半レポート】

2023年3月18日(土)5時35分 AUTOSPORT web

 3月17日、アメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで2023年WEC世界耐久選手権第1戦『セブリング1000マイル』レースがスタートした。折り返しとなる4時間を迎えた時点で、トヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)がリードしている。


 晴れ渡る空の下、気温25度/路面温度32度というコンディションで2周のフォーメーションラップを経て、現地時間12時01分に1000マイル(268周)、または8時間で争われるレースがスタートした。


 スタート直前、94号車プジョー9X8がピットへと飛び込む。その後ピットアウトするが、スロー走行に転じた。ギヤボックストラブルが報告されており、再びピットインしたマシンはガレージに戻され、修復作業が行った。


 オープニングラップでは51号車フェラーリ499Pのアレッサンドロ・ピエール・グイディが7号車トヨタのコンウェイに並びかけるが、コンウェイがこれを凌ぐ。その後方では6号車ポルシェ963のローレンス・ファントールが2号車キャデラックVシリーズ.Rのアレックス・リンをパスし、5番手へと浮上した。


 開始10分を前に、ターン1でLMGTEアマクラスのリシャール・ミル・AFコルセの83号車フェラーリ488 GTE Evoがスピンしリヤからタイヤバリアにクラッシュ。反動で83号車はルーフを下にして着地し、セーフティカー(SC)が導入された。コンパンクはマシンから降り、自分の足で歩いている。




 ピットレーンがオープンとなると、フェラーリの2台が給油へと向かい、他のハイパーカー勢とは戦略が分かれることに。51号車はこの作業でタイムロスを喫する。


 34分経過時点で8号車トヨタを先頭にリスタート。1時間経過を前にフルコースイエロー(FCY)が導入され、LMGTEアマの車両が接触した最終コーナーのバリアの修復が行われた。再開後、93号車プジョー9X8がスロー走行に。こちらもギヤボックス関連のトラブルのようで、ピットに戻った。ギヤが4速にスタックしているようだ。


 同時に50号車フェラーリにSCからのリスタート時に違反があったとして、ドライブスルーペナルティが発出された。


 1時間15分が経過した頃から、ステイアウト組の最初のピット作業が始まると、51号車、50号車の順でフェラーリがワン・ツー体制を築くが、この2台も2回目のピット作業を行い、順位を下げた。


■8号車がエマージェンシーピット。その後、コース上で可夢偉が逆転


 2時間が経過する前には、先頭をいく2台のトヨタの差は2秒弱。トヨタ2台は1分50秒台のペースを刻むなか、他のハイパーカー勢は1分51〜52秒台といった瞬間もあり、とくにタイヤが周回を重ねた状況では、トヨタ勢にアドバンテージがありそうだ。


 このため2時間経過時点では、首位トヨタから3番手までは1分以上の大差がつく。この頃、6号車ポルシェのファントールの背後には2号車のリンがつき、接近戦が展開された。ファントールはタイヤが厳しいようで、最終的にはリンがこれを攻略、3番手へと浮上した。


 しかしこの直後、2号車キャデラックと94号車プジョーには、セーフティカー中の違反があったとしてドライブスルーペナルティが科せられることに。また、50号車フェラーリにもピットストップ中の違反があり、次のピットストップで5秒の静止時間追加が言い渡された。


 ワン・ツーのトヨタは、7号車コンウェイが2時間10分経過時点で2回目のピットへ。可夢偉へとバトンタッチする。首位8号車も続いてピット作業を行い、ブレンドン・ハートレーへ。8号車がピットアウトすると、背後にタイヤが温まった7号車が迫った。このあと、最終コーナーでグリッケンハウスがストップし、FCY導入となる。


 3時間を前にしたFCY導入時には、減速した4号車ヴァンウォール・バンダーベル680のエステバン・グエリエリに93号車プジョーのイェンセンが接触。イェンセンはスピンし、グエリエリの4号車は右リヤエンドを破損してしまった。


 4番手を走る5号車ポルシェのフレデリック・マコウィッキには、50号車フェラーリのミゲル・モリーナが迫るが、ポルシェ5号車にはFCY中の違反でドライブスルーペナルティが科せられてしまう。


 3時間を経過する頃、いったんは数秒差となっていたトヨタ2台が再びテール・トゥ・ノーズに。ここで7号車可夢偉が先にルーティンピットに向かう。その後、LMP2車両がコース上にストップしたことによりFCYが導入。インラップを走っていたハートレーはここでピットに飛び込むと、規則上許される5秒のエマージェンシー給油を行いコースへと戻った。


 FCY中だったためリードを維持するどころかむしろ拡大できた8号車は、FCY解除直後に再度ルーティンのピット作業を行ったものの、7号車に対するリードは辛うじて保った。


 トヨタ2台の90秒後方では、2台のフェラーリと2台のポルシェ、そしてキャデラックによる3番手争いが展開される格好に。このなかで、6号車ポルシェのケビン・エストーレが50号車フェラーリのモリーナをターン15〜16でパス、3番手へと浮上した。


 一方、トヨタ2台はまたもテール・トゥ・ノーズの状態になっていくと、3時間50分経過を前に可夢偉がハートレーをコース上でパスし、このレースで初めて7号車がリードを取ることとなった。のちにテレビ放送のインタビューに応えた可夢偉によれば、この瞬間は7号車の方がペースに優れていたとのこと。


 この直後、51号車フェラーリのジェームス・カラドがコースオフ。51号車は挙動が安定せず、タイヤのグリップ低下が相当厳しいようだ。


 4時間が経過し、1000マイルの走破は難しくなっていることから、レースは8時間で終了となることが濃厚だ。


 LMP2クラスではスタートから首位を保っていたユナイテッド・オートスポーツの23号車がトラブルに見舞われストップ。この結果、4時間経過時点ではハーツ・チーム・JOTAの48号車オレカ07・ギブソン(デビッド・ベックマン/イーフェイ・イェ/ウィル・スティーブンス)がレースをリードしており、チームWRTの2台、プレマ・レーシングの2台らが上位につけている。


 LMGTEアマクラスでは予選同様、アイアン・デイムス85号車フェラーリ488 GTE Evoとコルベット・レーシングの33号車シボレー・コルベットC8.Rの首位争いが白熱したが、85号車は単独コースアウトから車両を壊し後退。33号車コルベットが首位を走っている。


 日本勢では星野敏と藤井誠暢がドライブするDステーション・レーシングの777号車がクラス3番手、木村武史のケッセル・レーシング57号車フェラーリが5番手を走行している。


 レースはこのあと、現地時間20時(日本時間18日午前9時)頃にフィニッシュを迎える予定だ。

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