JN1初登場のGRヤリスは2台リタイア。新井親子のスバルが新城ラリー1-2/全日本ラリー

2021年3月22日(月)16時51分 AUTOSPORT web

 3月19〜21日にかけて愛知県新城市にある新城総合公園を中心に、全日本ラリー選手権『新城ラリー2021』が開催された。スケジュールとしてはシーズン第2戦となるが、2月4〜7日に開催が予定されていた開幕戦『Rally of Tsumagoi』が新型コロナウイルスの影響で中止となったため、この新城ラリーが実質的な開幕ラウンドとなっている。


 今シーズンの全日本ラリー選手権でも、他の国内モータースポーツ競技同様にGRヤリスが注目を浴びることとなった。この新城では最高峰クラスのJN1に4台がエントリーしていたが、CUSCO RACINGのDUNLOP CUSCO YARIS GR4は現場に現れず、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の2台、そしてk-oneレーシングチームの1台が第2戦に参戦した。


 しかしTGRの2台、勝田範彦/木村裕介組はSS1で、眞貝知志/安藤裕一組がSS2で、ともにマシントラブルが原因で初日午前中には姿を消すという大波乱の幕開けとなった。


 GRヤリスとともに今回、輸入車シュコダ・ファビアR5勢にも注目が集まっていた。そのファビアR5では、SS1からSS3までトップタイムを叩き出してきた福永修/齊田美早子組のアサヒ☆カナックOSAMU555 ファビアが、鬼久保のSS4でキャッツアイに足元をさらわれ右リヤタイヤをパンク。30秒弱のタイムを失い、このアクシデントで総合首位から陥落する。


 そのSS4でトップタイムを刻んだのは、同じくファビアR5のADVAN CUSCO FABIA R5を投入した柳澤宏至/保井隆宏組だった。柳澤組は徐々にペースを上げ、初日を終えて時点で総合2番手に浮上した。


■注目のGRヤリス、その実力はまだまだ未知数


 柳沢を抑えての初日トップはitzz DL SYMS WRX STIの鎌田卓麻/松本優一組。鎌田はデイ1の走行を終えて、「思ったとおりR5車両が速く、やはりコンマ秒差の勝負という想像どおりの展開になった」とコメント。


「設定の距離がもうちょっとあると楽しいですが、トップに立てて思ったとおりの展開となった。明日は雨量でコンディションも大きく変わるので、朝の降雨状況を確認して作戦を練っていきたいと思う」


 R5勢やGRヤリス勢については「R5は格が違う車両だけに厳しい」との返答。GRヤリスについては「2台ともに実力は分からないままですが、デビュー戦ですからね。こちらは歴代モデルからずっとラリーを続けてきたマシンですから、この差は大きいかもしれません」と答えてくれた。

今季からTOYOTA GAZOO Racingに移籍しGRヤリスでの初戦となった勝田範彦選手は、トラブルにより初日序盤でリタイア
快走を見せた2台のシュコダ・ファビアR5。福永修/齊田美早子組はSS4で痛恨のパンクにより後退。JN1クラス3位でフィニッシュ
総合2位となったADVAN KYB AMS WRX(新井大輝/小坂典嵩組)


■大雨のなか実施のSS6で、車両横転のアクシデントが発生


 迎えた2日目。前日の競技中はつねに好天に恵まれていたが、その初日20日(土)の夜には雨が降り始め、21日(日)は朝から大雨の1日となった。


 デイ2は雁峰北と鬼久保の2会場で計4ステージが予定されていたが、SS5をクリアし、SS6のフィニッシュ直前でトップスタートの鎌田組の車両が横転。さらに後続車両がそこに突っ込むというアクシデントが発生したことで、赤旗が提示された。


 SS6はこのアクシデントの影響を受けた後続車両に、一定のタイムが与えられるというかたちで終了。その後の競技も、路面コンディションの悪化により「競技続行は危険」という判断がなされ、最終的にSS7とSS8をキャンセルする決定が下された。これにともないセレモニアルフィニッシュも中止となっている。


 この結果、SS6終了時点で首位に立っていた新井敏弘/田中直哉組の富士スバル AMS WRX STIが新城ラリー2021のウイナーに。総合2位にはトップと27.3秒差でADVAN KYB AMS WRXを駆る新井大輝/小坂典嵩組が続き、新井親子のワン・ツー・フィニッシュとなった。ラリー序盤をリードしたアサヒ☆カナックOSAMU555 ファビアの福永/齊田組はそこからさらに16.6秒遅れての総合3位に入っている。


 今季初優勝の新井敏弘は「この週末をとおして自分で評価するとしたら70点くらいかな」と自己評価をしながらラリーを振り返った。


「今日は大雨で生き残り合戦みたいになってしまって、周りが居なくなったということで勝てたところがあります」


「これまでいろいろなラリーに参戦して、それなりに危ない思いはしているけれど、今回はそうとう危なかった。少し競技の在り方も考えてもらったほうが良いかもしれないね」


「次戦に向けて、もう少しクルマの煮詰めをしてがんばろうと思います」と連勝に向けた豊富を語った。


 JN2クラス優勝は、元F1ドライバーで現在はスーパーGT GT500クラスで活躍しているヘイキ・コバライネン駆るAICELLOラックDL速心GT86R3(コバライネン/北川紗衣組)。JN3クラスはスマッシュDL itzz コマツBRZ(鈴木尚/山岸典将組)が制した。


 JN4ではスマッシュDLモンスターitzzスイフト(西川真太郎/本橋貴司組)がクラス優勝を飾り、アイシンAW Vitz CVT(大倉聡/豊田耕司組)がJN5、KYB DL アップガレージ Yaris(吉原將大/佐野元秀組)がJN6クラスウイナーとなっている。


 全日本ラリーの次戦第3戦『ツール・ド・九州 2021 in 唐津』は4月9〜11日、佐賀県唐津市周辺で行われる予定だ。なお、同大会では新型コロナウイルスの影響を考慮し、無観客での開催が決定している。

豪雨となったSS6の第1走者として水の浮くコンディションを攻めた鎌田卓麻/松本優⼀組
新城ラリー2021で優勝した新井敏弘(富士スバル AMS WRX STI)
ウエルパインモータースポーツからJN6クラスにGRヤリスRS(CVT)で参戦した梅本まどかは、ベテランドライバーの村田康介とのペアで参戦。波乱のラリーをクラス3位で走り切った。
JN1クラスのGRヤリスで唯一の完走は、昨シーズンまでは86でJN3クラスでチャンピオン争いを繰り広げていたK-ONEの山本悠太。コドライバーは立久井和子にスイッチ

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