変則左腕エース・石戸好投で浦和実が初の8強 「普通はあそこまで倒せない」元巨人投手もフォーム絶賛
2025年3月26日(水)6時30分 スポーツ報知
東海大札幌に勝利して、駆け出す浦和実ナイン(カメラ・義村 治子)
◆第97回センバツ高校野球大会第8日 ▽2回戦 浦和実8ー2東海大札幌(25日・甲子園)
8強が出そろった。浦和実(埼玉)は東海大札幌(北海道)に8—2で勝利。春夏初出場の埼玉勢では、史上4校目の準々決勝進出となった。5回から救援した変則左腕のエース・石戸颯汰(3年)が5回無失点と快投した。聖光学院(福島)は早実(東京)に勝利し、12年ぶりの2度目の8強。エース左腕の大嶋哲平(3年)が4失点で完投し、福島勢は東京勢に6戦6勝だ。智弁和歌山は「ノーサイン野球」で話題の新鋭・エナジックスポーツ(沖縄)に打ち勝ち、6年ぶり9度目のベスト8。26日に準々決勝4試合が行われる。
直球のスピードが125キロ前後でも、面白いようにフライが上がる。浦和実の石戸は、滋賀学園を完封した1回戦に続きフライアウトの山を築いた。1点リードの5回からマウンドに上がると、9回までの5イニングで7個のフライアウトを奪い、この日もスコアボードに「0」を並べた。14イニング連続無失点で、初出場での8強入りに貢献。走者を背負いながらもひょうひょうと投げ続けた変則左腕は「うれしいです」と控えめに喜んだ。
右足を高く上げ、一度背中を丸めたあと最後までボールの出どころを隠して真上から投げ込む。石戸はフライが多い理由を「球速以上にストレートの伸びがあるから」と自己分析。東海大札幌の3番・太田勝心の「上から振り下ろし、球がすごく伸びてきた。当たったことのない投手」という感覚と合致する。2試合、計42個のアウトのうちフライは滋賀学園戦の16と合わせ23個。フライアウト率54・7%は驚異の数字だ。
指導する元巨人投手の小原沢重頼コーチ(55)は、石戸のフォームのポイントに、三塁側に大きく倒れる顔の位置を挙げる。「普通は、あそこまで倒せない。だから腕が真上に上げられる」。石戸がボールを離す時の左腕と地面の角度は、ほぼ直角。それによりボールの回転数が上がり、他の投手にないボールの伸びにつながっている。
石戸がリリーフでマウンドに上がる際、浦和実の応援団が陣取る一塁側アルプスだけでなく、ネット裏や内野席からも拍手が起きた。「1回戦のあと、インスタグラムのリクエストが100を超えていました。すごいなと…」と石戸ははにかんだ。注目度は急上昇。唯一無二の変則フォームの使い手が、センバツの主役に躍り出ようとしている。(浜木 俊介)
◆石戸 颯汰(いしど・そうた)2008年2月27日、埼玉・草加市生まれ。17歳。小学1年から野球を始め、花栗中では軟式野球部でプレー。浦和実では1年秋にベンチ入りし、2年秋の県大会から背番号1。最速132キロ。球種はカーブ、スライダー、チェンジアップ。176センチ、64キロ。左投左打。