森保ジャパンが着手したカタールW杯からの課題とは【日本VSコロンビア代表戦分析】

2023年3月30日(木)18時0分 FOOTBALL TRIBE

日本代表vsコロンビア代表 写真:Getty Images

キリンチャレンジカップ2023が3月28日にヨドコウ桜スタジアム(大阪府)にて行われ、サッカー日本代表がコロンビア代表に1-2で敗れた。


試合全体を通じ、自陣後方からのパス回しが行き詰まる場面が多かった日本代表。ここでは同試合を振り返るとともに、この原因について解説したい。




日本代表 MF三笘薫 写真:Getty Images

日本代表vsコロンビア代表:試合展開


この試合で先制したのは日本だった。前半3分、DF菅原由勢からFW町野修斗へのロングパスが繋がり、同代表がチャンスを迎える。町野のバックパスを受けたMF守田英正が敵陣右サイドからクロスを放つと、このボールにMF三笘薫がヘディングで反応。ゴールを挙げた。


日本はその後もボールを保持し、試合の主導権を握ろうとしたものの、コロンビアの守備網を打開できない時間が続く。迎えた前半33分、DF板倉滉のクリアボールがコロンビアの選手に渡り、その後DFデイベル・マチャドにパスが繋がる。左サイドを駆け上がったマチャドのクロスをFWジョン・ハデル・デュランに物にされ、日本は同点に追いつかれた。


後半16分、コロンビアのMFマテウス・ウリベのロングパスが日本の陣地に渡ると、FWジョン・アリアスが日本のペナルティエリア内でシュートを放つ。この直後のこぼれ球をFWラファエル・サントス・ボレがバイシクルシュートで押し込み、コロンビアがリードを奪った。これが決勝ゴールとなり、日本が黒星を喫している。




カタールW杯 日本代表 写真:Getty Images

W杯での課題にトライも不完全燃焼に


森保一監督のもとで戦ったFIFAワールドカップカタール2022で、ドイツ代表とスペイン代表に勝利した日本。ボール支配率で相手を下回ったこの2か国との対戦では堅守速攻プランが実を結んだが、自分たちがボールを保持する展開となったコスタリカ戦(グループステージ第2節)では相手の守備ブロックを崩せず、0-1で敗戦。ラウンド16のクロアチア戦でも三笘、伊東純也、堂安律などによる単騎突破頼みの攻撃となり、自陣後方からのパス回しの質に課題を残した。


森保ジャパンはこの課題を克服すべく、3月24日のウルグアイ戦(1-1)と今回のコロンビア戦で、自陣後方からのパス回しに果敢にトライ。戦い方の幅を広げようとする意図は窺えたものの、この2試合は不完全燃焼に終わった。


日本代表vsコロンビア代表、先発メンバー

コロンビア戦の問題シーン


森保監督はウルグアイ戦から引き続き、[4-2-3-1]を基本布陣として採用。守田と鎌田大地の両MF(2ボランチ)が2センターバック間や最終ライン付近へ降り、自陣後方からのパス回しに関わろうとしたが、コロンビアの[4-1-4-1]の守備隊形を攻略できないケースが多かった。


前半5分には、自陣ペナルティエリア内でGKシュミット・ダニエルからのパスを受けたDF伊藤洋輝が、コロンビアのFWデュランのプレスを受ける。これにより伊藤がボールを奪われると、デュランのパスを受けたMFホルヘ・カラスカルにGKシュミット強襲のシュートを放たれている。この場面では鎌田と守田の両MFがウリベとアリアスに捕捉されており、伊藤自身もデュランに縦へのパスコースを塞がれていた。伊藤がGKシュミットや逆サイドの板倉へパスを出すべきだった場面と言えるだろう。


前半28分にも、日本の自陣後方からのパス回しが停滞。この場面ではバングーナガンデ佳史扶と伊藤の両DF間に鎌田が、板倉と伊藤の両DF間に守田が降りる素振りを見せたため、日本の選手たちが最終ライン付近で密集する形に。これに加え三笘も最終ライン付近に降りてきたため、中盤や前線に人が足りない状況となった。




森保一監督 写真:Getty Images

自陣後方からのパス回しが危機にも


[4-1-4-1]の守備隊形で臨んだコロンビアがそれほどハイプレスを仕掛けなかったことを踏まえると、日本陣営がわざわざ2ボランチを最終ライン付近や2センターバック間へ降ろし、自陣後方からのパス回しに関わらせるべきだったのか疑問が残る。板倉と伊藤の2センターバックがコロンビアの1トップ(カラスカル)の脇からボールを運び、相手の2インサイドハーフや両サイドハーフを釣り出す。これにより空くはずのコロンビアの中盤の底ケビン・カスターニョの両脇を、伊東と三笘の両サイドハーフやトップ下の西村拓真らが突く展開が望ましかっただろう。


日本にとって特にこの攻撃が必要だったのが、後半20分。ここでも板倉と途中出場のDF瀬古歩夢(2センターバック)がセンターサークル付近でパス交換を行ったが、この2人のどちらかによるボール運びは見られず。最終ラインで漫然とパスを回しているうちにコロンビアのハイプレスを浴びると、瀬古から伊藤への横パスがデュランに読まれ、ボールを奪われかける。瀬古と伊藤の帰陣が間に合い難を逃れたものの、失点に繋がっていてもおかしくない場面だった。


日本代表(A代表)史上初となるW杯ベスト8進出を2026年大会で実現するべく、磨き上げるべきスタイルを明確に打ち出した森保監督。選手たちが当意即妙に配置を変え、自陣後方から淀みなくパスを回せるようになるには時間がかかりそうだが、この挑戦自体は意義あるものだろう。第2次森保ジャパンの進化に期待したい。

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