珍しいガッツポーズに見た「焦る気持ち」 水原氏の裏切り騒動にも揺れた大谷翔平から飛び出した“特別な1号”

2024年4月4日(木)17時0分 ココカラネクスト

一塁を回る直前に小さく拳を握りしめた大谷。その動作に一発の重みは感じ取れた。(C)Getty Images

 久々に飛び出した一発は重要な意味を持っていた。

 現地時間4月3日に本拠地ドジャー・スタジアムで行われたジャイアンツ戦で、ドジャースの大谷翔平は「2番・指名打者」で先発。チームが1点差に詰め寄られていた7回裏に移籍後初となる今季第1号ホームランを放った。

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 41打席ノーアーチ——。この自己ワーストとなる不名誉な記録を本人も試合後に「焦る気持ちを我慢しながら」と振り返った。そんな己との葛藤を続けながらの試行錯誤を繰り返す日々の中で飛び出した待望の一発だった。

 そもそも4回裏に迎えていた第3打席で感覚は少しずつ取り戻せているようには見えた。結果は、左翼手の正面を突くようなライナーで凡退となったが、芯で捉えた打球は好調時の力強さを感じさせた。実際、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督も試合後の会見で「ヒットになるかは少しの差だった」と同打席の内容が、待望の第1号の呼び水になったと指摘している。

 そうして迎えた第4打席だった。大谷は変則左腕のテイラー・ロジャーズがカウント1-3から投じた外角高めへの93.2マイル(約150.3キロ)のシンカーを強振した。

 パキャンッ。バットの乾いた音が球場に響き渡った瞬間、ドジャースファンは総立ちとなった。おそらく誰もが「やったぞ!ホームランだ」と確信をもって見送った打球は、瞬く間に右中間スタンドに着弾した。

 一塁ベースを回る直前に大谷は、小さく右手でガッツポーズをしてみせた。あまり一発に一喜一憂するタイプではない。そんな男が見せた何気ない所作には少なからず感じるものがあった。

 思えば、大谷の周辺では春先からグラウンド内外で喧騒が続いていた。とりわけ小さくない衝撃を与えたのは、先月20日には韓国・ソウルでの開幕シリーズ直後に明らかになったスキャンダルだ。専属通訳だった水原一平氏が自身の銀行口座の資金を利用し、違法賭博を行なっていたと判明。球団から電撃解雇され、自身も賭博への関与が疑われたのである。

 同25日に行った声明発表会見で大谷は自ら「僕自身、何かに賭けたり、スポーツイベントに賭けたり、頼んだこともないですし、送金を依頼したこともありません」と釈明。自身にかけられる疑惑を真っ向から否定した。ただ、日本ハムで縁を結び、二刀流を陰で支えてきてくれていた水原氏の“裏切り行為”に、相当な心労があったのは想像に難くない。

 そうしたなかで、大谷はグラウンド上で“結果”を求められ続けた。名門ドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)という超巨額契約を締結した背景を考えれば、必然ではあったが、それが本人の言う「焦る気持ち」に繋がったのではないか。

 たかが一発、されど一発だ。試合後の会見でロバーツ監督は「本調子に非常に近づいている。今日は甘い球をしっかりスイングできていたし、タイミングも合っていた。ミスでさえも、わずかな誤差だったんだ」と回想。そして、ここからの快進撃に期待を寄せている。

「グラウンド内外に関係なく、逆境に立たされるまでは人の本質は知れないものだ。そうしたなかでショウヘイは本当に動じてはいなかったと思う。皆が望んでいるような結果はまだ出ていないが、ここから必ず出してくれるよ。彼の毎日の振る舞いを見ていると、仕事とそれ以外のことをとてもうまく分けている」

 試合後の取材で「これを機に自分の打席を継続したいと思います」と前向きに語った大谷。試合後に「僕にとって特別」と振り返った一発で吹っ切れたであろう偉才は、掴んだ感覚を、ここからの打席で落とし込めるか。引き続き目が離せない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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