【レースフォーカス】スケジュール変更を余儀なくされた輸送機トラブルの背景/MotoGP第3戦アルゼンチンGP

2022年4月5日(火)23時15分 AUTOSPORT web

 MotoGP第3戦アルゼンチンGPは、貨物輸送機のトラブルによって、2日間のレースウイークとして行われることになった。このトラブルはなぜ起こったのか。その背景には技術的なトラブルと、そしてまた別の原因があった。


 今回お伝えする内容はタイトルに付したレースにフォーカスしたものというよりも、レースウイークに発生した事態にフォーカスしたものである、と最初に断っておいた方がいいかもしれない。アルゼンチンGPはレースウイークのスケジュールが大きく変更された。その原因は機材到着の遅れである。前戦はマンダリカで行われたインドネシアGPで、バイクやそれにかかわる機材は飛行機によって輸送される。ドルナスポーツのリリースによれば、インドネシアGP後の水曜日、つまり3月23日には二つのルートで5機の輸送機がアルゼンチンのトゥクマンに飛んだという。
 
 しかし、ケニアのモンバサで1機に技術トラブルが発生した。このため、この貨物を輸送すべくすでにトゥクマンに到着していた1機がモンバサへと向かったが、この1機にも技術トラブルが発生し、機材の到着が遅れることになった、というのがその経緯だ。レースウイークは金曜日の全クラスの全セッションがキャンセルとなり、土曜日に時間を拡大してフリー走行1回目と2回目、それから予選が行われることになった。
 
 この事態を受けて、3月31日(木)、ドルナCEOのカルメロ・エスペレータ氏が急きょ会見を開いた。
 
 エスペレータ氏の説明によれば、輸送機のトラブルの原因は4つのエンジンのうち一つのバルブにあったという。しかし、根本的な問題の一つはまた別にあった。


「輸送に関する状況はとても複雑です。問題は、ウクライナ情勢によって大きくなっています」とエスペレータ氏は会見の中で言及した。


「多くの貨物輸送用飛行機は、ロシアの会社のものだからです。そして、これらの飛行機はまさに今、禁止されています。世界の貨物便の約20パーセントが失われているということです。現在の最も大きな問題は、共有される飛行機がないことです。先週の水曜日(23日)からこれまで、この問題を解決するために十分な時間をかけて話し合ってきました。問題は、今現在、使える飛行機がない、ということなのです。となると、私たちにはもう、モンバサでバルブを修理して、ここに到着するのを待つよりほかに解決策がないのです」


 会見の中でエスペレータ氏は、グレシーニ・レーシングMotoGPとムーニー・VR46・レーシングチームがMotoGPクラスとしてはこのトラブルの影響を大きく受けたチームに挙げた。土曜日に無事行われた予選では、そのムーニー・VR46・レーシングチームのライダー、ルカ・マリーニが3番グリッドを獲得している。マリーニは「チームは素晴らしい仕事をしてくれた。彼らとドゥカティに感謝したい。完ぺきな2台のバイクを準備してくれたんだ。簡単なことじゃない。普通は2日間でやる仕事だというのに、たった8時間しかなかったんだから」とチームへの感謝を語っていた。ライダーにとってもチームにとっても、濃密なレースウイークだったことは間違いないだろう。そしてまた、ロシアのウクライナ侵攻は、MotoGPというレースの世界に影響を及ぼしていた。今回の貨物輸送の問題はその一つなのだろう。

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